
売上高
薬局の売上高は調剤による売上(調剤売上)とOTC、小分け、介護等のその他売上に大きく分けられます。
調剤売上
調剤売上とは、処方箋調剤に基づく売上のことを言います。調剤薬局においては調剤売上が売上の大部分(100%近く)を占めています。調剤売上はさらに薬剤料と技術料に分けることができます。
薬剤料
薬剤料とは、調剤売上のうち薬剤の売上に関係する部分の売上金額のことを言います。
特定保険医療材料料
特定保険医療材料料とは、調剤売上のうちインスリン用の針などの特定保険医療材料に係る部分の売上金額です。
技術料
技術料とは、調剤基本料や地域支援体制加算、後発医薬品調剤体制加算、調剤料、一包化加算、自家製剤加算などの「調剤技術料」と、薬剤服用歴管理指導料などの「薬学管理料」の合計額です。
その他売上
売上のうち、調剤売上以外の部分を言います。
OTC売上
一般用医薬品の売上高
小分け売上
他薬局への医薬品の売上高
売上原価
薬局における売上原価とは、調剤に使用した医薬品の仕入れにかかった費用のことです。
ある期間内に購入した医薬品の金額ではありません。ある期間内に調剤で使用した医薬品の仕入れのみにかかった費用のことをいます。
ある期間内の売上原価はどのように計算すればよいのでしょうか。
売上原価は、「期首在庫」+「仕入高」-「期末在庫」で計算可能です。
期首在庫
期首在庫とは、期首時点での医薬品の在庫金額のことを言います。
仕入高
仕入高とは、その期間内に購入した医薬品の購入額のことを言います。
期末在庫
期末在庫とは、期末時点での医薬品在庫金額のことを言います。
売上総利益
売上総利益=売上高-売上原価
売上総利益は内訳として、薬剤による利益(薬価差益)と技術料による利益(技術料利益)に分けることができます。
技術料利益
技術料による利益(技術料利益)は技術料売上がそのまま利益となります。技術料を算定するのに元手は必要ないので利益率は100%です。
技術料収入の増加はそのまま利益技術料利益に直結しますので、ここの数字をいかに伸ばすかが薬局経営において大事なポイントになってきます。
薬価差益
薬剤による利益の計算は、薬剤料-薬剤売上原価で求められます。
(薬剤売上原価=期首の薬剤在庫+期中の薬剤仕入高-期末の薬剤在庫)
薬剤売上原価はその期間中にどれだけの薬剤を金額として使ったかを表しています。
薬価差益を増やすには薬価に対してどれだけ割り引かれた価格で卸から医薬品を購入するかにかかっています。
医薬品仕入高が大きい薬局の利益は薬価差益の影響を大きく受けます。
ただし、医薬品購入時の値引き率は悪化傾向にあり、薬価差益は全国平均でおよそ8%程度となっています。
薬価差益に依存せず、いかに技術料利益を増やしていくかが大事です。
販売費及び一般管理費(販管費)
薬局で言えば薬局を営業するのに必要な費用のうち、その材料となる薬の購入費以外の部分のことを指します。
給与、賞与、福利厚生費、広告宣伝費、旅費交通費、印刷費、消耗品費、水道光熱費、通信費、賃借料、雑費、販売促進費といったものがあります。
給与・手当
薬局で働く従業員の給料と手当の合計額
賞与
年2回従業員に支払われる賞与の額
毎月一定額を賞与引当金繰入額として費用に見積額を計上してくものです。
これにより、賞与支払いのある月だけ大きく費用が増えてしまうということはありません。
福利厚生費
社会保険料の会社負担分、住宅手当、結婚祝い・出産祝いなどの慶弔見舞金、健康診断代、従業員忘新年会費用など
旅費交通費
他薬局への支援の際の交通費など
車両費
社有車のガソリン代、車のリース代、自動車保険料、車検代、自動車税、メンテナンス費用など
修繕費
薬局の建物や調剤機器、パソコンなどの修理費用。レセコンやプリンターの保守料金も修繕費に入ります。
広告宣伝費
薬局の広告などにかかった費用
交際費
門前医療機関の医師との忘年会や新年会、お中元、お歳暮にかかった費用など
会議費
会議室を借りた場合の費用など
荷造発送費
薬局で言えば、不動となってしまった医薬品をグループ内の他薬局に送った場合にかかった費用などがここに入ります。
教育研修費
薬や疾患などの研修を行った際にかかった費用。
通信費
固定電話の料金、携帯電話の料金、切手代、インターネット通信料など。
薬剤師会に払う(法外な!)FAX手数料
水道光熱費
水道料金、電気料金、ガス料金、灯油購入費など
賃借料
地代家賃として薬局の家賃、薬剤師の借り上げ社宅費用などもここに含まれます。
印刷費
薬袋や薬情などを印刷するのに使用した用紙代やインクトナー代
消耗品費
事務用品の購入費用など
保険料
火災保険料・損害保険料・薬剤師賠償責任保険料など
租税公課
印紙税、固定資産税などの税金
薬剤購入の際に要した消費税の経理処理(税込経理時)
委託料
清掃業者、廃棄物処理業者、警備会社、社宅管理会社、事務作業等の外注費などが入ります。
雑費
販売費及び一般管理費のうち、勘定科目がなく重要性の低い少額な費用をまとめます。
減価償却費
金額の高い設備などの購入代金を費用として分割して計上していく(決まりがある)
営業利益
薬局が稼いだ利益のことです。
営業利益=売上総利益-販売費及び一般管理費(販管費)で計算できます。
営業利益が-(マイナス)であったらそれは赤字であったということ。
薬局の営業利益を増やすには、売上高(特に技術料)を増やし、売上原価を減らし、販管費を減らす。
とにかく患者さんに処方箋を持って来てもらう。
加算の取り漏れを防ぐ
無駄な費用を削減する。
こういったことを意識しましょう。
そして勤務している薬局の収益構造と経営状況を確認しておきましょう。
薬剤師の人員削減の話が出たら、その薬局は経営的にかなり危険な状況です。
今のうちに経営がしっかりしている薬局へ移るのも手です。
他社に買収されると結構大変ですよ。
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