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薬局の整頓|5S活動で置き場所・表示・発注点を決める3定管理

2026 7/06
薬剤師の仕事
2022年6月14日2026年7月6日
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薬局の整頓|5S活動で置き場所・表示・発注点を決める3定管理
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整理は一通り終わったつもりです。でも、薬局の中はまだ何となく散らかっています。置き場所を決めても、忙しくなるとすぐ元に戻ってしまいます。薬局の整頓は、何から始めればよいのでしょうか?

結論から言うと、薬局の整頓は「誰でも迷わず取れて、同じ場所に戻せる状態」を作ることです。

整頓は、見た目をきれいにする作業ではありません。必要な物を、必要な時に、必要な数だけ、すぐ使える場所に置くための取り組みです。

薬局では、散剤スプーン、分包紙、薬袋、軟膏板、輪ゴム、ハサミ、電卓、発注札、記録用紙など、毎日使う物がたくさんあります。

朝はきれいだった調剤台が、昼前にはメモ・輪ゴム・薬袋・空箱でいっぱいになる。発注札を作ったのに、いつの間にか札が戻ってこない。応援薬剤師に「分包紙はどこですか?」と毎回聞かれる。

そんな状態に心当たりはありませんか。

自分だけが片づけて、自分だけが注意しているように感じると、整頓そのものが嫌になりますよね。

でも、整頓が続かないのは、あなたの意識が低いからとは限りません。戻す場所が決まっていない薬局では、どれだけ真面目な人でも崩れます。忙しい薬局ほど、個人の頑張りだけでは限界があります。

本記事では、薬局の5S活動における整頓の意味、3定管理、置き場所の決め方、表示ルール、発注点管理、整頓を続けるための確認項目まで、現場で使う場面を想定して解説します。

本記事の内容
  • 薬局の5S活動における整頓とは
  • 整頓前に確認すべきこと
  • 薬局の整頓は3定管理で考える
  • 薬局で整頓すべき場所と具体例
  • 置き場所・置き方・表示を決める手順
  • 発注点と発注札で過剰在庫・欠品を防ぐ
  • 整頓が続かない薬局に多い失敗例
  • 整頓を続けるためのチェックリスト
  • 整頓が決まると清掃・清潔も進む
  • 整頓しても改善しない薬局で働き続けるべきか
  • Q&A|薬局の整頓に関するよくある質問
  • まとめ|薬局の整頓は、探す時間を減らすための土台
結論

薬局の整頓は「誰でも30秒以内に取り出せて、同じ場所に戻せる状態」を作ること。

定位置・定品・定量を決め、表示と発注点を見える場所に置くと、探す時間・戻し忘れ・発注漏れを減らせます。

私は管理薬剤師歴25年で、採用100名超・面接500人以上、チェーン薬局と小規模薬局の両方で教育と現場改善を担当してきました。

私が見てきた薬局でも、整頓が崩れる場所はだいたい「戻す場所が曖昧」「表示が小さい」「発注点が人の記憶頼み」のどれかでした。

目次
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薬局の5S活動における整頓とは

ポイント

薬局の整頓は、必要な物の住所を決めて誰でも同じ動きができる状態にすること。

薬局5S活動の二番目は整頓

薬局の5S活動における整頓とは、必要な物をすぐ使えるように、置き場所・置き方・表示を決めておくことです。

5S活動は、整理・整頓・清掃・清潔・躾の順で進めます。整頓は2番目のステップです。整理で不要な物を減らしたあと、残った必要な物に「住所」を付ける工程と考えるとわかりやすいです。

5S活動全体の流れを先に確認したい方は、こちらの記事も参考にしてください。

≫薬局の5S活動とは?整理整頓で調剤ミス・残業・発注漏れを減らせる7つの理由

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薬局の5S活動とは?整理整頓で調剤ミス・残業・発注漏れを減らせる7つの理由 薬局で5S活動をやるべき7つの理由をまとめました。5S活動を実践するとメリットがたくさん。職場環境の改善にも役立つ5S活動をあなたの薬局でもぜひ取り入れてください。

薬局の整頓で大切なのは、見た目の美しさよりも、誰が入っても同じように動けることです。

いつもの薬剤師だけがわかる状態では、整頓とは言えません。新人薬剤師、事務スタッフ、応援勤務の薬剤師、久しぶりに入るパート薬剤師でも、同じ場所から同じ物を取り出せる状態にしておく必要があります。

