
「整理・整頓・清掃までは何とかやってきたけれど…清潔って、何をすればいいんだろう?」
薬局の5S活動に取り組む中で、4つ目のステップ「清潔」でつまずく方は少なくありません。
清潔=掃除の徹底と思っていたら、それだけでは足りなかったと気づくケースも多いのではないでしょうか。
実は「清潔」とは、キレイにした状態を誰が見ても保てる仕組みづくりのこと。
この記事では、薬局で5S活動を成功させるために欠かせない「清潔」の考え方と具体的な進め方を、現場視点でわかりやすく解説します。
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全国に300店舗以上運営している大手調剤薬局チェーンの大型店舗で管理薬剤師をしています。管理薬剤師歴は15年以上。現在は転職サイトの担当者と連絡をとりつつ、中途薬剤師の採用活動にも携わっています。
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「清潔」とは、整理・整頓・清掃を実行するだけではなく、その状態を誰でも維持できる仕組みを作ることです。薬局内でミスを減らし、業務効率を高めるためにも、この4つ目のSを確実に定着させましょう。



整理整頓・清掃までできている薬局は多いですが、「清潔=維持の仕組み」まで意識している薬局は意外と少ないんです。ここが差のつくポイントです。
調剤薬局における5S活動「清潔(Seiketsu)」とは


