

薬局の処方せん受付回数を増やすようにと強く言われて困っている管理薬剤師
薬局の管理薬剤師をやっているのですが、最近売上が落ちてきています。
上からは処方せん受付回数を増やすよう言われているのですが、具体的に何をすれば良いのでしょうか。

このような薬剤師の疑問に答えていきます。
本記事の内容
この記事を読むと次のことがわかります。
- 薬局の処方せん受付回数を増やすためにやるべきこと

pharma_di(ファマディー)Follow @pharma_di
全国に500店舗以上運営している大手調剤薬局チェーンの大型店舗で管理薬剤師をしています。
管理薬剤師歴は15年以上。現在は転職サイトの担当者と連絡をとりつつ、中途薬剤師の採用活動にも携わっています。
面接をした中途薬剤師は軽く20人を超えました。
私は過去2回転職をしていて、1回目は大失敗。ブラック薬局で過ごした数年間は地獄そのもの。
ブラック薬局に入らない方法、そこから脱却した方法を他の薬剤師にも役立ててほしいと思い、薬剤師の転職に役立つ情報を書いています。
転職に失敗する薬剤師をゼロになるまで書き続けていきたいと思います!
会社の上の人達は常に「売上を増やせ」、「受付回数を増やせ」、「技術料を上げろ」などと簡単に言ってきます。
そんなすぐにできないことは薬局で働いている薬剤師ならすぐにわかりますね。
まずは1枚の処方せんを獲得し、次回も引き続き調剤させていただく。
そして、その方が口コミなどで別の方を連れてきてくれる。
このような正のスパイラルを回していかなくてはなりません。
本気で処方箋受付回数を増やしたいならどうすれば良いかを、管理薬剤師経験15年以上の私が経験を基にまとめました。
全て実行するのは無理としてもできるところから始めましょう。
もちろんこれをやったから処方せん受付回数が増えるというものでもありませんが、やらなければ絶対に増えません。
処方せん受付回数を増やす方法
門前医療機関からの処方せんの取りこぼしを防ぎつつ、面処方せんを増やしていく。
薬局の処方せん受付回数を増やすには、この作戦しかありません。
薬局の処方せん受付回数を増やすためにやるべきこと
- どこの病院・クリニックの処方せんも受付可能であることをアピールする
- 在庫が無くても断らない
- のぼりを立てる
- 薬局周辺の掃除をする
- 薬剤師・事務の接遇を改善する
- 待ち時間を短くする
- 待合室を改善する
- 定休日を減らす
- 開局時間を長くする
- 在宅処方せんを獲得する
- 近隣医療機関への挨拶周り
- 病院・クリニックへの情報提供
どこの病院・クリニックの処方せんも受付可能であることをアピールする
薬局ならどこの病院・クリニックの処方せんでも調剤できるということをまだ知らない人は結構多いです。
その病院の前の薬局でしか薬をもらえないと思っている人にしっかりと説明して処方せん獲得につなげましょう。
お薬手帳を見るときは相互作用や重複ばかりでなく、うちでも調剤可能ですというアピールにも活用していきます。
薬局の近くにお住まいの方なら、次回から処方せんを持ってきてくれる可能性だってあります。
ご家族の処方せんもうちで調剤できることもアピールしておきましょう。
- 『全国どこの医療機関の処方せんでも調剤可能』と掲示する
- お薬手帳を見て併用薬があれば、うちの薬局でも調剤できる旨を声かけし、在庫を用意しておく
- 薬を取りに来たのが家族だったら、家族全員うちで調剤しますよと声かけをする。
のぼりを立てる
のぼりを立てたって意味がないと思われる方は多いかもしれません。
でも実際に、こののぼりをみて処方せんをもってきてくれる方が複数いらっしゃいました。
前からずっとその場所に薬局があっても、用事が無い人にとってはただの風景です。
ちょっとでも目立たせる、気づかせることができれば安いものです。
ずっと同じのぼりを立て続けてもまた単なる風景と化してしまいますから、定期的に交換すると良いでしょう。
例えばこんなのです。
- 薬局の入り口や駐車場にのぼりを立てる
在庫が無くても断らない
「他の薬局で在庫が無いと言われて・・・。3軒に断られたのですが、こちらには在庫ありますか?」
このように言われることは珍しくありません。
在庫が無くて調剤を断っている薬局のおかげでうちの薬局の処方せん受付回数が増えていきます。
うちの薬局にも在庫が無かったのですが、明日の午前中にはそろいますとお伝えしたところ再来局していただけることになりました。
その方は引き続き当薬局をご利用いただいています。
当たり前のことができていない薬局も結構多いので、当たり前のことをするだけで処方せん受付回数は増やせます。
- 在庫が無くても断らないことをスタッフ全員に徹底する
- 在庫が無かった場合の流れをスタッフ全員に説明する
- 具体的には、在庫が無い旨を患者さんに伝える。待ってもらえそうなら、各卸や近隣薬局から調達する。
- 薬がそろう日時を患者さんに伝える
ここまでしても「他の薬局に行きます」となるかもしれませんし、あとで取りに来てくれるかもしれません。
薬局周辺の掃除をする
薬局周辺の掃除を毎朝しっかりと行いましょう。
きれいにしたからと言って処方せんが増えるわけではありませんが、汚くしていれば増えることはないでしょう。
薬局前の歩道や駐車場、駐輪場もきれいにしておきましょう。
