
うちの薬局、整理整頓ができていません。探し物ばかりでムダな残業も増え気味……。安全面も心配です。いまの現場を改善できる、再現性のある方法はないでしょうか?
薬局が雑然としていると、作業効率だけでなく気持ちまで削られます。
必要な薬が見当たらず投薬が遅れる、分包紙や薬袋の発注漏れが起きる、メールやファイルが見つからない……。
どれも“個人の頑張り”では限界があり、仕組みで解決するのが本筋です。
意外かもしれませんが、現場のミスやムダ時間の多くは「探す」「迷う」「やり直す」から生まれます。
ここを断つ最短ルートが、製造業発の改善メソッド「5S」。薬局の安全・スピード・在庫の見える化まで、一気通貫で底上げできます。
本記事では、5Sの基本と薬局での実装方法、そして「なぜ5Sが調剤過誤を減らし、残業を削るのか」を、具体例に落として解説します。読み終えたら、その日から着手できる行動手順までわかります。
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全国に300店舗以上運営している大手調剤薬局チェーンの大型店舗で管理薬剤師をしています。管理薬剤師歴は15年以上。現在は転職サイトの担当者と連絡をとりつつ、中途薬剤師の採用活動にも携わっています。
pharma_di(ファマディー)
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面接をした中途薬剤師は軽く100人を超えました。 私は過去2回転職をしていて、1回目は大失敗。ブラック薬局で過ごした数年間は地獄そのもの。 ブラック薬局に入らない方法、そこから脱却した方法を他の薬剤師にも役立ててほしいと思い、当サイト「薬剤師のための転職ブログ・ファマブロ」を始めました。 このサイト内の記事は『過去2回の転職経験』と、『現在の薬剤師採用業務の経験と知見』を基に全て私が1人で書いています。
5Sは「探さない・迷わない・やり直さない」現場を作る仕組みです。薬局で徹底すれば、調剤過誤と残業は減り、在庫と動線が整います。最初の一歩は不要物を捨てる「整理」。次に「置き場所・数・表示」を決める整頓です。1か月で習慣化し、3か月で「当たり前」にできます。



私は管理薬剤師歴25年。小規模薬局〜大手チェーンで現場改善と教育・研修を担い、面接は500人以上、採用は100名超を支援してきました。5Sを入れた薬局は例外なくミスが減って回る――その具体策を余さず書きます。
5S活動とは整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)を行うこと


5Sは、現場を安全かつ効率的に維持するための基本動作を「誰でも・いつでも・同じ品質で」できるようにする考え方です。
5つの要素は、整理(必要と不要の区別)・整頓(取り出しやすく置く)・清掃(汚れを取り除き点検)・清潔(状態を維持)・躾(決めたことの習慣化)。
薬局では調剤の正確さ、投薬スピード、在庫の健全化に直結します。
「5S」の中身を薬局の仕事に置き換える
整理は「使う・使わない」の線引きです。紙の添付文書や古い社内資料、用途不明の事務用品は一時保管ではなく処分対象に。棚1段でも空ければ動線が変わります。
整頓は「場所・数・表示」を決めること。軟膏ベラやハサミ、輪ゴム、分包紙など小物こそ定位置と在庫数をラベルで可視化します。
清掃は単なる掃除ではなく点検の機会。分包機のローラー汚れ、散剤エリアの粉だまり、冷蔵庫の結露や温度記録など“異常の兆し”を見つける時間です。
清潔は「良い状態の維持」。開店前5分のルーチンや閉店前チェック表で日常化します。
躾は決めたルールを守る習慣。誰が見ても同じやり方になるまで、掲示と声かけで定着させます。
ポイントは、人の記憶や善意に頼らないこと。置き場・個数・方法を可視化して、誰が入っても同じ結果が出るようにします。属人化を外すほど、ミスとムダが減り、応援体制でもブレません。
5Sが安全とスピードに効く理由
薬局でのミスは「取り違え」「見落とし」「思い込み」から生まれます。
5Sはその根っこである「探す」「迷う」「置きっぱなし」を断ち切ります。
例えば、類似名称薬は同棚に近接させない・ラベルで強調する・回避扉を付ける。
これだけで取り違えは劇的に減少します。
さらに「調剤台に常備する器具を最小限にする」「軟膏・水剤・散剤の作業台をゾーニングし、使う道具をそのエリアに集約する」などの整頓で、移動と探す時間が消えます。
結果として鑑査に時間を回せるため、全体の安全度が上がり、投薬待ち時間も短縮されます。
スピードだけを追うと安全が揺らぎますが、5Sは逆です。
手順の迷いが消え、「ゆっくり正確に」できる時間を生む。この順序が、現場の安心と成果を同時に引き上げます。
導入の前提:役割とルールを文字にする
5Sは掛け声で終わります。効かせるには、役割とルールを紙1枚に落とすのが前提です。
例えば「朝:開店前5分の点検(担当A)/昼:作業台リセット(担当B)/夕:ゴミ出し・補充(担当C)」と時間帯×担当に分解。
チェック表は、誰が見ても完了がわかる仕様に。ルールの文言は短く具体的にして、写真・図で示します。
“できている状態の写真”を貼るのが最速です。