たとえば、分包紙の補充場所が人によって違う薬局では、忙しい時間帯に「どこにありますか?」という確認が増えます。散剤スプーンの戻し場所が決まっていない薬局では、調剤のたびに引き出しを開けて探す時間が発生します。

薬袋、輪ゴム、マーカー、印鑑、電卓も同じです。一つひとつは数秒のムダでも、午前中のピーク時には現場の流れを止めます。

そして、そのしわ寄せは患者さんにも出ます。探し物が増えれば、投薬までの時間が伸びます。スタッフの焦りも増えます。小さな乱れが、薬局全体の落ち着きを奪うこともあります。

だからこそ、整頓では次の3つを明確にします。

  • どこに置くか
  • どのように置くか
  • 誰が見てもわかるように、何を表示するか

この3つが決まると、薬局内の確認が減ります。「あれ、どこですか?」と聞く回数が減り、患者さんの前で落ち着いて動ける場面が増えていきます。

整頓前に確認すべきこと|整理が終わっていないと失敗する

ポイント

薬局の整頓は、不要物を減らしたあとに置き場所を決めると失敗しにくい。

整頓を始める前に、まず整理が終わっているかを確認しましょう。

不要な物が残ったまま整頓すると、置き場所が足りなくなります。余白がなくなり、仮置きが増え、せっかく決めたルールがすぐ崩れます。

これは薬局でよくある失敗です。

「とりあえずラベルを貼れば何とかなる」と思って始めても、棚の中に不要物が残っていれば、必要な物を置く場所がありません。結果として、別の場所に押し込む。仮置きする。誰かが移動させる。元の場所がわからなくなる。

こうなると、整頓したはずなのに、前より使いづらい薬局になってしまいます。

薬局でよく残っている不要物には、次のようなものがあります。

  • 期限切れの掲示物
  • 使っていない備品
  • 古いマニュアル
  • 過去のキャンペーン資材
  • 誰も使っていない書類トレー
  • 目的が曖昧な予備ボックス
  • 使用頻度が低いのに、一番取りやすい場所を占領している物

こうした物が残っている状態では、本当に必要な物の住所を作れません。

整理がまだ不十分だと感じる場合は、先にこちらの記事を確認してください。整頓は、整理で不要物を減らしてから進める方が失敗を防げます。

≫薬局の整理できてますか?整理すべきは物と情報(データ)【5S活動】

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薬局の5S活動は整理から|物と情報・データの整理方法 薬局の5S活動のうちの一つである(整理:Seiri)のやり方について解説しています。薬局内が物であふれかえっていませんか?パソコンの中のデータはすぐに取り出せますか?探す時間は無駄。物だけではなく情報もきちんと整理しましょう。

整頓前には、次のチェックをしておくと安心です。

  • 不要な物が棚や引き出しに残っていないか
  • 期限切れの掲示物・資料・マニュアルが残っていないか
  • 同じ物が複数箇所に分かれて置かれていないか
  • 使用頻度の低い物が取りやすい場所を占領していないか
  • 今後も使うか判断できない物に保留期限を決めているか

整頓は、物を並べ替える作業ではありません。必要な物だけが残った状態で、初めて置き場所を決める作業です。

完璧を目指さなくても大丈夫です。まずは「この棚には必要な物だけが残っている」と言える場所を1つ作るところから始めましょう。

薬局の整頓は3定管理で考える

ポイント

薬局の整頓は、定位置・定品・定量を決めると現場の迷いを減らせる。

薬局の整頓は「定位置・定品・定量」の3定管理で考えると、ルールを決めやすくなります。

整頓が崩れる薬局では、「どこに」「何を」「いくつ」置くかが曖昧になっていることが多いです。

逆に言えば、この3つを決めるだけで、現場の確認はかなり減ります。

3定管理
  • 定位置:どこに置くかを決める
  • 定品:何を置くかを決める
  • 定量:いくつ置くかを決める

定位置|どこに置くかを決める

定位置は、物の住所です。

住所が曖昧だと、忙しい時間ほど「とりあえずここ」が増えます。最初は一時的なつもりでも、誰かがそこに別の物を置き、また別の人が違う場所に移動させます。こうして、元の場所がわからなくなります。

