2026年(令和8年度)の調剤報酬改定で、薬剤師の仕事は「何をやっても同じ」ではなくなってきています。
これから評価されやすいのは、単に処方箋を受けて正確に調剤するだけの業務ではありません。患者の服薬を整え、継続的にフォローし、地域で必要な役割を果たす業務が、これまで以上に評価されやすい流れです。
今回の改定では、かかりつけ薬剤師指導料・かかりつけ薬剤師包括管理料が廃止され、その代わりに、電話等による患者フォローアップや、残薬調整のための患家訪問、服薬状況の総合的な管理など、実際に何をやったかが見える業務へ評価が移ってきました。
もしあなたが今、「毎日忙しく働いているのに、何を積み上げれば評価されるのか分からない」「対人業務が大事と言われるが、結局どの仕事を優先すればいいのか見えない」と感じているなら、その疑問はとても重要です。
これからの薬剤師は、ただ忙しく働くことよりも、どんな業務を積み上げているかが大切になります。
この記事では、2026年改定で評価される薬剤師業務を、転職ではなく「現場でどう動くべきか」「どんな仕事をしていけばいいか」という視点で整理します。

ファマディーです。これから評価される薬剤師は、「忙しい人」ではなく「患者に介入し、継続して支え、地域で役割を果たした人」です。だからこそ、自分の毎日の仕事を“評価される業務”へ少しずつ寄せていくことが大切です。
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全国に300店舗以上運営している大手調剤薬局チェーンの大型店舗で管理薬剤師をしています。管理薬剤師歴は15年以上。現在は転職サイトの担当者と連絡をとりつつ、中途薬剤師の採用活動にも携わっています。
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面接をした中途薬剤師は軽く100人を超えました。 私は過去2回転職をしていて、1回目は大失敗。ブラック薬局で過ごした数年間は地獄そのもの。 ブラック薬局に入らない方法、そこから脱却した方法を他の薬剤師にも役立ててほしいと思い、当サイト「薬剤師のための転職ブログ・ファマブロ」を始めました。 このサイト内の記事は『過去2回の転職経験』と、『現在の薬剤師採用業務の経験と知見』を基に全て私が1人で書いています。
- 2026年調剤報酬改定で評価される薬剤師業務とは?結論を先に解説
- 2026年調剤報酬改定で評価される薬剤師業務① 残薬調整と薬物療法の最適化
- 2026年調剤報酬改定で評価される薬剤師業務② 継続フォローアップ
- 2026年調剤報酬改定で評価される薬剤師業務③ 患家訪問による服薬管理と残薬確認
- 2026年調剤報酬改定で評価される薬剤師業務④ 在宅訪問と医師・多職種連携
- 2026年調剤報酬改定で評価される薬剤師業務⑤ 薬学的有害事象の防止
- 2026年調剤報酬改定で評価される薬剤師業務⑥ 一元的・継続的な薬物療法管理
- 2026年調剤報酬改定で評価される薬剤師業務⑦ 地域の医薬品供給対応
- 2026年調剤報酬改定で評価されにくくなる薬剤師業務とは?