ここまで作れば、支援の薬剤師が来た日でも、通常と質の業務をおこなうことが可能となります。
薬局で5S活動を行うメリット(7つの理由)
薬局で5Sを回すと、ミス・時間・在庫・スペース・人間関係・機器トラブルまで、多面的に効いてきます。まずは全体像を押さえ、その後に各効果を深掘りします。
- 間違いが減る
- 物を探す時間が減る
- 過剰在庫がなくなる(薬・事務用品)
- 発注漏れがなくなる(薬・事務用品)
- スペースが有効活用できる
- 職場環境が良くなる
- 調剤機器の故障が減る
間違いが減る
調剤のルールは“守れば安全”。それでもミスが起きるのは、作業環境が人を迷わせるからです。
例えば、類似名称の配置・取り出しにくい棚・雑多な作業台。
5Sで「取り違いの芽」を先に摘みます。配置は薬効や使用頻度で揃え、類似名は離す。ラベルは太字で見やすく、数量は最小限の前出し。作業台は工程ごとに道具を限定し、終わったらリセット。
こうして“正しいが楽”な環境にすれば、自然とルールが守られます。
5Sは人を責めず、仕組みを直すアプローチ。
結果として鑑査の集中度が上がり、ヒヤリ・ハットの件数は目に見えて減ります。
また、記録物(温度記録・調整履歴・日誌)も所定位置に立てかけ、未記入箇所が一目で分かるように。
記録抜けは後日追記が増えミスの温床になりますが、5Sで「書きやすく置く」ことで抜けを抑制できます。
物を探す時間が減る
探す時間はゼロにできます。
ハサミ・定規・輪ゴム・薬袋・コピー用紙・スタンプ・トナー。
小物ほど迷子になりがちですが、定位置×定数×表示で消えます。
ポイントは「使う最寄りに置く」「数を決めて補充で満たす」「影絵や写真で戻す位置を示す」の3つ。
さらに「1か所に集中する小物」はカラビナやマグネットバーで複数の取り出し口を作り、偏りを防ぎます。
探し物ゼロになるだけで、現場は静かになり、イライラが減り、声かけも目的ベースになります。
1人1日10分の探索が消えれば、5人で月約17時間の削減。詰め替えや補充も短時間で終わり、閉店処理が軽くなります。
デジタルも同様です。PCの共有フォルダは「年-月」などで統一し、ファイル名は「日付_内容_版」。メールはルールで自動振り分け。物と同じく、データも探さない設計にしておくのが効果的です。
過剰在庫がなくなる(薬・事務用品)
「無いと思って発注したら、別の棚から出てきた」――過剰在庫の典型です。
5Sは「置き場所を1つに決める」「最小・最大の在庫量を表示する」「前出しで残量を見える化する」で解消します。
薬は自動発注でも、分包紙・薬袋・トナー・コピー用紙・ラベルなどは人の判断に依存しがち。
棚札に最小・最大の数を書き、最小を下回ったら補充するだけにすれば、判断のブレは消えます。過剰在庫はお金とスペースを同時に浪費します。5Sで在庫量が落ち着くと、発注頻度の平準化、棚卸の時短、期限切れリスクの低下まで連鎖的に効いてきます。
なお、在庫の「一時置き」は事故の元。返品予定や供給不安の薬は、専用ボックスを設けて管理し、期限で強制チェックをかけます。箱を分けるだけでミスは減ります。
発注漏れがなくなる(薬・事務用品)
発注漏れは「残量が見えない」「担当が曖昧」の2つで起きます。
5Sでは、補充ボックスを2つ用意し、前ボックスが空になった瞬間に“次を発注する合図”にします。
誰が見てもシグナルが出る仕組みにすれば、忙しい日でも抜けません。分包紙やラベル、薬袋などは棚面に「最小数ライン」をテープで表示。ラインを下回ったら、担当者が補充or発注。担当は曜日固定でローテーションし、引き継ぎも表で可視化します。これで「誰かがやったと思った」は消えます。
薬の自動発注があっても万能ではありません。
イベント(インフルシーズン、花粉期)や院外の処方変化に備え、週次で「よく切れる品目」だけ簡易レビューする仕組みを入れると、欠品の芽を早めに摘めます。
スペースが有効活用できる
不要物の山は、動線を細くし事故を招きます。紙の添付文書、用途不明の事務用品、保管期限を過ぎた書類、古い雑誌や書籍、販促物のぬいぐるみ……。これらを整理すれば、棚1段、机半面、通路数十センチが戻り、そこに“一番使うもの”を収められます。動線が広がると、すれ違い時の接触や落下も減り、歩数が下がります。空いたスペースに「患者さん説明用の掲示」「血圧計や衛生用品の常設」「緊急対応ボックス」を配置するなど、価値のある使い方に置き換えましょう。
スペースの余白は心の余白。見える景色がスッキリすると、声が落ち着きコミュニケーションが穏やかになります。結果的にミスも減ります。
✅紙の添付文書
✅使っていない事務用品
✅保管期限が過ぎた処方せん・薬歴
✅すでに誰の物かわからない書類
✅昔在籍していた人のハンコ
✅昔の日経DIなど無料送付雑誌
✅情報が古い書籍類
✅謎のぬいぐるみ(昔の販促品?)全て捨てても全く影響なし。
薬局内に不要なもの無いですか?
— ファマディー@管理薬剤師✕転職2回経験者(1回目は大失敗) (@pharma_di) June 6, 2022
職場環境が良くなる
散らかった環境は人の心も荒らします。
片づけができない現場は、お願いや指示が増えて関係がギスギスしがち。
5Sで「何を・どこに・いくつ」を決めると、余計な指摘が不要になり、会話は業務の本質に向きます。
新人や支援者も迷わず動けるので、「自分だけが知っている」情報が減り、属人化から解放。
これは休暇の取りやすさにも直結します。
なお、「同じチェーンの他薬局の例」では、5Sが弱い職場ほど退職が続いた時期がありました。逆に5Sを入れてからは人間関係のストレスが和らぎ、定着率が改善しています。
環境はメッセージです。整った薬局は「安心感」が患者さんにも自然に伝わります。