定位置は、「この辺り」ではなく、「この棚の上段」「この引き出しの左側」「散剤台の右手前」まで決めます。

薬局では、動線と使用頻度をもとに置き場所を決めます。

  • 毎日何度も使う物は、目線から胸の高さに置く
  • 利き手側にあると作業が早い物は、作業台の近くに置く
  • 使用頻度が低い物は、一番取りやすい場所を空けるために奥へ移す
  • セットで使う物は、同じ棚や同じトレーにまとめる

たとえば、散剤スプーンや分包紙を散剤台から離れた場所に置くと、調剤のたびに移動が発生します。薬袋を受付と調剤室の両方に曖昧に置くと、補充漏れや在庫差が起きます。

定位置は、見た目よりも動きの少なさを優先して決めましょう。

定品|何を置くかを決める

定品は、その場所に置いてよい物を決めることです。

定品が曖昧な棚は、すぐに「何でも置き場」になります。

たとえば、外用剤の予備置き場に、事務用品、古い掲示物、余ったパンフレット、誰のものかわからないメモが混ざっていく。最初は少しだけだったのに、気づくと棚全体が雑多な置き場になる。

これでは、必要な物を探すたびに手が止まります。戻す側も「ここでいいのかな」と迷います。

備品棚なら、ハサミ、テープ、輪ゴム、クリップ、マーカーなど、置いてよい物を明確にします。書類棚なら、どのファイルを置くのか、最新版だけを置くのか、過去資料は別の場所に保管するのかを決めます。

定品を守るには、棚やボックスに「何を置く場所か」を表示することが欠かせません。

定量|いくつ置くかを決める

定量は、置く数を決めることです。

薬局では、物が多すぎても少なすぎても困ります。多すぎると棚があふれ、奥の物が埋もれます。少なすぎると、忙しい時間帯に欠品して現場が止まります。

「多めに置いておけば安心」と思う気持ちはよくわかります。欠品で焦った経験があると、つい余分に置きたくなりますよね。

でも、置きすぎると今度は棚が見えません。奥にある物が残り、先に買った物が後回しになります。棚卸しのたびに数える量も増えます。

薬袋、分包紙、輪ゴム、軟膏容器、シロップ瓶、投薬瓶、プリンター用紙などは、定量を決めておきましょう。

定量を決める時は、次の点を確認します。

  • 1日にどれくらい使うか
  • 納品まで何日かかるか
  • 保管場所に無理なく入る量か
  • 欠品した時に業務が止まる物か
  • 置きすぎた時に期限切れや棚の圧迫につながる物か

定位置・定品・定量が決まると、スタッフの記憶や気づきに頼る場面が減ります。棚を見れば、置く場所・置く物・置く数がわかる状態に近づきます。

薬局で整頓すべき場所と具体例

ポイント

薬局の整頓は、患者さんから見える場所と作業回数が多い場所から始める。

薬局の整頓は、患者さんから見える場所と、作業回数が多い場所から始めるのがおすすめです。

最初から薬局全体を完璧に変えようとすると、途中で疲れます。忙しい現場では、整頓のための時間をまとめて取ることも簡単ではありません。

まずは「ここが変わると明日の仕事が少し楽になる」と思える場所から始めましょう。ハサミを探す回数が減る、分包紙の予備を聞かれなくなる、受付の見た目が落ち着く。小さな変化で十分です。

受付・患者さんから見える場所

受付周辺は、患者さんの目に入りやすい場所です。

パンフレット、掲示物、筆記用具、保険証確認用のトレー、番号札、消毒用品などが乱れていると、薬局全体が雑に見えます。

患者さんは、調剤室の中まで細かく見ているわけではありません。でも、受付周辺の乱れには気づきます。最初に手をつける場所として、受付はとても向いています。

  • パンフレットの種類と置く数を決める
  • 期限切れの掲示物を外す
  • 患者記入用のペンの本数を決める
  • 受付トレーの用途を表示する
  • 患者さんから見える場所に私物を置かない

受付が片づくと、薬局の印象が変わります。スタッフ側も「見られている場所が片づいている」という安心感を持てます。

調剤台・散剤台

調剤台や散剤台は、整頓の変化がすぐ見える場所です。

ここが乱れていると、調剤のたびに迷います。探す時間が増え、動作が増え、焦りも生まれます。

特に午前中のピーク時は、少しの探し物でも負担になります。散剤スプーンが見つからない。分包紙の予備がどこか分からない。軟膏板がいつもの場所にない。こうした小さな迷いが、現場のリズムを崩します。

