- 人間関係・働き方・年収のモヤモヤを整理
- 転職前に確認したい30項目をチェック
- チェック数に合わせて次に見るページがわかる
薬局が調剤拒否できる正当な理由|在庫切れ・クレーム患者は?【調剤応需義務】

「薬局に在庫がない薬の処方せんを持ち込まれたら、断ってもいいのだろうか」
出荷調整が続いている今、調剤薬局で働く薬剤師なら一度は悩んだことがあるはずです。

調剤拒否について知りたい薬剤師
うちの薬局では在庫が無いと調剤を断ってしまいます。
これっていけないことだと思うのですがどうなのでしょうか?
本当は、断りたいわけではないと思います。
薬が用意できるなら、きちんと調剤して渡したい。
でも、卸に聞いても入荷未定。近隣薬局に電話しても在庫なし。処方元に電話してもつながらない。
それでも患者さんからは、「薬局なのに薬がないの?」「他では断られたんだけど」と言われる。
その場では頭を下げて説明しても、内心では「処方したのは医師なのに、なぜ薬局だけが責められるのだろう」と感じることもあるはずです。
毎回クレームを言う患者さんを断りたい。文句だけ言って帰る患者さんの対応がしんどい。出荷調整の薬を新規で持ち込まれても、正直どうにもならない。
そう思ってしまうのは、薬剤師として不誠実だからではありません。現場でできることを探し続けているからこそ、限界を感じる場面があるのだと思います。
結論から言うと、薬局は「在庫がない」という理由だけで調剤を拒否することはできません。
薬剤師法第21条では、調剤に従事する薬剤師は、正当な理由がなければ調剤の求めを拒んではならないとされています。あわせて、厚生労働省の薬局業務運営ガイドラインでも、処方医薬品が薬局に備蓄されていないことを理由とした拒否は認められないと示されています。
ただし、これは「在庫を切らした薬剤師が悪い」という話ではありません。
発注を忘れていたわけではない。サボっていたわけでもない。いつも通り発注して、卸にも確認して、それでも入らない薬があります。
それなのに、患者さんの怒りは目の前の薬剤師に向きます。
「もっと早く発注していればよかったのか」「近隣薬局への確認が遅かったのか」「説明の仕方が悪かったのか」と、自分を責めてしまうこともあると思います。
でも、出荷調整や供給不足は、現場の薬剤師だけで解決できる問題ではありません。
あなたが悪いから薬が入らないのではありません。
問題になるのは、薬がないことそのものではなく、何も確認せずに「在庫がないので無理です」と断って終わりにしてしまうことです。
この記事では、薬局が調剤拒否できる正当な理由と、出荷調整や在庫不足で薬が用意できないときの現場対応を整理します。
薬局は正当な理由なく調剤拒否できない
薬局は正当な理由なく、処方せんの調剤を断れない。


薬局が調剤拒否できるかどうかを考えるとき、まず確認したいのが薬剤師法第21条です。
調剤に従事する薬剤師は、調剤の求めがあつた場合には、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。
薬剤師法第21条
つまり、薬局は処方せんを持ってきた患者さんに対して、薬局側の都合だけで「できません」と断れません。
次のような理由だけで調剤を断るのは危険です。
- 薬局に在庫がない
- 出荷調整品で手配が大変
- 新規患者だから受けたくない
- 処方内容が重くて時間がかかる
- 患者さんの態度が悪い
- 毎回クレームを言われる
- 土曜午後で卸や医療機関に連絡しづらい
もちろん、現場の薬剤師が楽をしているわけではありません。
むしろ、薬が入らない理由を患者さんに説明し、卸に電話し、近隣薬局に頭を下げ、処方医にも確認する。こうした対応を最前線で背負っているのは薬剤師です。
それでも、調剤応需義務がある以上、「在庫がないので終わり」にはできません。
薬局として、薬を用意する方法を探します。必要なら、他の薬局や処方医につなぎます。
ここが、単なる「在庫なし」と「不適切な調剤拒否」の分かれ目です。
薬局が調剤拒否できる正当な理由
調剤拒否できる正当な理由は、安全に調剤できない事情に限られる。
では、薬局が調剤拒否できる「正当な理由」とは何でしょうか。
薬局業務運営ガイドラインでは、主に次のようなケースが示されています。