5S活動は採用面でも好影響。見学での第一印象が良く、良い人材が集まりやすくなります。
調剤機器の故障が減る
分包機・監査機器・プリンターの多くの不調は「汚れ・詰まり・清掃不足」です。
5Sでは、清掃をルーチンに組み込み、点検の観点を明文化します。
例えば「分包機:ローラー・カセット・センサー部を綿棒で清拭」「監査機器:ガラス面の指紋・粉を拭き取り」「プリンター:給紙ローラーのホコリ除去・トナー残量記録」など。
担当と頻度を表にして、朝・昼・閉店前に小分け。
清潔を維持すれば、紙詰まり・誤検知・印字不良が減り、突発停止が激減。機器の延命にもつながります。
トラブルが減ると、患者さん対応の中断も少なくなり、待ち時間短縮にも効きます。
清掃は「壊れる前のサインを見つける行為」。小さな違和感を拾える現場にしておけば、大きな停止を未然に防げます。
今日から始める5S:実装と定着のコツ
「やろう」と言っても続かない――これが多くの職場の壁です。ここでは、薬局で無理なく回る5Sの入れ方と、定着させる仕組みを具体的に示します。
ステップ1:まずは“整理だけ”を1週間で終える
全部やろうとしないのがコツ。
最初の1週間は整理だけに集中します。
対象は「使っていない物」「置き場の決まっていない物」「目的が重複している物」。作業台・引き出し・棚の上段から順に、赤い付箋で「迷い物」をマーキングし、仮置き場に集約。
チームで要否を判定し、処分・保管・現場に戻すの3択に仕分けます。紙の添付文書や過去資料は原則処分、法定保存が必要な書類は保存箱へ。捨てる基準は「半年使っていない」。
基準を明文化すると迷いが減ります。整理を先に終えると、整頓と清掃が一気に楽になり、“片づく快感”で弾みがつきます。
捨てる判断で悩む物は期限を決めて保留箱へ。箱に日付を書き、1か月後に再判定。保留が積み上がらない仕組みを先に用意します。
ステップ2:置き場所・数・表示を決める
整頓は「最短で取り、最短で戻す」設計です。
作業の流れに沿ってゾーニングし、道具と消耗品を最寄りに集約。
置き場ラベルは日本語で明確に、数は最小・最大を棚札で示し、前出しで残量を見える化します。類似薬は距離を取り、注意喚起のラベルで強調。
分包紙や薬袋はサイズごとに縦置き・色分け。戻す位置は影絵・写真で迷いゼロに。これで応援者や新人が来ても同じ動きができます。
戻すより、戻さざるを得ない設計にするのがポイント。ラベルや容器は最初に時間をかけて整える価値があります。
PCや書類の整頓も同じ。フォルダ名・ファイル名のルールを決め、共通テンプレートを用意。表紙1枚にルールを書いて共有棚に置けば、以降の教育コストは激減します。
ステップ3:清掃・清潔を“仕組み化”し、躾で回す
清掃は「気づきの点検」です。開店前5分で作業台と機器の汚れ・粉だまり・温度を確認、昼にリセット、閉店前に補充とゴミ出し。
時間帯×担当で表を作り、チェックの欄にサイン。週1で責任者が巡回し、良い状態の写真を更新。掲示の鮮度が落ちると運用も落ちます。
躾は「決めたことを続ける」ために、朝礼で1分の声かけと成功事例の共有を。できている人を褒めるのが最強の定着策です。加えて月1回のミニ棚卸で乱れをリセット。
5Sは小さく早くがコツ。大掃除ではなく、毎日の5分で回します。
現場が忙しくても続く形にすること。チェック表は短く、写真で示す。誰でも正しくできる設計が、習慣化の近道です。
Q&A|薬局の5Sに関するよくある質問
導入前後に必ず出る疑問をまとめました。現場で実際にあった質問と回答なので、そのまま周知や教育に使えます。
Q1: 5S活動の目的は何ですか?
安全と効率を同時に高めることです。薬局では「探す・迷う・やり直す」を減らし、調剤過誤の芽を摘み、待ち時間と残業を縮小します。さらに在庫の見える化で欠品と過剰を抑制。新人・応援者でも迷わず動ける標準化により、教育コストと属人リスクも低下します。結果として患者さんへの提供価値が安定し、スタッフの心理的安全性も高まります。