調剤台・散剤台では、次のような物の置き場所を固定します。

  • 散剤スプーン
  • 薬包紙
  • 分包紙
  • 軟膏板
  • ヘラ
  • 秤量紙
  • 輪ゴム
  • マーカー
  • ハサミ
  • 電卓
  • 印鑑

ポイントは、セットで使う物を近くに置くことです。

散剤を量る時に使う物、軟膏を混合する時に使う物、一包化で使う物など、作業単位でまとめると動きが減ります。

薬袋・分包紙・投薬瓶の置き場

薬袋、分包紙、投薬瓶、シロップ瓶などは、欠品すると業務が止まりやすい物です。

「薬はあるのに、薬袋がない」「分包紙の予備が見つからない」「投薬瓶のサイズが足りない」。こうした状況は、現場の焦りにつながります。

これらは、置き場所だけでなく定量と発注点も一緒に決めましょう。

  • 薬袋のサイズごとに棚を分ける
  • 分包紙の予備は開封済みと未開封を分ける
  • 投薬瓶は容量ごとに表示する
  • 発注点を棚に貼る
  • 最後の1箱を開けたら発注札を回す

「誰かが気づいたら発注する」では、発注漏れが起きます。発注点と発注方法を置き場に表示しておくことが大切です。

外用剤・シロップ・備品棚

外用剤やシロップ類は、形や箱の大きさがばらばらで、棚が乱れやすい場所です。

箱の向き、ラベルの向き、予備在庫の置き方が人によって変わると、探すたびに手が止まります。棚ごとにカテゴリを分け、ラベルの向きをそろえましょう。

備品棚も同じです。ハサミ、テープ、電池、文具、プリンター用紙、掃除用品などが混在していると、必要な物を取り出すたびに棚をかき分けることになります。

棚単位で「何を置く場所か」を決め、ボックス単位で表示すると、戻す場所で迷いません。

書類・マニュアル・掲示物

薬局では、物だけでなく情報の整頓も重要です。

古いマニュアル、新しいマニュアル、手順書、施設基準関連の掲示物、行政通知、メーカー資料などが混在すると、必要な情報にたどり着くまで時間がかかります。

「最新版はどれ?」「この掲示物はまだ必要?」「この手順書、誰が更新したの?」という確認が増えると、業務が止まります。

書類やマニュアルは、次のように管理します。

  • 最新版だけを現場に置く
  • 古い版は保管場所を分ける
  • ファイルの背表紙を統一する
  • 電子データの保存場所も決める
  • 掲示物には掲示期限を入れる

薬局の整頓は、棚や引き出しだけではありません。情報の置き場所も決めることで、確認ミスや伝達漏れを減らせます。

置き場所・置き方・表示を決める手順

ポイント

薬局の整頓は、使用頻度・動線・置き方・表示・見直しの順で進める。

【薬局の5S活動】正しい整頓の進め方(手順)

薬局の整頓は「使用頻度で分ける→動線に合わせる→置き方を決める→表示する→見直す」の順で進めます。

いきなりラベルを貼るだけでは、整頓は続きません。先に置き場所と置き方を決め、その内容を表示に落とし込みます。

手順1:使用頻度で分ける

まず、物を使用頻度で分けます。

  • 毎日何度も使う物
  • 毎日使う物
  • 週に数回使う物
  • 月に数回使う物
  • ほとんど使わないが保管が必要な物

毎日何度も使う物は、最も取りやすい場所に置きます。月に数回しか使わない物は、少し離れた場所で問題ありません。

使用頻度を無視して置き場所を決めると、動線が悪くなります。よく使う物ほど近く、あまり使わない物ほど奥へ。この判断だけでも、探す時間は減ります。

まずは、ハサミ・テープ・輪ゴムの置き場所だけでも決めてみてください。小さな備品ほど、置き場所が決まると現場のストレスが減ります。

手順2:作業動線に合わせて置く

次に、作業動線に合わせて置き場所を決めます。

薬局では、調剤、監査、投薬、発注、在庫補充、受付対応など、複数の動線が重なります。物の置き場所が動線と合っていないと、スタッフ同士がぶつかり、移動も増えます。

たとえば、散剤台で使う物は散剤台の近くに置きます。投薬時に使う資料は投薬カウンターの近くに置きます。発注に使う札や記録用紙は、在庫を確認する場所に置きます。

「どこに置けば見た目がよいか」ではなく、「どこに置けば動きが減るか」で考えましょう。

手順3:置き方を決める

置き場所が決まったら、置き方も決めます。

同じ棚に置いていても、平積みなのか、縦置きなのか、箱の向きはどうするのかが人によって違うと、すぐ乱れます。

薬局では、次のような置き方まで決めておくと、戻す時の迷いが減ります。

  • 箱のラベル面を正面に向ける
  • 開封済みと未開封を分ける
  • 先入れ先出しになる向きで置く
  • ボックスの中に入れる数を決める
  • セットで使う物は同じトレーにまとめる
  • 重ねすぎない