- 2026年調剤報酬改定を踏まえて薬剤師が今日からやるべきこと
- 2026年調剤報酬改定で評価される薬剤師業務に関するよくある質問
- まとめ|2026年調剤報酬改定で評価される薬剤師業務と今後の働き方


2026年調剤報酬改定で評価される薬剤師業務とは?結論を先に解説
薬剤師は患者介入と継続支援の実績が評価される。
最初に結論から言います。
2026年改定で評価される薬剤師業務は、単に「正確に調剤した」「忙しく枚数をさばいた」という仕事ではありません。
これから評価されやすいのは、患者の薬物療法を整え、継続的に支え、必要に応じて医師や他職種につなぎ、地域で役割を果たすために実際に動いた業務です。
今回の改定では、かかりつけ薬剤師の評価が「包括的に持っていること」から、「電話等によるフォローアップ」「残薬調整のための訪問」「服薬状況の総合的な管理」など、実務にひもづく形へ大きく寄っています。
つまり、これからの薬剤師は、“どれだけ忙しかったか”ではなく、“患者のために何を変えたか”で評価されやすくなるということです。
なぜ「正確な調剤だけ」では足りなくなるのか
もちろん、正確な調剤は薬剤師業務の大前提です。
ただ、正確に出すだけなら、患者の薬物療法が本当に最適化されたとは言えません。残薬が大量に余っていても、飲み方を理解していなくても、副作用が出ていても、処方内容が合っていなくても、渡して終わりでは患者の状態は良くならないからです。
今回の改定が見ているのは、まさにその先です。薬剤師が、患者の服薬状況を確認し、問題を見つけ、必要なら医師へ提案し、継続して支えることができているか。そこに評価が付きやすくなっています。
今後は“やった業務”が評価されやすい
改定後の調剤報酬体系を見ると、かかりつけ薬剤師フォローアップ加算、かかりつけ薬剤師訪問加算、訪問薬剤管理医師同時指導料、複数名薬剤管理指導訪問料、調剤時残薬調整加算、薬学的有害事象等防止加算など、実際の行動が見える業務が並んでいます。
これは、形式的に「かかりつけです」「服薬指導しました」と言うだけではなく、患者に対して継続的に何をしたかが問われる流れです。
仕事の量より、介入の質と継続性が重要
今後は、単発で一回頑張った業務よりも、患者の問題を見つけ、次につなげ、継続して関わる力が重要になります。
つまり、これから現場で意識すべきなのは、「今日は何枚さばいたか」より、「今日はどの患者の薬物療法を少しでも良くできたか」です。
この視点を持てるかどうかで、改定後に評価される薬剤師になるか、忙しいだけで終わる薬剤師になるかが分かれやすくなります。
2026年調剤報酬改定で評価される薬剤師業務① 残薬調整と薬物療法の最適化
薬剤師は残薬理由を見抜き処方提案まで行うべき。
2026年改定で、まず明確に評価されやすくなった業務の1つが、残薬調整と薬物療法の最適化です。
これは単に「余っている薬を確認する」だけではありません。患者の服薬状況を見ながら、今の処方が本当に適切かを考え、必要なら整えるという、薬剤師本来の介入業務そのものです。
今回の改定では、残薬対策の強化を目的とした要件見直しと評価引上げが主なポイントに入っており、改定後の体系にも調剤時残薬調整加算が組み込まれています。
つまり、残薬を見つけて終わりではなく、処方内容や患者の服薬実態に踏み込み、薬物療法を少しでも最適化することが、これからの評価対象だということです。
処方箋どおりに出すだけではなく「減らす・整える」が評価される
これまでの現場では、「処方箋どおりに間違いなく出すこと」が最優先になりやすかったと思います。
もちろんそれは大前提です。ただ、患者の手元に同じ薬が大量に残っているのに、そのまま毎回同じ量を出していては、薬物療法として適切とは言えません。
今回の改定は、そこに明確にメスを入れています。「余っているのに出す」より、「余っているなら整える」という方向です。
つまり薬剤師は、処方箋を受け身で処理する人ではなく、患者の服薬実態を見ながら、必要に応じて処方を整える提案ができる人として動くことが求められています。