Q2: 何から始めればよいですか?
最初の1週間は整理だけに集中しましょう。使っていない物・置き場のない物を仮置き場に集め、要不要をチームで判定します。その後、整頓(置き場所・数・表示)→清掃(点検を兼ねる)→清潔(維持の仕組み)→躾(習慣化)の順で段階的に入れると、挫折しません。いきなり全部は禁物。小さく早く回し、成功体験を積んでから範囲を広げます。
Q3: 忙しくて続く自信がありません。
続かない原因は「時間が長い・やり方が人によって違う」の2つです。朝5分・昼3分・閉店前5分の短いルーチンに分解し、チェック表と写真で誰でも同じ結果になるように設計しましょう。担当は曜日ローテーションで偏りを防止。週1のミニ巡回で乱れをリセットすれば、忙しい日でも品質が落ちません。最初の2週間を越えると“ないと気持ち悪い”レベルで定着します。
Q4: 少人数の薬局でも効果はありますか?
あります。むしろ少人数こそ1人の欠勤や応援で崩れやすいため、5Sの恩恵が大きいです。置き場所・数・表示を先に決めておけば、誰が入っても回ります。小規模の強みは意思決定が速いこと。棚1段・引き出し1つなどスモールスタートで、1週間ごとにエリアを拡張していきましょう。効果が早く出て、継続のモチベーションになります。
Q5: 5Sと法令遵守は関係しますか?
密接に関係します。温度記録や日誌、分包機の点検記録など、必要書類の所在と記載の徹底は5Sの範囲です。所定位置にファイルを立て、記入ペンを付け、未記入が一目でわかるようにすれば、記録抜けは激減。監査時も即提示でき、患者さん対応に時間を残せます。5Sは「必要な情報にすぐアクセスできる」状態を作るため、法令遵守の土台になります。
Q6: 抵抗するスタッフへの対処は?
正論より体験です。まずは本人の担当エリアで「探さない設計」を一緒に作り、作業が楽になる実感を持ってもらいましょう。指摘ではなく「戻しやすい仕組み」で巻き込み、できている点を言語化して称賛します。無理に広げず、成功例を横展開。人は“楽”と“称賛”で動きます。ルール違反は個人攻撃ではなく仕組みの見直しで再発を防ぎます。
Q7: 在庫の最小・最大はどう決めますか?
過去3か月の消費量と納品リードタイムから決めるのが実用的です。最小は「次回納品までに切らさない量」、最大は「棚と期限に無理のない量」。頻出品は前出しで残量を見える化し、ラインを下回ったら補充・発注。イベント時期は一時的に最大を引き上げ、終わったら元に戻すルールを決めておきましょう。数式ではなく、“切らさず、抱えない”バランスで十分機能します。
Q8: 清掃の頻度はどのくらいが適切?
「毎日短く・週1で少し深く」が基本です。毎日は開店前5分と閉店前5分で表面の汚れと補充、週1は分包機や監査機器の詳細清掃、月1で棚の奥まで点検。頻度と担当は表にして掲示し、終わったらサイン。写真で“良い状態”を更新して、基準を具体化しましょう。短時間を継続すると、結果的に深い清掃にかかる時間が減り、機器の停止も減ります。
Q9: 5Sと患者満足は関係しますか?
関係します。整った環境は投薬までの流れをスムーズにし、待ち時間や説明の質に直結します。掲示やパンフレットの整頓は質問のしやすさにも影響。清潔なカウンターや見通しの良い調剤室は、患者さんの安心感と信頼につながります。見学に来た方の印象も良く、人材採用の点でもプラスに働きます。
Q10: それでも続かない時の最後の一手は?
続ける仕組みに“ご褒美”を足します。月1の5S表彰や、ビフォー・アフターの写真掲示、改善提案の小さなインセンティブなど。加えて、やらないと困る仕掛け(ラベルがないと補充できない、チェック表がないと締められない等)を設計します。人は面倒は嫌いですが、困ることは避けます。困らないと回る仕組みにして、行動を自然に誘導しましょう。
薬局の5S活動でミスと残業を減らす:まとめと次のステップ