「ここに置く」は決まっていても、「どう置くか」が決まっていないと崩れます。薬局の整頓では、場所だけでなく置き方までルール化しましょう。

手順4:表示で誰でもわかるようにする

置き場所と置き方を決めたら、表示を付けます。

表示は、整頓を保つための道しるべです。ラベルがなければ、忙しい時間ほど「いつもの人の記憶」に頼ることになります。

表示では、次の点を統一します。

  • ラベルの位置
  • 文字の大きさ
  • 表記ルール
  • 略語の使い方
  • 色分けの意味
  • 発注点の書き方

表示は、細かすぎると読まれません。逆に、曖昧すぎると役に立ちません。

「外用剤」「軟膏容器」「薬袋 Mサイズ」「分包紙 予備」「発注札」など、誰が見てもわかる表記にします。薬局内だけで通じる略語を使う場合は、略語一覧を作り、応援薬剤師にも見せられる場所に置いておきましょう。

手順5:見本棚を作る

整頓を続けるには、見本棚を1か所作るのがおすすめです。

見本棚とは、ラベルの貼り方、ボックスの使い方、発注点表示、置き方の基準がわかる棚のことです。

新しい備品を追加する時や、別の棚を見直す時に、見本棚を真似すればルールがぶれません。

新人や応援勤務の薬剤師にも、「この棚のルールで全体をそろえています」と説明できます。口頭説明に頼らず、見ればわかる状態にしておくことが大切です。

毎回同じ説明をするのは、地味に負担です。見ればわかる棚を作っておくと、教える側も教わる側も楽になります。

発注点と発注札で過剰在庫・欠品を防ぐ

ポイント

薬局の整頓は、発注点と発注札を見える化すると過剰在庫と欠品を防げる。

薬局の整頓は、在庫管理と切り離して考えられません。

置き場所を決めても、必要以上に詰め込んだり、発注点が決まっていなかったりすると、棚はすぐ崩れます。

「足りなくなったら困るから多めに置く」「誰かが気づいたら発注する」。この運用は、一見ラクに見えます。でも実際は、過剰在庫と欠品の両方を招きます。

特に、薬袋、投薬瓶、分包紙、軟膏容器、シロップ瓶、プリンター用紙、掃除用品などは、発注点を決めておくと、誰が見ても発注が必要か判断できます。

在庫管理や発注点の詳しい考え方は、こちらの記事で解説しています。本記事では、整頓に関係する部分に絞って説明します。

≫調剤薬局向け医薬品在庫管理と発注点の設定方法

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調剤薬局の医薬品在庫管理と発注点の決め方|欠品と過剰在庫を防ぐ8つの方法 調剤薬局での在庫管理には『在庫を適正量に保つ』ことと『品質を管理して保管する』という2つを同時に行わなければなりません。発注点を工夫して在庫量を適正に保ちつつ、品質を管理して保管する方法がわかります。

発注点を置き場に表示する

発注点は、担当者の記憶に頼らず、置き場に表示しましょう。

たとえば、次のように表示します。

  • 薬袋Mサイズ:残り2束で発注
  • 分包紙:最後の1箱を開封したら発注
  • 投薬瓶100mL:残り1袋で発注
  • プリンター用紙:残り1箱で発注
  • 軟膏容器:残り1袋で発注

発注点が見える場所にあれば、誰が見ても同じタイミングで判断できます。

「少なくなったら発注」では、人によって判断が変わります。「残り何個で発注」まで決めることが大切です。

発注札を使う

発注漏れを減らすには、発注札が役立ちます。

発注札には、品名、発注点、発注数、発注方法、担当者を記載します。最後の1箱を開けたら発注札を所定の場所に移動する、というルールにすると運用が明確になります。

管理薬剤師として見てきた限り、発注札が続いている薬局は、札そのものの置き場所まで決まっています。「札を作る」だけでなく、「札をどこへ動かすか」「発注後にどこへ戻すか」まで決めることが重要です。

