薬局が調剤拒否できる正当な理由とは【在庫が無いからと拒否はNG】
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薬局の調剤拒否について知りたい薬剤師

うちの薬局では在庫が無いと調剤を断ってしまいます。

これっていけないことだと思うのですがどうなのでしょうか?

  • 毎回クレームを入れてくる人の調剤を断りたい……。
  • 文句を言って帰る嫌な患者さんの調剤を断りたい……。
  • 薬の在庫が無いので調剤を断りたい……。
  • 出荷調整の薬の処方せんを新規で持ち込まれても調達できない……。

あなたもそう思ったことが一度はあるのではないでしょうか?

pharma

薬剤師法には調剤の求めに応ずる義務が書かれていますので、かんたんに調剤を拒否することができません。

とはいえ、出荷調整の薬ばかりで調剤できないこともあるでしょう。

どういった場合に調剤を拒否できるのか、調剤を拒否できる正当な理由についてまとめました。

本記事の内容
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pharma_di(ファマディー)

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全国に300店舗以上運営している大手調剤薬局チェーンの大型店舗で管理薬剤師をしています。

管理薬剤師歴は15年以上。現在は転職サイトの担当者と連絡をとりつつ、中途薬剤師の採用活動にも携わっています。
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私は過去2回転職をしていて、1回目は大失敗。ブラック薬局で過ごした数年間は地獄そのもの。

ブラック薬局に入らない方法、そこから脱却した方法を他の薬剤師にも役立ててほしいと思い、当サイト「薬剤師のための転職ブログ・ファマブロ」を始めました。

このサイト内の記事は『過去2回の転職経験』と、『現在の薬剤師採用業務の経験と知見』を基に全て私が1人で書いています。

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結論
『調剤に従事する薬剤師は、調剤の求めがあつた場合には、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。』(薬剤師法第21条により)

これにより、基本的に調剤を拒否する事はできません。例外として、正当な理由があれば調剤を拒否することは可能です。

調剤に従事する薬剤師が調剤拒否できる正当な理由

調剤に従事する薬剤師が調剤拒否できる正当な理由

薬剤師法第 21 条
調剤に従事する薬剤師は、調剤の求めがあつた場合には、正当な理由がなければ、これを拒んではならない

では、薬局が調剤拒否できる正当な理由とは何でしょうか?

調剤を拒否できる正当な理由は、薬局業務運営ガイドラインに記載されています。

薬局業務運営ガイドライン(H5.4.30 薬発第 408 号 薬務局長通知)

ア 処方せんの内容に疑義があるが処方医師(又は医療機関)に連絡がつかず、疑義照会できない場合。但し、当該処方せんの患者がその薬局の近隣の患者の場合は処方せんを預かり、後刻処方医師に疑義照会して調剤すること。

イ 冠婚葬祭、急病等で薬剤師が不在の場合。

ウ 患者の症状等から早急に調剤薬を交付する必要があるが、医薬品の調達に時間を要する場合。但し、この場合は即時調剤可能な薬局を責任をもって紹介すること

エ 災害、事故等により、物理的に調剤が不可能な場合。

調剤を拒否できる正当な理由は以上となっています。

ですから、嫌な患者さんの処方せんの調剤を断ることはできませんし、在庫が無い事のみをもって調剤を拒否することはできません。

在庫が無い場合には、医薬品を調達する努力をしなければなりませんし、在庫を持っている薬局を探す努力をしなければなりません。

時間がかかる場合には、近隣の薬局を紹介するなどの対応が必要です。

医薬品の在庫が無い場合の対応方法

医薬品の在庫が無い場合の対応方法

3か所の薬局で薬が無いと言われてうちの薬局に処方せんを持ってきた方がいました。

今日は卸に在庫が無いので明日納品になり次第お届けしますとお伝え。

すると患者さんは、「大変助かりました。他の薬局ではここまでしてくれなかった。届けてもらうの悪いから連絡くれれば取りに来ます。」と。

他の薬局ではいったいどういう対応をしたのかわかりませんが、卸に在庫を確認するとか近隣の薬局に在庫があるかを聞いてみて分譲してもらうか、その薬局を紹介するなどいろいろ方法はあるはずです。

在庫が無いというだけで調剤拒否はできません。

薬局に在庫が無かった場合の対応方法

  • 医薬品卸に注文する
  • 近隣の薬局に分譲依頼をする
  • チェーン内の薬局から薬を分けてもらう

患者さんが数日分の手持ちがあれば翌日以降のお渡しでも大丈夫ですが、今すぐ飲まなければいけない薬だったらどうにかしないといけません。

この3つの方法でどうにもならない場合は、疑義照会で処方を変えてもらうなどして対応していきましょう。

一番困るのが、土曜日の午後。

卸や医療機関が休みなので、注文も疑義照会も不可能。

他に開いている薬局も少ないので、対応できることが限られてしまいます。

患者さんには、なるべく処方せんは医療機関が開いているうちに薬局に来てもらうなど、事前にアナウンスをしておくと良いでしょう。

また、出荷調整の薬でどうしても手配ができない場合には、代替薬を提案して疑義照会で変更してもらうほかありません

ガイドラインには記載されていませんが、処方せんの使用期限が切れている場合は調剤することができません。

すでにその処方せんは無効となっていますので、期限を延長してもらうことは不可能です。

使用期限切れの処方せんが持ち込まれた時に調剤を断っても調剤拒否には当たりません。

使用期限切れの処方せんでは、そもそも調剤することができないのですから。

薬局が調剤拒否できる正当な理由(まとめ)

薬局が調剤拒否できる正当な理由(まとめ)
調剤に従事する薬剤師には調剤応需義務があります。

そのため、嫌な患者さんだから、薬の在庫が無いから、調剤が大変だからといった理由で調剤を拒否することはできません。

もし、あなたの薬局のルールが常識から逸脱している場合、薬局の独自ルールなら管理薬剤師へ、会社からの指示であれば管理薬剤師が薬局開設者へ意見を伝えましょう。


改善されないようなら真面目な薬局へ転職をしてください。

不正に加担していると保険薬剤師であるあなたも罰せられる可能性があります。

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