| ケース | なぜ調剤できないのか | 現場での注意点 |
|---|---|---|
| 処方せんに疑義があるが、処方医や医療機関に連絡がつかない | 疑義が解消しないまま調剤できないため | 近隣患者の場合は処方せんを預かり、後で疑義照会して調剤する対応も検討する |
| 冠婚葬祭、急病などで薬剤師が不在 | 薬剤師がいなければ調剤できないため | 開局体制や患者さんへの案内を整えておく |
| 患者さんの症状から早急な交付が必要だが、医薬品の調達に時間がかかる | 自薬局ではすぐに必要な薬を用意できないため | すぐ調剤できる薬局を責任をもって紹介する |
| 災害、事故などで物理的に調剤できない | 設備や薬局機能が使えず、調剤そのものが止まっているため | 状況を説明し、可能な範囲で他薬局や医療機関につなぐ |
正当な理由とは、「対応したくない理由」ではありません。
安全に調剤できない。薬剤師がいない。災害や事故で薬局機能が止まっている。すぐに必要な薬を自薬局では用意できない。
このように、調剤そのものが難しい事情がある場合に限られます。
また、正当な理由がある場合でも、患者さんに「できません」とだけ伝えて終わるのは避けましょう。
断る必要があるときほど、次にどうすればよいかを案内します。
在庫がないことだけを理由に調剤拒否できない
在庫不足で問題になるのは、確認や説明をせずに断る対応である。
現場で一番悩むのは、薬局に在庫がないときです。
患者さんからすると、「薬局なのに薬がないの?」と思うかもしれません。
でも、薬剤師側からすると、こう感じる場面もあります。
- 薬局に在庫がない
- 出荷調整品で手配が大変
- 新規患者だから受けたくない
- 処方内容が重くて時間がかかる
- 患者さんの態度が悪い
- 毎回クレームを言われる
- 土曜午後で卸や医療機関に連絡しづらい
この状況で「在庫がないだけでは断れません」と言われると、追い詰められた気持ちになると思います。
患者さんは怒っている。待合室には次の患者さんがいる。事務さんも困った顔でこちらを見ている。
その中で、卸に電話し、近隣薬局に電話し、処方医にも確認しようとする。
そこまで動いても薬が見つからないと、「自分の対応が悪いのでは」と感じてしまうかもしれません。
でも、ここで責められるべきなのは、薬剤師個人ではありません。
出荷調整や供給不足は、現場の努力だけで解決できる問題ではないからです。
問題になるのは、薬がないことではなく、確認や説明をしないまま処方せんを断ってしまうことです。
たとえば、次のような対応は避けるべきです。
- 卸に確認せずに断る
- 系列店舗の在庫を確認せずに断る
- 近隣薬局への分譲相談をせずに断る
- 代替薬の候補を調べずに断る
- 疑義照会の余地を見ずに断る
- 患者さんに理由を説明せずに「ありません」とだけ伝える
薬局に在庫がない場合でも、まずは調達方法を探します。
卸に確認する。系列店舗に聞く。近隣薬局に分譲を相談する。代替薬を提案する。処方医に確認する。
どれか一つでも次の手を残すことが大切です。
医薬品の在庫がない場合の対応方法
医薬品の在庫がない場合は、調達先と代替案を順番に確認する。


実際に、何か所も薬局を回ったあとに来局する患者さんもいます。
すでに3か所の薬局で「薬がありません」と言われ、疲れた顔で処方せんを出されることがあります。
患者さんも不安です。
「また断られるのではないか」「今日から飲む薬なのにどうすればいいのか」と思っています。
一方で、薬剤師側も楽ではありません。
在庫がないことはわかっている。卸にも期待できない。近隣薬局も同じように困っている。それでも、目の前の患者さんには何か答えなければならない。
この板挟みが、在庫不足対応の一番しんどいところです。
だからこそ、在庫がないときほど「どう断るか」ではなく、「何を確認して、どう案内するか」が大切です。
薬局に在庫がない場合は、対応の順番を決めておくと現場が迷いません。
待合室には患者さんがいる。電話は鳴る。疑義照会もつながらない。そんな中で毎回ゼロから考えるのは大変です。
薬局内で、次の流れを共有しておきましょう。
- 自薬局の在庫、発注残、棚違いを確認する
- 医薬品卸に在庫と納品予定を確認する
- 系列店舗や近隣店舗に在庫がないか確認する