- 5Sは探さない・迷わない・やり直さない現場を作る仕組み
- 効果はミス削減、残業圧縮、在庫健全化、動線改善、人間関係の安定に及ぶ
- 始め方は「整理→整頓→清掃→清潔→躾」。まずは整理だけ1週間で
- 置き場所・数・表示を決め、短時間ルーチンで清潔の維持を仕組み化
- チェック表・写真・ローテで続く仕組みにする
5S活動の目的は“単なる片づけ”ではなく、日々の仕事を楽にすることです。
ミスの芽を先に摘み、探し物とやり直しを消すことで、鑑査や患者さん対応に時間を回せます。機器トラブルや過剰在庫も減り、閉店作業が短くなります。
属人化を外すことで休みが取りやすくなり、従業員の心理面にも好影響。
今日の帰りに「捨てる箱」を1つ作り、使っていない物を入れる――ここから始めましょう。
明日は作業台の“定位置”を写真に撮り、ラベルを貼る。1週間後、あなたの薬局は今までとは違う姿になっているでしょう。
ここからは私の話です。新任で着任した薬局は、探し物とやり直しが日常でした。とにかくどこに何があるのかわからない状態。
薬の保管場所もルール通りになっていません。似た名前の薬は隣り合い、誰も悪くないのに過誤の芽がそこら中にありました。
私は「今日から5分だけ」と決め、まずはいらないものの処分から始めました。
最初はスタッフの反発もありましたが、ほとんど使っていないものでしたから捨てても全く問題は起こりません。
それどころか広くなりましたねという人も。
5S活動はすべての薬局で実施してほしいと思います。
同じチェーンの他薬局の例では、5Sが弱く退職が続いた時期もありました。忙しいから片づけられない――ではなく、片づけないから忙しいのです。
あなたの一言と小さな行動が、現場を変えます。今の薬局を良くしたいと思うなら、まずは整理から。もし「会社として改善の意思が無い」「安全より売上が最優先」なら、次の一歩を探しましょう。
私が見てきた中で、5Sが根づいている薬局は例外なく働きやすく、評価も上がり、休みも取りやすい。そんな環境は、必ず存在します。
スタッフにその気なんてない。働きづらい職場だなと悩んでいるのであればあなたがいるべき場所はそこではないということ。静かにその薬局から離れるのも選択肢の一つです。



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5S活動をやると決めたらまずは「整理」から。
≫【薬局の5S活動】整理についてはこちらをご覧ください。


整理の次は整頓です。


整頓の次は清掃です。


清掃の次は清潔。


そして最後が躾(しつけ)です。