何を見て残薬を見抜くべきか
残薬は、単に「余っていますか?」と聞くだけでは見抜けないことがあります。
たとえば、次のようなサインは見逃しやすいです。
- 前回の処方日数と受診間隔が合っていない
- 一包化していても家に薬がたまっている
- 吸入薬や外用薬だけ極端に減りが悪い
- 頓服が毎回残っている
- 患者本人ではなく家族が薬を管理している
- 「飲めています」と言うが、詳しく聞くと抜けがある
残薬を見抜くには、量だけではなく、なぜ余るのかまで考える必要があります。飲み忘れなのか、副作用で中断しているのか、理解不足なのか、生活リズムに合っていないのか。そこまで見えて初めて、薬物療法の最適化につながります。
医師へどう提案するか
残薬調整で大切なのは、単に「余っています」と伝えることではありません。
医師に伝える時は、
- どの薬が
- どれくらい余っていて
- なぜ余っていると考えられるのか
- どのように調整するのが妥当か
まで整理して提案した方が、処方変更につながりやすくなります。
たとえば、「A薬が14日分残っています」だけでは弱いです。「A薬が14日分残っています。夕食後薬が生活リズムに合わず飲み忘れが続いているようです。朝へ集約可能かご検討ください」のように、背景と提案をセットで伝える方が、薬剤師の介入価値は高まります。
現場で今すぐやること
残薬調整と薬物療法の最適化を強化するために、現場で今すぐできることは多いです。
- 残薬確認の聞き方をスタッフ間でそろえる
- 「余っている量」だけでなく「余る理由」まで記録する
- 次回受診時に再確認する患者を決める
- 医師へ提案しやすい報告文の型を作る
- 残薬介入の成功事例を薬局内で共有する
改定後に評価されるのは、忙しさの中でただ処方を回すことではなく、患者の薬を本当に整えるために動けることです。
残薬調整は、その入り口として最も取り組みやすく、かつ改定後の方向性にも合った業務の1つです。
2026年調剤報酬改定で評価される薬剤師業務② 継続フォローアップ
薬剤師は薬を渡した後の継続確認で差がつく。
2026年改定で、これまで以上に評価されやすくなったのが、薬を渡した後の継続フォローアップです。
患者に薬を説明して終わるのではなく、その後きちんと飲めているか、副作用は出ていないか、残薬は増えていないか、理解不足や手技の問題はないかを確認し、必要に応じて次の介入につなげる。この一連の動きが、これからの薬剤師業務ではより重要になります。
今回の改定では、かかりつけ薬剤師の評価が包括的な評価から実績重視へ寄っており、調剤報酬体系にもかかりつけ薬剤師フォローアップ加算が新設されています。
“渡して終わり”ではなく“その後を見る”が評価される
これまでの現場では、服薬指導をした時点で仕事が一区切りになりやすかったかもしれません。
しかし実際には、薬物療法の問題は「薬を渡した後」に表面化することが多いです。飲み忘れ、副作用、自己判断での中断、吸入手技や注射手技の誤り、頓服の使い方の誤解などは、カウンターで一度説明しただけでは十分に防げないことがあります。
だからこそ今後は、処方後に患者の服薬状況を追いかける力が、より評価されやすくなります。
フォロー対象は誰か
フォローアップは、すべての患者に同じ強度で行うものではありません。まずは、問題が起きやすい患者を見極めることが重要です。
- 新規導入薬がある患者
- 副作用リスクが高い患者
- 高齢で多剤服用の患者
- 吸入薬・自己注射など手技確認が必要な患者
- 前回までに残薬や飲み忘れが見られた患者
- 理解度に不安がある患者や家族管理の患者
このような患者を抽出できるかどうかで、フォローアップの質はかなり変わります。
何を確認すればよいか
フォローアップでは、「飲めていますか?」だけでは不十分です。
確認すべきなのは、飲み忘れの有無だけでなく、なぜ飲めないのか、何が問題なのかです。
- 実際に飲めているか
- 副作用や体調変化はないか
- 残薬が増えていないか
- 吸入・注射・外用の手技は正しいか
