成長していない調剤薬局業界で働くということの意味
調剤薬局は成長産業ではありません。
現在では分業率はほぼ頭打ちとなり、決まった枚数の院外処方箋を近隣の調剤薬局間で奪い合っている状況です。
20年前のような分業率が右肩上がりという時代であれば、何もしなくても自動的に処方箋枚数が増えていきましたから、調剤売上は自然に伸びていきました。
このようなときは薬局の業績も当然よくなりますから薬剤師の給料やボーナスもそれに合わせて右肩上がりです。
ですが、そんな良い時代はすでに終わりを告げています。
調剤売上が増えないのですから、薬剤師の給与やボーナスが右肩上がりになるわけがありません。
高齢者の人口は増えているからそれなりに成長しているではないかという人もいますが、長期的に見れば人口は減少していきますから、薬局が成長産業などとは到底言うことはできません。
調剤薬局の商圏は狭く、せいぜい病院に来ることができる距離、薬をもらいに来ることができる距離の人を相手にするしかありません。
薬局の商圏人口は増えているでしょうか。
人口が増加しているのは都市部の一部に限られていますね。
調剤薬局としては売上アップを望んでいますがなかなか難しい状況です。

様々な努力をして処方せん枚数を増やしたとしても、2年に1回の調剤報酬改定と薬価改定で簡単にルールが変えられてしまいます。

国の財政が絡んでいる以上、どう頑張っても売り上げが年々伸びていくことはないでしょう。
売上を増やすためには自社の薬局を増やし、他からシェアを奪うしかありません。
もしくは合併などで傘下に収めていくのも手段の一つです。
自社の薬局数を増やしていける大手は良いですが、増やすことができない中小のチェーン薬局または個人薬局においては売上はじり貧となります。
また、新たな薬局ができないということは新たなポストもできないということです。
薬局数が増えなければ必要な管理薬剤師も増えません。
言い換えれば昇進の機会を得るチャンスが増えていかないということを意味します。

管理薬剤師にはなりたくないから別に関係ないという人もいるでしょう。

薬局数が増えていかないと組織の新陳代謝が進まず、何年も何十年も同じメンバーで働き続けるという恐ろしいこともあり得ます。

気の合うメンバーとなら何年も一緒に働けますが、気が合わないメンバーとだったらどうでしょう。

絶対に嫌ですね。

いろんな意味で一定の成長は必要であると思います。
成長していない、すでに成熟してしまった業界で働くということを学生のうちにもっと考えておくべきです。
いや薬学部に入学するまえに考えておくべきでしょう。
すでに薬剤師として働くことを決めた以上、文句ばっかり言っていても始まりません。
決められたルール、置かれた立場でしっかり頑張っていくしかないのです。

個々の薬剤師が日々研鑽して知識を深め、患者さんに還元し続けていくことで薬剤師全体としての評価を高めていきましょう。

薬剤師の積極的な介入により、少ない医療費で最大の効果が得られるようになれば薬剤師全体の評価が高まり、調剤報酬が高く設定されるというのが理想的です。

そのためにも現状の決まり事のなかで最大限薬剤師としての仕事を全うしていきましょう。