当サイトの運営者である私はチェーン薬局の管理薬剤師として10年以上勤務しています。
管理薬剤師の業務内容については理解しているつもりですが、法的根拠など詳細についてわかっていない部分もまだありましたので備忘録的にまとめてみました。

管理薬剤師とは

薬局開設者自らがその薬局を管理しない場合に、薬局開設者から指定されてその薬局を実地に管理する者のこと。いわゆる薬局の責任者(管理者)のこと。

管理薬剤師になるための要件

管理薬剤師になるには一定の能力や経験は必要でしょう。但し、試験や経験年数などといった明確に規定された要件はありません。

もちろん新人薬剤師でも管理薬剤師になることはできますが、すぐに管理薬剤師の業務ができるかと言われればできないと思います。
なお、地域支援体制加算を算定する薬局の管理薬剤師には以下の要件が必要です。

地域体制支援体制加算を算定する場合に必要な管理薬剤師の要件
管理薬剤師は以下の要件を全て満たしている

  • 施設基準の届出時点において、保険薬剤師として5年以上の薬局勤務経験があること。
  • 当該保険薬局に週32 時間以上勤務していること。
  • 施設基準の届出時点において、当該保険薬局に1年以上在籍していること。

管理薬剤師の兼務は可能?

(薬局の管理)
第七条 
薬局開設者が薬剤師(薬剤師法(昭和三十五年法律第百四十六号)第八条の二第一項の規定による厚生労働大臣の命令を受けた者にあつては、同条第二項の規定による登録を受けた者に限る。以下この項及び次項、第二十八条第二項、第三十一条の二第二項、第三十五条第一項並びに第四十五条において同じ。)であるときは、自らその薬局を実地に管理しなければならない。ただし、その薬局において薬事に関する実務に従事する他の薬剤師のうちから薬局の管理者を指定してその薬局を実地に管理させるときは、この限りでない。
2 薬局開設者が薬剤師でないときは、その薬局において薬事に関する実務に従事する薬剤師のうちから薬局の管理者を指定してその薬局を実地に管理させなければならない。
3 薬局の管理者(第一項の規定により薬局を実地に管理する薬局開設者を含む。次条第一項において同じ。)は、その薬局以外の場所で業として薬局の管理その他薬事に関する実務に従事する者であつてはならない。ただし、その薬局の所在地の都道府県知事の許可を受けたときは、この限りでない。

薬局の管理者(管理薬剤師)になると他の薬局で保険調剤はできません。

管理薬剤師が兼務可能な業務としては

  • 薬剤師会等が運営する夜間や休日の調剤業務の輪番への参加
  • 学校薬剤師の業務

くらいしか認められません。

管理薬剤師の兼務規制緩和について

管理薬剤師の兼務規制緩和の話が出てきています。管理薬剤師が複数薬局の兼務ができるように2019年度中にも規制緩和する方針というものです。

1人で10薬局兼務などとはさすがにならないでしょうが、どのように規制が緩和されていくのか注意しておく必要があります。

管理薬剤師の業務内容

(管理者の義務)
第八条 薬局の管理者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、その薬局に勤務する薬剤師その他の従業者を監督し、その薬局の構造設備及び医薬品その他の物品を管理し、その他その薬局の業務につき、必要な注意をしなければならない。
2 薬局の管理者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、その薬局の業務につき、薬局開設者に対し必要な意見を述べなければならない。

管理薬剤師の業務内容は

  • 薬局に勤務する薬剤師その他の従業者を監督
  • 薬局の構造設備及び医薬品その他の物品を管理
  • その他その薬局の業務につき、必要な注意をする
  • その薬局の業務につき、薬局開設者に対し必要な意見を述べる

こととされています。

従業者の監督(人の管理)

他の薬剤師や薬剤師以外のスタッフが法令を遵守しているか、接遇はしっかりしているか、必要な情報提供等がしっかりされているかなどをしっかり監督していきます。

薬の管理

麻薬、向精神薬、覚せい剤原料、毒・劇薬、毒・劇物の管理、それらが正しく取り扱われているかをどうかのチェックをします。
一般用医薬品の扱いがあればそれらが正しく陳列されているかどうか。医薬部外品や化粧品等もあればそれも含みます。

麻薬

麻薬の管理・保管

  1. 麻薬小売業者は、その業務所における麻薬の譲受け、保管、交付等の管理を薬剤師である麻薬小売業者(薬局開設者)が自ら行うか、若しくは管理薬剤師に行わせる必要があります。
  2. 麻薬小売業者が所有する麻薬は、薬局内に設けた鍵をかけた堅固な設備内に保管しなければなりません。 なお、「鍵をかけた堅固な設備」とは、麻薬専用の固定した金庫又は容易に移動できない金庫(重量金庫)で、施錠設備のあるものをいいます。(手提げ金庫、スチール製のロッカー、事務机の引き出し等は麻薬の保管庫とはなりません。)
  3. 麻薬の保管庫の設置場所は、調剤室、備蓄倉庫等のうち、盗難防止を考慮し、人目につかず、関係者以外の出入がない場所を選ぶことが望まれます。
  4. 麻薬保管庫内には、麻薬以外の他の医薬品、現金及び書類(麻薬帳簿を含む)等を一緒に入れることはできません。(麻薬の出し入れを頻回に行う施設等にあって、1日の間の麻薬の出し入れを管理するための書類(いわゆる棚表)を除く。)
  5. 麻薬保管庫は、出し入れのとき以外は必ず施錠し、鍵を麻薬保管庫につけたままにしないでください。
  6. 定期的に帳簿残高と在庫現品を照合し、在庫の確認を行ってください。