- 患者本人が理解しているか
- 家族や介護者との認識にズレがないか
ここまで聞けると、単なる連絡ではなく、次の介入につながるフォローアップになります。
現場で今すぐやること
継続フォローアップを強化するために、今すぐ現場でできることは多いです。
- フォロー対象患者の選定基準を作る
- 確認項目をテンプレ化する
- 電話や次回来局時のフォロー内容を薬歴に残す
- 副作用・残薬・手技不良があった場合の次アクションを決める
- フォローアップの成功事例を薬局内で共有する
フォローアップは、今後の改定で評価されやすいだけでなく、患者との信頼関係を作り、残薬調整や有害事象防止にもつながる、非常に重要な起点になります。
2026年調剤報酬改定で評価される薬剤師業務③ 患家訪問による服薬管理と残薬確認
薬剤師は患家訪問で生活実態と残薬問題を把握する。
2026年改定で、もう1つ明確に評価される方向になったのが、患家訪問による服薬管理と残薬確認です。
外来のカウンターでは見えない問題は多くあります。薬の保管状況、飲み残しの実態、家族管理の状態、自己中断、複数箇所からの処方の混在などは、患者の自宅や生活環境を見て初めて分かることが少なくありません。
今回の改定で新設されたかかりつけ薬剤師訪問加算は、まさにそのような「実際に訪問して見て、整える」業務の価値を示しています。
自宅に行くと何が見えるのか
患家訪問の強みは、患者の現実を見られることです。
薬局では「飲めています」と話していても、自宅に行くと未開封の薬が大量に残っていたり、一包化した袋が途中で混ざっていたり、冷所保存薬が常温に置かれていたりすることがあります。
つまり、自宅に行くことは、薬の有無を見るだけではなく、患者の生活と薬物療法のズレを見つけることです。
外来カウンターでは拾えない問題
- 薬の保管場所がバラバラで管理できていない
- 自己判断で中断している薬がある
- 家族が管理しているが、本人との認識がずれている
- 頓服や外用薬の使い方が誤っている
- 複数の医療機関の薬が整理されていない
- 服用タイミングが生活リズムに合っていない
こうした問題は、訪問して初めて分かることが多いです。だからこそ、患家訪問は単なる“サービス”ではなく、薬物療法を整えるための重要な実務です。
訪問後の情報提供のポイント
訪問で終わってしまっては意味がありません。重要なのは、訪問で見えた情報を、医師や関係職種へどう返すかです。
医療機関への情報提供では、
- 実際に何が起きていたか
- 患者や家族はどう認識していたか
- 薬物療法にどんな支障が出ているか
- どのような調整が必要だと考えるか
まで整理できると、次の処方提案や連携につながりやすくなります。
現場で今すぐやること
患家訪問による服薬管理を強化するには、まず対象患者像を薬局内で共有することが大切です。
- 残薬が多い患者
- 管理が不安な独居高齢者
- 家族管理でズレが起きやすい患者
- 外来では状況把握が難しい患者
- 処方提案の余地が大きい患者
そのうえで、訪問時の確認項目や報告書の型を作っておくと、実務として回りやすくなります。
2026年調剤報酬改定で評価される薬剤師業務④ 在宅訪問と医師・多職種連携
薬剤師は在宅で多職種と同時連携できる力が重要。
今回の改定で、特に象徴的なのが、在宅訪問における医師・多職種との同時連携が評価される流れです。
医師と薬剤師が患家へ同時訪問した場合の訪問薬剤管理医師同時指導料、行動面の問題などがある患者に対する複数名薬剤管理指導訪問料の新設は、「薬剤師が単独で頑張る」だけでなく、他職種と一緒に患者を見ることに価値が置かれていることを示しています。
これからは「単独で頑張る」より「一緒に見る」業務が強い
現場では、薬剤師が単独で患者の服薬状況を支える場面も多いです。
ただ、ポリファーマシー、残薬、認知機能低下、精神症状、家族の介入、生活環境の問題などが絡む患者では、薬剤師だけで解決できないこともあります。
そこで重要になるのが、医師、訪問看護師、ケアマネジャー、家族などと一緒に患者を見ることです。今回の改定は、その実務に対して明確に点数をつけています。