「清潔(Seiketsu)」とは、整理・整頓・清掃を徹底したうえで、その良好な状態を維持し続けることを指します。
一時的に片付いているだけでは意味がなく、常に「キレイな状態が当たり前」になっていることが清潔のゴールです。
そのためには、3S(整理・整頓・清掃)を徹底して「見える化」し、誰が見てもすぐに異常に気づけるような管理が必要です。
調剤薬局のような医療機関においては、清潔の維持が患者の安全にも直結します。今回は「清潔」の意味と目的、具体的な実践例について詳しく解説します。
清潔の意味と5Sにおける位置づけ
5Sの「清潔」は、これまでに実施してきた「整理」「整頓」「清掃」の成果を長く維持する段階です。調剤薬局では特に、清掃や整頓を単発で終わらせない仕組みの導入が重要です。
毎日の清掃ルールを明文化する、担当者を明確にする、点検チェックリストを導入するなど、「清潔」の継続には業務ルールと教育の整備が欠かせません。
調剤薬局で「清潔」が必要な理由
調剤薬局では、衛生管理が患者の健康に直結するため、常に清潔な状態を保つ必要があります。
例えば、調剤室や待合室が汚れていれば、感染症のリスクが高まるだけでなく、患者からの信頼も失われかねません。薬局にとっての清潔は、サービスの品質を左右する要素なのです。
また、スタッフの士気や業務効率にも関わるため、清潔な環境の維持は「働きやすい職場づくり」にもつながります。
調剤薬局で「清潔」を維持するための工夫
調剤薬局で「清潔」を保つためには、仕組み化と習慣化がポイントになります。以下のような工夫が効果的です。
- 毎朝の清掃をルーティンとして仕組みに組み込む
- 清掃箇所と頻度を明記したチェックリストの導入
- ゴミ箱の清掃、除菌スプレーの常設など衛生面の徹底
- スタッフ全員に役割分担を設け、責任感を持たせる
- 週1回の環境パトロールなど定期点検を実施
このように、誰が見ても「いつもキレイ」と思える状態を保つには、日常的な仕組みと意識づけがカギとなります。
清潔な薬局は見える管理(見える化)ができている
「清潔」が保たれている薬局では、環境の整備だけでなく、異常がすぐに見える状態=見える化が徹底されています。これは、単なる清掃ではなく、日常的な安全管理と業務品質の向上に直結する取り組みです。
「見える化」とは何か?薬局での具体的な意味
「見える化」とは、業務や物の状態が誰にでもすぐに把握できるよう、視覚的に情報を整理・表示する仕組みのことです。調剤薬局では、清潔な状態が保たれているだけでなく、薬品や機器の配置、管理状況が一目でわかることが求められます。
たとえば、薬品棚にラベルが明示されており、定位置にないものはすぐに発見できます。これは誤薬や過剰在庫を防ぐために非常に有効です。
「気づける仕組み」が清潔の本質
清潔な環境とは、「ただ汚れていない」という状態ではありません。異常な状態にすぐ気づける仕組みがあるかどうかが重要です。
たとえば、似たパッケージの薬が隣同士に置かれていると、取り間違いのリスクが高まります。このような問題に早く気づくには、「区切りをつける」「色分けする」「注意喚起シールを貼る」などの視覚的対策が必要です。
見た目で異常を判断できる=清潔が維持されているということ。仕組みの中に清潔が組み込まれているかが、重要なポイントになります。
見える化がもたらす薬局の変化
見える化を徹底することで、調剤ミス・在庫ミス・清掃忘れといったヒューマンエラーが激減します。作業の属人化を防ぎ、誰が見ても同じ状態を把握できるようになるため、新人教育の質も向上します。
さらに、棚卸しや在庫確認の時間が短縮され、業務効率の向上にもつながります。「清潔で整った薬局」は、結果的に患者にとっても安心できる空間となるのです。
【薬局の5S活動】清潔の正しい進め方(手順)
清潔を維持するためには、「見える管理」を実践し、誰もが正しく扱える仕組みを整えることが重要です。
ここでは、そのための具体的な4つのポイントをご紹介します。
- はっきり見えるようにする
- はっきり区別する
- はっきりと目印をつける
- ルールを明確にする
はっきり見えるようにする
医薬品の保管表示が統一されていないと、誤認の原因になります。
文字サイズ・フォント・色などを決めて明示することで、誰でも見やすく、正確に薬を扱える環境になります。
はっきり区別する
引き出しの中に複数の薬品を入れる場合は、明確に仕切って区別しましょう。
区分を徹底するだけで調剤ミスの防止や検索時間の短縮につながり、業務効率が大きく向上します。
はっきりと目印をつける
予製時の容器に目印をつけたり、薬歴管理で注意が必要な患者には色分けするなど、注意喚起を視覚的に促しましょう。
重要なのは「目に入る仕組み」をつくること。気づかなければ意味がありません。
ルールを明確にする
「残り〇個で発注」など、明確な発注基準を表示しておくことも清潔維持の一環です。
あいまいなルールでは属人的判断に陥るため、誰でも迷わず行動できるようにしましょう。
Q&A|調剤薬局の5S「清潔」に関するよくある質問
ここでは、調剤薬局における5S活動「清潔」に関して、現場でよく寄せられる質問にお答えします。実践のヒントとしてお役立てください。
清掃と清潔の違いは何ですか?
清掃は一時的な行為、清潔は継続的な状態の維持を意味します。「清掃」は汚れを取り除く作業であり、「清潔」はその状態を日々保つための仕組みや意識づけを含んだ概念です。
調剤薬局における清潔管理で最も大切なことは?
継続する仕組みを作ることです。誰が・いつ・どこを清掃するかをルール化し、習慣として根付かせることが重要です。
スタッフの清掃意識が低いときの対処法は?
役割の明確化と声がけが効果的です。「あなたの担当箇所」として責任を持ってもらい、日常的に「ありがとう」「助かるよ」と声をかけることで意識が変わります。
清潔を保つ取り組みが長続きしません。
チェックリストと定期的な見直しがカギです。「やっているつもり」が積み重なると形骸化するため、月1のパトロールや評価の見直しが大切です。
患者にも清潔感は伝わりますか?
第一印象として強く伝わります。調剤室や待合室が整っていれば、「信頼できる薬局だな」と安心感を与える効果があります。
まとめ|清潔な環境が薬局の信頼をつくる
5S活動における「清潔」は、単なる掃除ではなく、清潔を当たり前にする文化の定着です。
調剤薬局という医療の現場では、見た目のキレイさだけでなく、衛生管理・感染対策・スタッフの意識すべてが「清潔」という言葉に集約されます。
小さな努力の積み重ねが、患者からの信頼や働きやすさに結びつき、薬局全体の価値を高めることにつながります。



私の薬局でも、5S活動の一環として「清潔」に本格的に取り組み始めたのは1年前。最初はスタッフからの反発もありましたが、少しずつ職場の雰囲気が変わり、今では「いつもキレイな薬局ですね」と患者さんから声をかけられることも増えました。
どれだけ自分が努力しても、そもそも清潔に保とうとする意識が職場に無い――そんな環境に心をすり減らしていませんか?
衛生管理が形だけ、チェックリストもなし、指摘しても改善されない。そんな職場では、あなたの意識や努力が正当に評価されることはありません。
薬局の衛生管理は、患者の命を守るためにあるべきものです。それを軽視している職場で、あなたが疲弊し続ける必要はありません。
あなたの意識は、もっと高く評価されるべきです。本気で「清潔な薬局づくり」に取り組む職場が、きっと見つかります。
転職は、現状から逃げる手段ではなく、自分の価値観と努力が正しく報われる場所を探す第一歩です。
【薬局の5S活動のやり方】 ≫薬局で5S活動をやるメリット