発注札の流れは、次のようにシンプルで構いません。

  • 最後の1箱を開封する
  • 発注札を発注担当者のトレーに入れる
  • 担当者が発注する
  • 納品後、発注札を元の場所へ戻す

この流れが決まっていれば、「誰かが発注していると思った」というミスを防げます。

発注漏れが起きた時に、誰が悪いかを探す薬局もあります。でも本当は、個人を責めるより、誰でも気づける形に変える方が現場は穏やかになります。

詰め込みすぎない

整頓では、スペースに余白を残すことも大切です。

棚いっぱいに詰め込むと、取り出すたびに手前の物をどかすことになります。戻す時も乱れます。納品直後に入りきらず、床置きや仮置きが発生する原因にもなります。

置き場には、少し余白を残しましょう。

余白はムダではありません。取り出すため、戻すため、残り数を見るために必要なスペースです。

現場では「ここに入るだけ入れておこう」が崩れる原因になります。定量を超えて置かないルールに変えると、棚卸や発注確認の負担がかなり減ります。

整頓が続かない薬局に多い失敗例

ポイント

薬局の整頓が続かない原因は、意識不足よりルールや表示の弱さにある。

整頓が続かない薬局には、いくつか共通する失敗があります。

ここで最初に伝えておきたいのは、整頓が続かないからといって、スタッフの意識が低いとは限らないということです。

戻す場所が遠ければ、忙しい時に戻せません。表示が小さければ、人によって置き方が変わります。発注点が決まっていなければ、気づいた人だけに負担が偏ります。

忙しい時間帯に「ちゃんと戻して」だけで回すのは限界があります。崩れた場所には、ルールを直すヒントがあります。

失敗1:仮置き場を作ってしまう

仮置き場は、一見便利です。

しかし、薬局では仮置きが常態化します。「あとで戻す」が忙しさで後回しになり、いつの間にか仮置き場が物置になります。

どうしても一時置きが必要な場合は、ルールを決めましょう。

  • 一時置きは1か所だけにする
  • 置いてよい時間を決める
  • 終業時には必ず空にする
  • 担当者を決める
  • 一時置きが必要になる理由を見直す

基本は、仮置きを作らないことです。作る場合でも、放置される物置にしないことが大切です。

失敗2:表示が小さすぎる

ラベルを貼っていても、小さすぎると読まれません。

棚の奥に貼ってある、文字が小さい、似た表記が多い、色の意味がわからない。このような表示は、整頓の役に立ちません。

表示は、作業中に自然と目に入る位置に貼りましょう。棚の手前、ボックスの正面、引き出しの外側など、のぞき込まなくても見える位置が基本です。

忙しい時ほど、人は細かい表示を読みません。だからこそ、ひと目でわかる表示にしておくことが大切です。

失敗3:略語や表記が人によって違う

薬局内だけで通じる略語は便利ですが、人によって使い方が違うと混乱します。

たとえば、外用剤、外用、外、外薬など、表記が揺れると応援勤務の薬剤師や新人は迷います。

表示名は統一しましょう。略語を使うなら、薬局内で一覧化しておくと安心です。

失敗4:作った人しかわからない

整頓ルールを作った本人だけがわかる状態も危険です。

「なぜここに置くのか」「どのタイミングで発注するのか」「誰が補充するのか」が共有されていないと、担当者が休んだ瞬間に崩れます。

整頓は、属人化をなくすための活動です。作った人だけがわかる整頓ではなく、誰が見ても同じ行動に移れる整頓を目指しましょう。

失敗5:見直し日を決めていない

薬局の物や業務は少しずつ変わります。

新しい備品が入る、処方内容が変わる、在宅対応が増える、スタッフが入れ替わる。この変化に合わせて整頓ルールも見直す必要があります。

見直し日がないと、最初は整っていても少しずつ崩れます。月1回のミニ確認と、半期ごとの全面見直しを設定しておきましょう。

崩れた場所は、誰かを責める場所ではありません。ルールを直すヒントが見つかる場所です。

整頓を続けるためのチェックリスト

ポイント

薬局の整頓は、チェックリストで定期確認すると崩れた場所を早く直せる。

整頓は、チェックリストで定期的に確認すると、崩れた棚をその場で直せます。

薬局内で月1回、10分だけでも構いません。棚や作業台を見ながら、崩れている場所を確認しましょう。

チェックの目的は、できていない人を探すことではありません。戻す場所が遠い、表示が小さい、定量が現場に合っていない。そうした原因を見つけるために行います。

薬局整頓チェックリスト
  • 必要な物だけが置かれている