医師と同時訪問で薬剤師が発揮すべき役割
医師との同時訪問で薬剤師が果たすべき役割は、単なる説明係ではありません。
- 残薬や服薬実態の整理
- 副作用や有害事象の確認
- 薬の管理方法の見直し
- 減薬・中止・集約の提案
- 家族や介護者への具体的な説明
つまり、医師の診療に薬学的視点を持ち込み、患者の薬物療法を実際に整えるために動くことが求められます。
どんな患者で複数名訪問が必要か
複数名訪問が必要になりやすいのは、行動面の問題、服薬拒否、認知症、介護負担の大きさなどで、1人では十分な薬剤管理指導が難しい患者です。
こうしたケースでは、「とにかく訪問する」ではなく、誰と一緒に入ると患者の問題が解けるかを考える力が重要になります。
現場で今すぐやること
多職種同時連携を強化するために、薬剤師が今すぐできることは次の通りです。
- 医師・訪看・ケアマネとの連絡ルートを整理する
- 同時訪問が必要な患者像を共有する
- 同時訪問時に確認すべき項目を決める
- 薬剤師としてどの情報を持って行くべきかを明確にする
- 訪問後の報告・提案の流れを標準化する
これからは、連携できる薬剤師ほど評価されやすくなります。


2026年調剤報酬改定で評価される薬剤師業務⑤ 薬学的有害事象の防止
薬剤師は有害事象を起こる前に防ぐ視点が必要。
2026年改定で、薬剤師がより強く求められるのが、薬学的有害事象の防止です。
評価されるのは、単に間違いなく出すことではありません。起こりうる副作用や有害事象を先回りして防ぐことです。
今回の体系では薬学的有害事象等防止加算が新設され、地域支援・医薬品供給対応体制加算の実績要件にも、その算定実績が組み込まれています。
副作用確認は“聞いた”で終わらせない
「副作用はありませんか?」と一度聞くだけでは、実際の有害事象は拾えないことが多いです。
患者は症状を副作用だと認識していなかったり、我慢していたり、そもそも薬と結び付けていなかったりするからです。
だからこそ、副作用確認は、症状ベースで具体的に聞く必要があります。
高齢者・多剤服用・腎機能低下で何を見るか
有害事象を防ぐうえで、特に注意すべきなのは次のような患者です。
- 高齢者
- 多剤服用患者
- 腎機能や肝機能が低下している患者
- 転倒リスクがある患者
- 認知機能が低下している患者
- 複数医療機関から薬が出ている患者
こうした患者では、「出せる薬」かどうかではなく、今の患者にその薬が本当に妥当かを見る必要があります。
医師へどうつなげるか
有害事象の防止で大切なのは、問題を見つけた後にどう医師へつなげるかです。
「眠気があります」だけでは弱いです。どの薬で、どの症状が、どの生活場面に影響していて、どう調整するとよいかまで整理して伝えると、処方提案につながりやすくなります。
現場で今すぐやること
- 副作用確認の定型質問を持つ
- ハイリスク患者を事前に抽出する
- 介入事例を薬局内で共有する
- 医師に伝える文面の型を作る
- 「有害事象を防いだ事例」を見える化する
これからは、「問題が起きてから対応する」より、「起きる前に防ぐ」薬剤師業務が、より強く評価されるようになります。
2026年調剤報酬改定で評価される薬剤師業務⑥ 一元的・継続的な薬物療法管理
薬剤師は患者全体の薬物療法を一元的に見直すべき。
2026年改定で、薬剤師により強く求められるようになったのが、一元的・継続的な薬物療法管理です。
これは、薬を1剤ずつ見るのではなく、患者全体の薬物療法を通して見て、問題を見つけ、調整し、その後も追い続ける仕事です。
今回の改定では、服用薬剤調整支援料2について、かかりつけ薬剤師が患者に対し薬物療法の適正化支援を実施することを算定要件とし、評価も見直されています。ここで重視されているのは、単なる減薬提案ではなく、患者の服薬状況を一元的・継続的に把握し、包括的に評価・介入することです。
これからは「薬ごと」ではなく「患者全体」で見る