薬局は清潔感が命。ドアや窓ガラスもピカピカにしておきます。
壁や看板の劣化は致命傷となります。
- 薬局周辺の掃除をしっかりやる
患者さんは結構見てますよ。汚れが溜まっていたり、くもの巣が張っていたり。
薬剤師・事務の接遇を改善する
来てくれた患者さんが次も来てくれるかどうかは薬剤師と事務の接遇・応対がどうだったかでほぼ決まります。
接遇が悪かったら二度とその薬局には来てくれません。
薬局の顔は事務さんです。
誰かが薬局に入ってきても挨拶もしないような状態なら今すぐ直しましょう。
- 誰かが薬局に入ってきたら、即挨拶する。
待ち時間を短くする
接遇や応対に問題が無くても、待ち時間が長いと患者さんは離れていきます。
薬局内の動線の改善などで待ち時間を短くする努力をしましょう。
待ち時間を短くすることができないのであれば、待ち時間を長く感じさせない努力も必要です。
後何分で薬を渡せるのかの目安をお伝えするだけでも、待ち時間の印象は全く異なります。
いつできるのかわからない状態で待たされるのは非常に長く感じます。
調剤予約ができるアプリを導入して患者さんに使ってもらうのも良いでしょう。
- 混雑し始めたタイミングで患者さんに声かけ(待ち時間は○分くらいになりそうです)とする。
- 調剤予約が可能なアプリが導入されていれば案内する
- 直接処方せんを持ちこんでもらうのではなく、FAXを利用してもらう
- 受付、調剤、鑑査のどこがボトルネックになっているのか、動線を見直す
待合室を改善する
待ち時間を長く感じさせない工夫にもつながります。
- 新聞・雑誌を増やす
- 健康関連の小冊子を増やす
- テレビを置く
- OTCを充実させる
- 室温・湿度を快適に保つ
きれいで快適な空間であれば待ち時間だって苦ではなくなります。
- 待合室からどう見えているか、スタッフ全員で椅子に座ってみる
- エアコンの風量や風向に注意する
- 古くて汚い掲示物は差し替える
定休日を減らす
地域支援体制加算を算定するために平日の定休日を無しにしました。
その結果面処方せんが相当数増加しました。
薬局がどのような場所に建っているのかにも大きく左右されますが、住宅地や商店街など周辺人口が多く人通りが多い場所であれば面処方せんの獲得につながります。
近隣の医療機関の診療日を調べてみると良いでしょう。
- これは今日からはできませんね。周辺の医療機関が空いているのにもかかわらず、門前医療機関が休みだからといって薬局も閉めていると、多く処方せん逃していることになります。
開局時間を長くする
近隣の医療機関の実情に合った開局時間にしておく必要があります。
昼休みとして2時間くらい閉めている薬局もいまだに存在していますが、面処方せんを取る気が無いと言われても仕方ないですね。
朝から夜まで開いている薬局なら患者さんも処方せんを持って行きやすいです。
究極は定休日なしの24時間開局。
薬局の近くでこれをやられたら相当厳しいです。
- これも今日からはできませんね。でも、うちの薬局では定休日だった平日を開けたら患者数が増えました。地域支援体制加算のためですけど。
在宅処方せんを獲得する
在宅の処方せんを獲得する方法
- 往診している医療機関に挨拶に行き、近くに患者さんがいたらぜひうちにと伝えておく
- 地域のケアマネさんと連絡を取り、在宅可能であることをアピールする
- 地域包括支援センターに訪問し、連絡を密にとる
- 薬局に来ている患者さんで在宅が必要そうな人をピックアップし、担当のケアマネさんや主治医に提案する
- 近隣に有料老人ホームができるという話を聞いたら即営業をかける
これをやれば在宅の処方せん獲得は難しいものではありません。
- 在宅の処方せんが来ても良いように流れを理解しておく
近隣医療機関への挨拶周りと情報提供
近隣医療機関へ定期的に挨拶周りをしておきます。
気になる患者さんがいたら、ただ報告書をFAXするのではなく直接持参し医師と面会させてもらいます。
顔が見える関係性が作れるかどうかは非常に大切です。
場合によっては医師から薬局を紹介してくれることさえあります。
また、医師だけでなく受付の方とも顔見知りになっておくと良いでしょう。
受付の方に紹介されて処方せんを持ってきてくれる方もいらっしゃいました。
- 近隣の医療機関にアポイントと取って面会する
- すでに応需している患者さんがいればその方の情報共有をする
まとめ
ここまで、薬局の処方せん受付回数を増やすにはどうすれば良いかを書いてきました。
あなたが管理薬剤師なら薬局の運営に。一般薬剤師なら目標の設定やその達成のために使っていただければと思います。
会社の上の人は口ばっかりで何も現場で対応してくれない。アドバイスもくれなくて困っている。
そのくせ数字ばっかり細かくて・・・。
少しでもお役に立てればうれしいです。
いろいろ頑張っても全然給料が上がらない。
全く評価されないということもあるかもしれません。
今は転職なんて全然考えていなくても、マイナビ薬剤師やファルマスタッフ
、薬キャリ
などの薬剤師転職サイトに登録して情報だけは集めておきましょう。
いつでも他の薬局に転職できることがわかっているだけで、気持ち的に相当楽になれますよ。
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