  • 不要物や期限切れ資料が残っていない
  • 物の定位置が決まっている
  • 置いてよい物が表示されている
  • 定量が決まっている
  • 発注点が表示されている
  • 30秒以内に取り出せる
  • 誰でも同じ場所に戻せる
  • ラベルの位置と表記がそろっている
  • 開封済みと未開封が分かれている
  • 先入れ先出しの順番で置かれている
  • 仮置きが放置されていない
  • 終業時に調剤台や机の上が空になっている
  • 見直し日が決まっている

チェックする時は、「なぜ崩れたのか」を見てください。

戻す場所が遠いのか。表示が小さいのか。定量が多すぎるのか。人手不足で片づける時間がないのか。原因によって、直す場所は変わります。

「ちゃんと戻して」と注意するより、「戻す場所が現場に合っているか」を見直す方が、薬局は変わります。

まずは1棚だけで大丈夫です。明日、定位置・定品・定量を書き出してみましょう。

整頓が決まると清掃・清潔も進む

ポイント

薬局の整頓が決まると、清掃範囲が明確になり清潔の基準も作りやすい。

整頓が決まると、次の5S活動である清掃・清潔にも進めます。

置き場所が決まっていれば、清掃する範囲がはっきりします。物が床や机に出しっぱなしにならないため、掃除前に物をどかす時間も減ります。

反対に、整頓ができていない薬局では、清掃の前に片づけが必要になります。毎回そこから始まると、清掃そのものが面倒になります。

整頓は、次の工程を楽にする準備でもあります。

清潔の考え方や維持するコツは、こちらの記事で詳しく解説しています。

≫調剤薬局の5S活動「清潔」とは?維持するコツを解説

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5S活動は、1つずつ独立しているようでつながっています。整理で不要物を減らし、整頓で置き場所を決める。すると清掃に入る前の片づけが減り、清潔の基準も作れます。最後に、躾として薬局内に同じルールを根づかせていきます。

最初から完璧にしなくて大丈夫です。1つの棚、1つの作業台、1つの備品置き場から始めましょう。

整頓しても改善しない薬局で働き続けるべきか

ポイント

薬局の整頓が改善しない時は、職場全体のルールや人員体制も見直すべき。

ここまで、薬局の整頓の進め方を解説してきました。

ただ、現場によっては、スタッフが努力しても整頓が続かないことがあります。

たとえば、次のような薬局です。

  • 改善提案をしても聞いてもらえない
  • 人員不足で片づける時間がまったくない
  • 管理者が薬局内のルール作りに関心を持っていない
  • 本社が現場改善に投資しない
  • 発注漏れや在庫差異が起きても原因を見直さない
  • 新人や応援薬剤師が毎回同じことで迷っている
  • 整頓ルールを作っても、守る人だけに負担が偏っている

このような職場では、個人の努力だけで改善するのは難しいです。

整頓が続かない原因が、単なる片づけ不足ではなく、職場全体のルール不足や人員不足にある場合もあります。

特に、探し物・発注漏れ・在庫差異・片づけ時間の不足が残業につながっている場合は、職場環境そのものを見直す視点も必要です。薬局の残業が多い原因や、転職前に確認すべきポイントはこちらでも解説しています。

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もちろん、すぐに転職を考える必要はありません。

まずは、できる範囲で置き場所を決める。表示をそろえる。発注点を見える場所に貼る。小さな改善から始めてみる価値はあります。

それでも改善提案が通らず、ミスへの不安や業務負担が大きいままなら、今の職場を続けるべきか一度整理してみてもよいタイミングです。

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「整頓ができない自分が悪い」と抱え込む前に、職場のルール・人員体制・改善提案を聞いてくれる空気も含めて、一度客観的に見直してみてください。

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Q&A|薬局の整頓に関するよくある質問

ポイント

薬局の整頓FAQは、時間・表示・発注札・職場改善の迷いを具体的に整理する。

薬局の整頓でつまずきやすい点を、現場向けにまとめました。本文の補足として、実際に運用する時の迷いを解消していきます。

Q1. 忙しくて整頓の時間が取れない薬局では、どこから始めるべきですか?