たとえば、高齢患者が複数の医療機関から薬をもらっている場合、1枚の処方箋だけを見ていても本当の問題は見えません。
眠気、ふらつき、便秘、食欲低下、飲み忘れ、自己中断、重複処方、生活リズムに合っていない服用タイミングなど、患者全体を見て初めて分かる問題が多いからです。
つまりこれから評価されるのは、「この薬はこの薬」と切り分けて見る力ではなく、患者の生活・症状・服薬状況をつなげて見られる力です。
多剤服用患者で何を整理すべきか
多剤服用患者では、まず次の視点で整理すると動きやすくなります。
- 同じ目的の薬が重なっていないか
- 副作用の原因になりそうな薬がないか
- 飲む回数が多すぎて続けにくくなっていないか
- 患者本人が必要性を理解できていない薬がないか
- 生活時間帯に合わず飲み忘れやすい薬がないか
- 実際には使っていない薬が処方に残っていないか
この整理ができると、「何剤減らせるか」ではなく、どうすればこの患者の薬物療法が現実的に回るかという視点に変わります。
ポリファーマシー介入の考え方
ポリファーマシー介入で大切なのは、やみくもに減薬を目指すことではありません。
重要なのは、患者にとって必要な薬は残し、不利益が大きい薬や実態に合っていない薬を見直すことです。
だからこそ、薬剤師には、薬効だけでなく、患者の生活、理解度、家族支援、通院状況、在宅環境まで含めて見たうえで提案する力が求められます。
現場で今すぐやること
- 多剤服用患者を薬局内で抽出する
- 患者ごとの薬歴を一覧で見直す習慣を作る
- 優先介入すべき患者の条件を決める
- 減薬提案の考え方を薬局内で共有する
- 介入後のアウトカムを記録して次回につなげる
一元的・継続的な薬物療法管理は、これからの薬剤師業務の中心の1つになります。ここを積み上げられる薬剤師ほど、改定後に評価されやすくなります。
2026年調剤報酬改定で評価される薬剤師業務⑦ 地域の医薬品供給対応
薬剤師は地域全体の医薬品供給を支える視点が必要。
2026年改定では、薬剤師の役割は「患者に薬を渡すこと」だけではなく、地域で薬を回すことにも広がっています。
地域支援体制加算は、地域支援・医薬品供給対応体制加算へ再編されました。ここで見られているのは、夜間休日の対応、麻薬調剤、十分な医薬品備蓄、薬局間融通、医療材料・衛生材料供給、在宅実績、多職種会議への出席など、地域の医薬品供給拠点として本当に機能しているかです。
“薬を出す”だけでなく“地域で薬を回す”が評価される
これまでの感覚では、薬局の仕事は「処方箋が来たら出す」が中心に見えやすかったかもしれません。
しかし今回の改定では、薬が足りない時にどうするか、夜間休日にどう対応するか、在宅患者へどう供給を続けるか、地域の医療機関や介護現場とどうつながるかまで含めて評価される流れです。
つまり、薬剤師には「自分の薬局の在庫を知る」だけでなく、地域全体で薬を支える視点が求められています。
備蓄、融通、夜間休日対応、麻薬対応の意味
たとえば、麻薬調剤や緊急時の供給、休日夜間の応需は、単に手間が増える業務ではありません。
それは、地域で「この薬局があるから回る」と言われるための基盤です。改定後は、こうした地味に見える実務が、薬局の評価の土台になります。
現場薬剤師がここで果たす役割
現場薬剤師が担う役割は、在庫担当や管理薬剤師任せではありません。
- 不足しやすい薬や代替候補を把握する
- 薬局間融通の流れを理解する
- 緊急時や休日の対応手順を知る
- 在宅患者の供給リスクを先回りして考える
- 医療材料・衛生材料の供給が必要な場面を理解する
こうした力がある薬剤師は、地域で機能する薬局にとって重要な存在になります。
現場で今すぐやること
- 在庫・融通・緊急対応フローを確認する
- 在宅患者で供給が途切れると困る薬を把握する
- 麻薬や特殊薬の対応手順を理解する
- 休日夜間対応の流れを知る
- 地域の医療・介護職との接点を増やす
これから評価される薬剤師は、患者個人だけでなく、地域の薬物療法を支える視点も持っている人です。


2026年調剤報酬改定で評価されにくくなる薬剤師業務とは?