- 近隣薬局に分譲を依頼できるか確認する
- 代替薬、規格違い、メーカー違いを候補にする
- 必要に応じて処方医へ疑義照会する
- 患者さんへ状況、入荷予定、代替案を説明する
- 対応内容を薬歴や記録に残す
記録には、卸へ確認した内容、近隣薬局へ確認した結果、分譲依頼の有無、疑義照会の内容、患者さんへ説明した内容を残しておきます。
在庫がないときは、「ありません」で終わらせるのではなく、卸確認、系列店舗確認、近隣薬局への分譲相談、代替薬の検討、疑義照会まで順番に動きます。
具体的な対応フローは、出荷調整で薬が足りない時の薬剤師対応でも詳しく整理しています。


医薬品卸に在庫と納品予定を確認する
まずは、医薬品卸に在庫と納品予定を確認します。
患者さんの手持ちが数日分あるなら、翌日以降の納品で間に合うケースもあります。
一方で、今日から飲む必要がある薬や、切らすと危険な薬であれば、別の手を急ぎます。
患者さんには、次のように説明すると伝わります。
説明例
「現在、当薬局に在庫がありません。ただいま卸に確認しています。入荷予定とお渡しできる時期を確認したうえで、改めてご説明します。」
ここで大切なのは、薬局が確認していることを患者さんに伝えることです。
薬がすぐに用意できなくても、「今どこに確認しているのか」が伝わると、患者さんの受け止め方は変わります。
系列店舗・近隣薬局に確認する
卸からすぐに入らない場合は、系列店舗や近隣薬局の在庫を確認します。
チェーン内に在庫があれば移動を依頼します。近隣薬局に在庫があれば、薬局間分譲を相談します。
薬局間分譲とは、薬局同士で医薬品を分け合うことです。在庫不足の場面では有効な手段ですが、「少しだけだから」と記録を省略してよいわけではありません。
相手方薬局、医薬品名、数量、ロット、使用期限などを確認し、記録を残します。分譲時の確認項目は、薬局間分譲のルールで整理しています。
記録が残っていれば、「どこまで確認したか」を後から説明できます。薬局だけでなく、対応した薬剤師自身を守る材料にもなります。
代替薬を検討し、必要に応じて疑義照会する
卸にもない。系列店舗にもない。近隣薬局にもない。
出荷調整が長引いている薬では、ここまで確認しても見つからない日があります。
その場合は、代替薬を検討します。
同一成分の別メーカー、規格違い、剤形違い、同効薬などを候補にします。
ただし、処方内容を薬剤師だけの判断で変更してはいけません。
処方変更が必要なら、処方医へ疑義照会します。
患者さんには、次のように説明すると状況が伝わります。
説明例
「この薬が現在出荷調整で入荷しづらい状況です。代わりに使える薬があるか、処方元の先生に確認します。」
「薬がありません」だけだと、患者さんは不安になります。
「次に何をするのか」まで伝えると、薬局が動いていることが伝わります。
出荷調整の薬が手配できない場合
出荷調整品は、供給状況と代替案を確認して患者さんに説明する。
出荷調整の薬は、薬局の努力だけではどうにもならない日があります。
「発注していなかったから薬がない」のではなく、「発注しても入らない」状態です。
ここを患者さんに理解してもらうのは、簡単ではありません。
患者さんから見れば、処方せんを持って薬局に来たのに薬がもらえない状況です。不安にもなりますし、怒りたくなる気持ちもあるでしょう。
一方で、薬剤師側も困っています。
卸に聞いても「未定です」と言われる。メーカー情報を見ても限定出荷。近隣薬局にも在庫がない。処方医にも電話がつながらない。
特にきついのが、土曜午後や連休前です。
卸の担当者にはつながらない。処方元の医療機関は留守電。近隣薬局も閉まり始めている。
それでも患者さんは、「今日から飲む薬なんです」と処方せんを持ってきます。
後ろには次の患者さんが待っています。電話も鳴っています。事務さんからも「どうしますか」と聞かれます。
この状況で冷静に判断し続けるのは、かなり負担が大きいです。
だからこそ、土曜午後や連休前ほど、薬剤師個人のその場の判断に任せきりにしない体制が必要です。
出荷調整品は、確認する順番を決めておかないと現場が混乱します。
- メーカーの出荷状況を確認する
- 医薬品卸の在庫と入荷予定を確認する
- 厚生労働省の医療用医薬品供給状況を確認する
- DrugShortage.jpなどで供給状況を横断的に確認する