最初は、患者さんから見える場所か、毎日何度も使う場所から始めましょう。

受付周辺、調剤台、散剤台、薬袋・分包紙置き場は、変化が伝わりやすい場所です。まず1棚だけ決めると、スタッフにも「探し物が減った」と伝わります。

Q2. 整頓してもすぐ崩れる時は何を見直せばよいですか?

戻す場所が遠すぎないか、表示が小さすぎないか、置く量が多すぎないかを確認してください。

崩れる場所には理由があります。スタッフの意識を責める前に、戻す動作が現場の流れに合っているかを見直しましょう。

Q3. 発注札を作っても運用されない時はどうすればよいですか?

発注札の置き場所、戻す場所、担当者の確認タイミングを決め直します。

札を作っても、札そのものの住所が決まっていなければ運用は止まります。「最後の1箱を開けたら、発注札をどこへ移すか」まで表示しましょう。

Q4. 応援薬剤師が迷わない表示にするには何を書けばよいですか?

棚のカテゴリ名、置く物の名前、発注点、戻し方を書きます。

薬局内だけで通じる略語は避けるか、略語一覧を見える場所に置きましょう。応援薬剤師に毎回説明している内容こそ、表示にする価値があります。

Q5. 仮置き場をなくせない薬局ではどう運用すればよいですか?

仮置き場をゼロにするのが難しい場合は、一時置きの場所を1か所に限定します。

置いてよい時間、終業時に空にする担当者、置ける物の種類を決めてください。何でも置ける仮置き場は、すぐ物置になります。

Q6. スタッフが整頓ルールを守らない時はどう伝えればよいですか?

最初から注意するより、ルールが複雑すぎないかを確認しましょう。

守られないルールは、現場の動きに合っていない場合があります。まず1棚だけ全員で決め、置き場所・表示・発注点を一緒に確認すると、押しつけになりません。

Q7. 整頓を頑張っても職場が変わらない時はどう考えればよいですか?

個人の努力だけで変えられる範囲には限界があります。

人員不足、管理者の無関心、本社の支援不足がある場合、整頓ルールを作っても守る人だけに負担が偏ります。まずは小さく改善し、それでも限界を感じるなら、今の職場を続けるべきか一度整理してみましょう。

まとめ|薬局の整頓は、探す時間を減らすための土台

ポイント

薬局の整頓は、探す時間と戻す迷いを減らし、現場の落ち着きを作る土台。

【薬局の5S活動】整頓(Seiton)の正しいやり方(まとめ)

薬局の整頓は、見た目をきれいにする作業ではありません。

必要な物を、必要な時に、誰でもすぐ取り出せるようにするための土台です。

整頓のまとめ
  • 整頓は、整理で不要物を減らしてから始める
  • 置き場所・置き方・表示をセットで決める
  • 定位置・定品・定量の3定管理で考える
  • 患者さんから見える場所と作業回数が多い場所から始める
  • 表示ラベルは位置・表記・色の意味をそろえる
  • 発注点と発注札で過剰在庫・欠品を防ぐ
  • 仮置きは作らず、必要な場合も一時ルールを決める
  • 月1回の確認で崩れた場所を直す

整頓が進んだ薬局では、探す時間が減ります。戻す場所で迷う時間も減ります。新人や応援勤務の薬剤師も動きやすくなります。発注漏れや在庫差異も減り、患者さんを待たせる原因も減ります。

まずは、薬局全体を一気に変えようとしなくて大丈夫です。

受付周辺、調剤台、散剤台、薬袋置き場など、変化が見えやすい場所から1つずつ始めましょう。

整頓は、薬局の空気を変えます。

探し物でウロウロする時間が減り、患者さんと向き合う余裕が生まれます。終業時に調剤台や机の上が空になっているだけでも、翌日のスタートはかなり楽になります。

できる場所から、できる範囲で始める。それでも限界を感じるなら、今の職場で頑張り続けるべきかを一度見直してみる。

そのくらいの距離感で大丈夫です。

整頓が続いている薬局は、忙しい日でも動きが乱れません。まずは「この場所だけは誰でも30秒以内に取れる」を目標に始めてみてください。

薬局の5S活動のやり方

薬局の5S活動は、整理・整頓・清掃・清潔・躾の順で進めると流れが作れます。整頓の次は、清掃と清潔の基準作りへ進みましょう。

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