薬剤師は枚数処理だけでは改定後に評価されにくい。
ここまで見てきたように、これからは「介入した業務」「継続して支えた業務」「地域で機能した業務」が評価されやすくなります。
逆に言えば、評価されにくくなる業務もあります。
枚数を回すだけ
もちろん、正確に速く回す力は必要です。
ただ、それだけでは患者の状態は変わりません。改定後に評価されるのは、枚数の多さそのものではなく、その患者に対して何を変えたかです。
“やったこと”が患者成果に結びつかない業務
記録を残した、説明した、確認した――それ自体は大切です。
ただし、それが患者の服薬状況の改善、処方変更、有害事象の防止、残薬の解消、地域連携の強化につながっていないなら、今後は評価されにくくなります。
なぜそれだけでは弱いのか
今回の改定は、包括的に持っているだけの評価から、実績重視の評価へ寄っています。
つまり、「業務をやっていること」ではなく、患者に対して意味のある形で実施し、次につなげていることが問われます。
この変化を理解できると、今後強化すべき仕事と、ただ忙しいだけで終わる仕事の違いが見えやすくなります。
2026年調剤報酬改定を踏まえて薬剤師が今日からやるべきこと
薬剤師は介入事例を積み上げ再現できる形にする。
ここまで読むと、「結局、明日から何を変えればいいのか」と感じる方も多いと思います。
やるべきことは、意外とシンプルです。今の自分の仕事を、“評価される業務”に少しずつ寄せていくことです。
自分の業務を「渡す前」「渡した後」「その後」で分けて見直す
まずは、自分の仕事を次の3つに分けて整理してみてください。
- 渡す前:残薬確認、処方内容の評価、リスク確認
- 渡した後:服薬指導、理解確認、手技確認
- その後:フォローアップ、訪問、情報提供、次回介入
このどこが弱いのかを見つけるだけでも、仕事の質は変わり始めます。
残薬調整、フォローアップ、訪問、情報提供のうち何が足りないか確認する
今の職場では、何ができていて、何ができていないのか。
残薬調整はできているか。フォローアップは回っているか。訪問の導線はあるか。医師や多職種への情報提供は機能しているか。ここを見れば、今後強化すべきポイントが見えます。
介入事例を記録し、再現できる形にする
評価される業務は、偶然1回うまくいっただけでは足りません。
重要なのは、なぜ介入できたのか、何がうまくいったのかを記録し、次も再現できるようにすることです。
薬局内で成功事例を共有できれば、個人の力量だけでなく、薬局全体の機能向上にもつながります。
他職種との接点を1つ増やす
これからの薬剤師業務では、他職種との連携がますます重要になります。
いきなり大きな連携体制を作る必要はありません。まずは、医師、訪看、ケアマネ、施設職員など、今まであまり接点がなかった相手との接点を1つ増やすことから始めれば十分です。
「忙しい」ではなく「何を積み上げているか」で仕事を見直す
最後に一番大事なのは、忙しさそのものを評価の基準にしないことです。
これから重要なのは、どれだけ忙しかったかではなく、どんな業務を積み上げてきたかです。
残薬調整、フォローアップ、訪問、情報提供、有害事象防止、地域供給対応――こうした業務を少しずつでも積み上げていけば、2026年改定後に評価される薬剤師へ近づいていけます。
2026年改定で評価される薬剤師業務とは、調剤そのものではなく、患者の薬物療法を整え、継続的に支え、地域で機能するために実際に動いた業務です。
だからこそ、明日からの現場では、「今日は何枚さばいたか」ではなく、「今日はどの患者の薬物療法を少しでも良くできたか」を意識してみてください。それが、改定後に本当に評価される薬剤師への第一歩になります。
2026年調剤報酬改定で評価される薬剤師業務に関するよくある質問
薬剤師は改定後の評価業務をQ&Aで整理して理解する。
Q1. 2026年調剤報酬改定で、薬剤師はどんな業務が評価されやすくなりますか?
残薬調整、継続フォローアップ、患家訪問、在宅訪問時の医師・多職種連携、薬学的有害事象の防止、一元的・継続的な薬物療法管理、地域の医薬品供給対応などが、これまで以上に評価されやすくなります。
Q2. 2026年改定後は、正確に調剤するだけでは評価されにくいのですか?
正確な調剤は引き続き大前提です。ただし、それだけでは患者の薬物療法を十分に支えたとは言えません。今後は、服薬状況の把握、残薬対応、副作用確認、継続フォローなど、患者に実際に介入した業務がより重要になります。
Q3. なぜ残薬調整が2026年改定で重視されるのですか?