調剤済み麻薬の廃棄

麻薬の交付を受けた患者、又は患者の家族から不要になった麻薬を譲り受けた場合、譲り受けた麻薬をその都度、若しくはある程度まとまった段階で、管理薬剤師が他の従事者の立ち会いの下で廃棄し、廃棄後 30 日以内に「調剤済麻薬廃棄届」を保健所に提出してください。(麻薬及び向精神薬取締法第24条第1項、第35条第2項)

調剤済みとなったあとに患者より回収等した麻薬を適切に廃棄し、保健所等に届け出るのも管理薬剤師の仕事です。
当然の事ながら期限切れ等で廃棄する際は保健所職員の立ち会いが必要となります。

向精神薬

薬局管理者の義務
(1) 薬局の管理者は、自ら向精神薬取扱責任者となるか又は営業所ごとに向精神薬取扱責任者を置かなければなりません。
(2) 向精神薬取扱責任者は、向精神薬の譲渡し、譲受け、保管、廃棄、向精神薬に関する記録等が適切に行われ、法に違反する行為が行われないように、業務従事者を監督しなければなりません。

実質的に薬局の管理者は向精神薬取扱責任者とみなされますので向精神薬全般の適切な管理が求められるだけでなく、業務に従事する者の監督をしなければなりません。

覚せい剤原料

保管の管理者と保管場所

医薬品である覚せい剤原料については

  1. 病院又は診療所にあっては、その管理者がその病院又は診療所
  2. 往診医師等にあっては、その住所
  3. 飼育動物診療施設にあっては、その獣医師管理者がその施設
  4. 往診のみによって飼育動物の診療業務を自ら行う獣医師にあっては、その住所
  5. 薬局にあっては、薬局開設者が薬局

において、それぞれ保管しなければなりません。

管理

  1. 医薬品である覚せい剤原料の取扱いの管理体制を明確にし、盗難等の事故の防止を図るため、病院等や薬局に取扱責任者を定めることが望まれます。
  2. 取扱責任者には、当該病院等や薬局における医薬品である覚せい剤原料の受入・保管・払い出し等の実務に携わる者のうち、その全般について把握できる立場にある者を当ててください。
  3. 取扱責任者は、医薬品である覚せい剤原料に関する次に掲げる実務を責任をもって行ってください。
薬局における覚せい剤原料の保管責任者は薬局開設者ですが、実質的には取扱責任者として管理薬剤師がその業務全般を責任をもって行います。
(覚せい剤原料の受入れ、払出し、保管、保管設備の鍵の管理、法定書類や帳簿の作成及び保管、廃棄や事故に関する届出等)

特定生物由来製品に関する記録や保存

特定生物由来製品に関する記録や保存(薬機法第六十八条の二十二)については管理薬剤師の義務となっています。

使用した日から20年間の保管が義務付けられています。

調剤薬局で特定生物由来製品を調剤するのはベタフェロン皮下注くらいでしょうか。

その他の業務

法令等で「薬局開設者は」と記載されている業務のほとんどについて、実際は管理薬剤師が行います。
保健所や厚生局に提出する書類のほとんどは薬局開設者名です。本社への報告や押印申請なども必要に応じて行います。
管理薬剤師と薬局長を兼任することが多いと思いますが、その場合には薬局の年間予算の作成、社内報告書の作成、薬局内の現金管理、レセプト請求、従業員の勤怠管理、シフトの作成、残業計算、クレーム対応、卸やMRの対応、医師との面会、医薬品や医療機器の価格交渉、購入先卸の帳合決定などの業務がのしかかってきます。

管理薬剤師の給料(管理薬剤師手当)

一般薬剤師とどのくらい給与に差があるのでしょうか?

会社によって異なりますが、多くの場合は管理薬剤師手当という形で給与に反映されています。

管理薬剤師手当の相場

管理薬剤師手当の相場は月30,000円から60,000円程度。
調剤併設ドラッグストアの場合100,000円というところもあります。

管理薬剤師に残業がつくかどうか

会社によって異なりますが、管理薬剤師にも残業代がつくところとつかないところ、みなしで残業代がつくところと様々です。

例えば月に10時間分の残業代がみなしで付くという薬局がありますが、言い方を変えれば10時間以上残業をしても残業代がもらえないということです。
自分の薬局もしくは転職先の薬局はどうなっているかを確認しておきましょう。

管理薬剤師は大変?

大変といえば大変です。

薬局の雰囲気が決まるのはスタッフの上司である管理薬剤師によるところが大きいです。薬局がうまくいくのもいかないのも自分次第。
上とも下ともうまくやっていかなくてはいけない中間管理職ですが、やりがいがある仕事です。
特にチェーン薬局の管理薬剤師には医療従事者としての役割だけでなく、薬局の経営者としての役割も求められます。時にはノルマが課せられることがあります。
スタッフの育成にも関われます。面接や採用に携わることもあるでしょう。
自分の意見が反映されて薬局の運営がうまくいくと嬉しいものです。
もし管理薬剤師のポストが空いてチャンスが回ってきたら逃さずに手を挙げましょう。
自分にはできないと最初は思っていても、必ずできるようになってきますから大丈夫です。