- 同一成分、同効薬、規格違い、剤形違いの候補を探す
- 処方医へ疑義照会し、変更可否を確認する
- 患者さんに入荷困難の理由と今後の対応を説明する
出荷調整品は、メーカーサイトだけを見て終わりにすると見落としが出る場合があります。供給状況や代替候補の確認方法は、出荷調整医薬品の調べ方で詳しく解説しています。
患者さんへ説明するときは、次の3点をセットで伝えましょう。
- 現在、薬が出荷調整または供給不足になっていること
- 薬局として卸、系列店舗、近隣薬局、代替薬を確認していること
- 必要に応じて処方医へ確認していること
薬がすぐに用意できないときほど、説明の仕方が重要です。
患者さんは、薬がないことだけに怒っているとは限りません。
「このあとどうなるのかわからない」ことに不安を感じています。
入荷予定、代替案、疑義照会の状況、次に連絡するタイミングを伝える。これだけでも、患者さんの不安は変わります。
また、普段からできる対策もあります。
出荷調整が続いている薬や、在庫切れが起きやすい薬は、患者さんに「処方せんはできるだけ医療機関が開いている時間帯に薬局へ持ってきてください」と伝えておくと、疑義照会や代替提案の時間を確保しやすくなります。
これは薬局側の都合を押しつけるためではありません。
患者さんに薬を渡す選択肢を減らさないための事前案内です。
薬局間分譲や小分けで注意すべきこと
薬局間分譲は、医薬品名や数量などの記録を残して進める。
在庫不足のとき、近隣薬局から薬を分けてもらう薬局間分譲は有効な手段です。
ただし、分譲は便利な一方で、記録や管理を曖昧にするとトラブルになります。
少なくとも、次の情報は確認しておきましょう。
- 分譲元薬局名
- 分譲先薬局名
- 医薬品名
- 規格、剤形
- 数量
- ロット番号
- 使用期限
- 分譲日
- 担当者名
薬局間分譲は、患者さんに薬を届けるための大切な手段です。
だからこそ、善意や慣れだけで進めず、後から説明できる形で記録を残しておきましょう。
また、薬局と病院の間での小分けや購入は、薬局間分譲とは扱いが異なる場合があります。
「近くの病院に在庫があるから、そこから分けてもらえばよい」と単純に判断しないよう注意してください。
処方箋医薬品の分譲や病院との小分けは判断を誤りやすいため、詳しく確認したい方は記事末の関連記事も参考にしてください。
クレーム患者・迷惑患者なら調剤拒否できるのか
クレームだけでは調剤拒否できず、危険行為は安全確保として対応する。
毎回クレームを言われる患者さん。
説明しても、「前の薬局ではやってくれた」「薬局の都合でしょ」と返される患者さん。
待合室で大きな声を出され、他の患者さんの視線まで気になる場面。
そういう対応が続くと、処方せんを見た瞬間に気が重くなることがあります。
本当は落ち着いて説明したいのに、また怒られるのではないかと思って身構えてしまう。
対応が終わったあとも気持ちを引きずりながら、次の患者さんには何事もなかったように笑顔で対応しなければならない。
正直、「もうこの人の処方せんは受けたくない」と感じる日もあると思います。
でも、患者さんが苦手、態度が悪い、文句を言われるという理由だけで調剤拒否することはできません。
薬局には調剤応需義務があります。
感情的な理由だけで処方せんを断るのは避けるべきです。
ただし、暴言、脅迫、暴力、他の患者さんへの迷惑行為などがある場合は別です。
その場合は、調剤拒否の話だけで片づけるのではなく、カスタマーハラスメントや安全確保の問題として対応します。
薬剤師個人で抱え込む必要はありません。
管理薬剤師、薬局開設者、本部に相談しましょう。危険を感じる場合は、警察や行政への相談も選択肢になります。
患者さんに丁寧に対応することと、薬剤師が何をされても我慢することは違います。
クレーム対応がつらくて悩んでいる薬剤師はこちらもご覧ください。


期限切れ処方せんや疑義が解消できない処方せんはどうするか
期限切れ処方せんや疑義未解消の処方せんは、そのまま調剤できない。
処方せんの使用期限が切れている場合、その処方せんでは調剤できません。
これは、薬局が任意に調剤拒否しているというより、有効な処方せんとして扱えない状態です。
患者さんには、落ち着いて次のように説明しましょう。
説明例