残薬があるまま同じ処方を繰り返しても、薬物療法の適正化につながらないからです。残薬を見つけて終わりではなく、その理由を把握し、必要に応じて処方調整や医師への提案につなげることが評価される方向になっています。
Q4. 継続フォローアップでは、具体的にどんなことを確認すればいいですか?
飲み忘れ、副作用、残薬、吸入や注射の手技、患者本人や家族の理解度などを確認します。大切なのは「飲めていますか」と聞くだけではなく、なぜ問題が起きているのかまで把握し、次の介入につなげることです。
Q5. 患家訪問では、外来カウンターでは分からない何が見えるのですか?
薬の保管状況、未開封薬の存在、自己中断、家族管理のズレ、複数医療機関の薬の混在、生活リズムに合わない服用タイミングなどが見えやすくなります。訪問は、患者の生活と薬物療法のズレを把握する重要な機会です。
Q6. 在宅訪問で医師や多職種と連携する時、薬剤師は何を意識すべきですか?
残薬や服薬実態の整理、副作用や有害事象の確認、減薬や処方集約の提案、家族や介護者への説明など、薬学的視点から患者の薬物療法を整える役割を意識すべきです。単なる同席ではなく、薬剤師ならではの介入が求められます。
Q7. 薬学的有害事象の防止では、現場で何を強化すべきですか?
副作用確認を形式的に終わらせず、症状ベースで具体的に確認することが重要です。特に高齢者、多剤服用患者、腎機能低下患者では、転倒、眠気、食欲低下、便秘などの有害事象を先回りして見る視点が必要です。
Q8. 一元的・継続的な薬物療法管理とは、どのような業務ですか?
患者の薬を1剤ずつではなく全体で見て、重複、不要薬、副作用リスク、飲みにくさ、生活とのズレを整理し、継続して見直していく業務です。多剤服用患者や複数医療機関受診患者で特に重要になります。
Q9. 地域の医薬品供給対応は、現場薬剤師にも関係ありますか?
はい、関係あります。在庫、薬局間融通、麻薬対応、夜間休日対応、在宅患者への安定供給などを理解し、地域全体で薬を回す視点を持つことは、これからの薬剤師業務の一部になります。
Q10. 2026年調剤報酬改定を踏まえて、薬剤師が今日からやるべきことは何ですか?
自分の業務を「渡す前」「渡した後」「その後」に分けて見直し、残薬調整、フォローアップ、訪問、情報提供、多職種連携のうち何が足りないかを確認することです。そして、介入事例を記録し、再現できる形で積み上げていくことが重要です。
まとめ|2026年調剤報酬改定で評価される薬剤師業務と今後の働き方
薬剤師は患者介入と地域対応を積み上げるべき。
2026年(令和8年度)の調剤報酬改定で明確になったのは、これから評価される薬剤師業務が、単なる調剤作業や枚数処理ではないということです。
これから評価されやすいのは、残薬を見つけて整えること、薬を渡した後も継続してフォローすること、必要なら患家へ訪問して服薬実態を確認すること、医師や多職種と連携して患者を支えること、そして薬学的有害事象を未然に防ぐことです。
つまり、今後の薬剤師に求められるのは、「忙しく働くこと」ではなく、患者の薬物療法を少しでも良くするために、実際に何をしたかです。
もし今の自分の業務が、処方箋を受けて調剤し、説明して終わるところで止まっているなら、そこから一歩先へ進む必要があります。
残薬調整、継続フォローアップ、訪問、情報提供、多職種連携――こうした仕事は、どれも一気に完璧にやる必要はありません。大切なのは、今の業務の中に「患者に介入する要素」を1つずつ増やしていくことです。
2026年改定後に評価される薬剤師になるためには、毎日の仕事を「今日は何枚さばいたか」ではなく、「今日はどの患者の薬物療法を少しでも良くできたか」で振り返ることが重要です。
それが、改定後に本当に評価される薬剤師業務を積み上げていく第一歩になります。