「こちらの処方せんは使用期限が過ぎているため、このまま調剤することができません。お手数ですが、処方元の医療機関へご相談ください。」
また、処方内容に疑義がある場合も注意が必要です。
用量が明らかにおかしい。
併用禁忌の可能性がある。
患者情報と処方内容が合わない。
このような場合は、疑義照会を行います。
疑義が解消しないまま調剤することはできません。
まずは患者さんへ事情を説明します。
そのうえで、後刻照会する、処方元へ確認してもらう、対応中であることを伝えるなど、状況に合わせて動きましょう。
会社や薬局のルールが危ない場合
会社や薬局の曖昧なルールは、現場薬剤師の負担と法令リスクを高める。
調剤拒否で本当に怖いのは、薬剤師個人の判断ミスだけではありません。
会社や薬局のルールが曖昧なまま、現場薬剤師だけに責任が押しつけられているケースです。
本当は、薬局として対応手順を決めておいてほしい。
本部にも、管理薬剤師にも、出荷調整時のルールをはっきり示してほしい。
でも実際には、「その場で判断して」「患者さんに説明しておいて」「近隣薬局に聞いてみて」で終わってしまうことがあります。
それでトラブルになったときだけ、現場の説明不足のように扱われる。
この状態が続くと、薬剤師は少しずつ疲れていきます。
たとえば、次のような職場は注意が必要です。
- 「在庫がなければ断っていい」と言われる
- 出荷調整品は新規患者を受けない方針になっている
- 分譲や疑義照会の手順が決まっていない
- 患者対応のクレームを現場薬剤師だけに押しつける
- 管理薬剤師や本部に相談しても改善されない
- 法令上不安な対応を薬剤師個人の責任にされる
出荷調整、薬局間分譲、疑義照会、クレーム対応を、全部「現場判断」で済ませる職場は危険です。
法令対応を現場任せにする職場の危険は、薬局のルールが曖昧で怖い薬剤師向けの記事でも整理しています。


まずは、管理薬剤師へ相談しましょう。
会社方針として危ない対応が行われているなら、管理薬剤師から薬局開設者や本部へ意見を伝える必要があります。
それでも改善されない場合は、今の職場に残り続けてよいのかを一度考えてください。
これは、すぐに転職を決めるためではありません。
今の職場が、法令対応やクレーム対応を薬剤師個人に押しつけていないかを確認するためです。
たとえば、次の点を見てみましょう。
- 在庫不足時の対応ルールが薬局内で共有されているか
- 分譲や疑義照会の手順が明確になっているか
- クレーム対応を薬剤師個人に丸投げしていないか
- 管理薬剤師や本部に相談できる体制があるか
- 法令上不安な対応を断れる雰囲気があるか
危ない対応が続いていても、すぐに声を上げられる薬剤師ばかりではありません。
管理薬剤師に言えば、面倒な人だと思われるかもしれない。
本部に相談しても、「現場でうまくやって」と返されるだけかもしれない。
同僚も忙しそうだから、自分だけ不満を言っているように見られたくない。
そう考えて、結局飲み込んでしまうこともあると思います。
でも、法令対応や患者対応の責任を現場薬剤師だけに背負わせる職場なら、あなた一人が悪いわけではありません。
今の職場に残るべきか迷う場合は、薬剤師は転職すべきか迷ったときの判断基準も参考にしてください。
「まだ我慢できる」「自分が気にしすぎなのかもしれない」と思っているうちは、なかなか判断できません。
だからこそ、まずは今の職場の状態を分けて考えてみてください。
今の職場に残って様子を見る段階なのか。管理薬剤師や本部へ相談すべき段階なのか。職場を変える選択肢も考えた方がよい段階なのか。
転職を決めていなくても大丈夫です。
下の診断は、今すぐ転職先を探すためではなく、今の職場で働き続けてよいのかを整理するために使ってください。
今の職場を続けるべきか迷っていませんか?
「辞めたいけれど、本当に転職すべきかわからない」そんな薬剤師向けに、今の働き方を見直す必要度をかんたんに確認できます。
- 今の職場への不満を整理できる
- 転職を考えるべき状態か確認できる
- これから取るべき行動がわかる
登録不要・無料でかんたんに確認できます
薬局の調剤拒否に関するQ&A
薬局の調剤拒否は、在庫不足や患者対応ごとに確認手順を分けて判断する。
薬局に在庫がない場合、調剤拒否できますか?
在庫がないだけで、すぐに調剤拒否はできません。
まず確認するのは、卸、系列店舗、近隣薬局、代替薬、処方医への疑義照会です。
ただし、薬が入らないこと自体は薬剤師個人の責任ではありません。
確認した内容と患者さんへ説明した内容は、薬歴や記録に残しておきましょう。
出荷調整品を新規患者が持ってきた場合、断ってもよいですか?
新規患者だからという理由だけで断るのは避けるべきです。
まずは在庫、卸、系列店舗、近隣薬局、代替薬を確認します。
どうしても自薬局で用意できず、患者さんに早急な交付が必要な場合は、すぐ調剤できる薬局を責任をもって紹介します。
その場合も、「出荷調整のため入荷が難しいこと」「どこに確認したか」「次にどうすればよいか」を説明しましょう。
土曜午後や連休前で卸・処方元に連絡できない場合はどうしますか?
まず、患者さんの手持ち薬と緊急性を確認します。
今日から必要な薬なのか、数日分の手持ちがあるのかで対応は変わります。
卸や処方元に連絡できない場合でも、系列店舗、近隣薬局、開局中の薬局、休日対応の医療機関など、確認できる範囲を探します。
患者さんには、今確認できることと、次に連絡できる時間を具体的に伝えてください。
近隣薬局へ紹介する前に、薬局側は何を確認すべきですか?
自薬局の在庫、発注残、卸の納品予定、系列店舗、近隣薬局の在庫、代替薬の候補を確認します。
近隣薬局へ紹介する場合は、患者さんに丸投げしないことが大切です。
紹介先の薬局に在庫があるか、受付してもらえるかを先に確認し、患者さんに薬局名、場所、受付時間を伝えましょう。
クレーム患者や迷惑患者の処方せんは断れますか?
患者さんが苦手、態度が悪い、毎回文句を言われるという理由だけで調剤拒否することはできません。
ただし、暴言、脅迫、暴力、他の患者さんへの迷惑行為がある場合は別です。
その場合は、調剤拒否ではなく、カスタマーハラスメントや安全確保の問題として対応します。
薬剤師個人で抱え込まず、管理薬剤師、薬局開設者、本部へ相談しましょう。
調剤拒否にならないよう、薬歴や記録には何を残すべきですか?
在庫不足や出荷調整で調剤できなかった場合は、確認した内容を残します。
- 卸へ確認した内容
- 系列店舗や近隣薬局へ確認した内容
- 分譲依頼の結果
- 代替薬を検討した内容
- 疑義照会の内容と結果
- 患者さんへ説明した内容
- 紹介した薬局や次回連絡の予定
記録があれば、「何もせずに断ったわけではない」と後から説明できます。
患者さんのためだけでなく、薬剤師自身を守る意味でも記録は重要です。
薬局が調剤拒否できる正当な理由まとめ
薬局は対応手順を整え、患者さんへの説明と記録で調剤拒否リスクを避ける。


薬局には、調剤応需義務があります。
そのため、嫌な患者さんだから、在庫がないから、出荷調整品だから、調剤に時間がかかるからといった理由だけで、処方せんの調剤を拒否することはできません。
調剤拒否できる正当な理由は限られています。
- 疑義が解消しない
- 薬剤師が不在で調剤できない
- 災害や事故で物理的に調剤できない
- 早急に薬が必要だが、自薬局では調達に時間がかかる
在庫がない場合は、まず調達方法を探します。
- 卸に確認する
- 系列店舗に確認する
- 近隣薬局に分譲を依頼する
- 代替薬を検討する
- 必要に応じて疑義照会する
- 患者さんへ説明し、対応内容を記録する
出荷調整が続く現場では、薬剤師に大きな負担がかかります。
患者さんに説明し、卸に確認し、近隣薬局に電話し、処方医にも相談する。
そこまでやっても薬が見つからない日があります。
そんな日に、「自分の対応が悪かったのでは」と一人で抱え込まないでください。
薬が入らないこと自体を、薬剤師一人で背負い込む必要はありません。
大切なのは、薬局として対応手順を整え、患者さんに説明し、薬剤師自身も記録で身を守ることです。
もし、あなたの職場で「在庫がなければ断っていい」「ルールはないから現場で何とかして」といった対応が続いているなら、早めに管理薬剤師や本部へ相談しましょう。
それでも改善されないなら、今の職場を続けるべきかを考えてよい段階です。
薬剤師として誠実に働くためにも、法令対応を薬剤師個人に丸投げしない職場を選ぶことは大切です。

