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薬局の5S活動とは?整理整頓で調剤ミス・残業・発注漏れを減らせる7つの理由


うちの薬局、整理整頓ができていません。探し物ばかりでムダな残業も増え気味……。安全面も心配です。いまの現場を改善できる、再現性のある方法はないでしょうか?



うちの薬局、いつも物が多くてゴチャゴチャしています。忙しい時間に限って薬や備品が見つからず、調剤も投薬も焦ります。薬局の5S活動って、何から始めればよいのでしょうか?
薬局が片づかないのは、あなたの性格の問題ではありません。
患者さんを待たせているときに、薬袋や分包紙が見つからない。投薬前に急いで確認したいのに、作業台が物で埋まっている。ハサミや電卓を探すだけで、数十秒が過ぎていく。
薬局で働いていると、一度は経験があるのではないでしょうか。
しかも、片づけをしているのはいつも同じ人。出しっぱなしにする人は決まっているのに、注意すると空気が悪くなる。
これ、かなり疲れますよね。
でも、個人の意識だけが原因ではありません。置き場所、戻し方、補充の基準が決まっていなければ、どんな薬局でも散らかります。
そこで役立つのが、薬局の5S活動です。
5Sは、ただの片づけではありません。薬局で使うなら、「探さない・迷わない・やり直さない」職場を作るための仕組みです。
本記事では、薬局で5Sを行う理由、今日から始める手順、スタッフを巻き込むコツ、そして5Sをやっても改善しない職場の考え方まで、薬局の具体例で解説します。
「片づけなきゃ」と自分を責める前に、まずは誰でも戻せる形を作るところから始めましょう。
薬局の5S活動は、調剤ミス・探し物・発注漏れ・残業を減らし、薬局の毎日の仕事を楽にする取り組みです。
最初にやるべきことは、不要な物を減らす整理です。次に、置き場所・数・表示を決める整頓を行います。そのうえで、清掃・清潔・躾を毎日の仕事に組み込みます。
5Sが根づくと、薬局は「誰が入っても同じように動ける職場」に近づきます。忙しい薬局ほど、先に置き場所とルールを決めないと、同じ探し物と同じイライラを繰り返すことになります。



私は管理薬剤師歴25年。小規模薬局から大手チェーンまで、職場の整理や教育・採用に関わってきました。置き場所とルールが曖昧な薬局では、まじめな人ほど疲れます。逆に5Sが根づいている薬局は、応援薬剤師が来た日でも混乱が少なく、スタッフの表情も落ち着いています。
薬局の5S活動とは?整理・整頓・清掃・清潔・躾を現場改善に使うこと
薬局の5S活動は、整理・整頓・清掃・清潔・躾で迷わず働ける環境を作る取り組み。


薬局の5S活動とは、整理・整頓・清掃・清潔・躾を使って、調剤ミス、探し物、発注漏れ、残業を減らす取り組みです。
目的は、見た目をきれいにすることではありません。薬剤師や事務スタッフが迷わず動き、必要な薬や備品をすぐ取れ、新人や応援薬剤師でも同じ場所に戻せる薬局を作ることです。
薬局の仕事は、薬、書類、備品、機器、患者情報が複雑に絡みます。物の置き方が乱れると、仕事全体が重くなります。
「なんで毎回こんなに探しているんだろう」
「片づけても、すぐ元に戻ってしまう」
そう感じているなら、個人の意識ではなく、薬局のルールを見直すタイミングです。
5Sの5要素を薬局業務に置き換える
5Sの5要素を、薬局業務に置き換えると次のようになります。
| 5S | 意味 | 薬局での具体例 |
|---|---|---|
| 整理 | 必要な物と不要な物を分ける | 古い資料、使っていない事務用品、保管期限切れの書類を処分する |
| 整頓 | 必要な物を使う場所に置く | 薬袋、分包紙、ハサミ、軟膏ベラ、輪ゴムの定位置と数を決める |
| 清掃 | 汚れを取り、異常に気づく | 分包機、監査機器、冷蔵庫、散剤台、調剤台を点検しながら清掃する |
| 清潔 | 良い状態を保つ | 開店前、昼、閉店前の短い確認を毎日の仕事に入れる |
| 躾 | 決めたルールを続ける | 写真、掲示、チェック表、当番制で全員が同じ場所に戻せるようにする |
では、最初に何をするのか。
答えは整理です。
不要な物が残ったままでは、整頓しても「並べ替え」で終わります。まずは、使っていない物を減らすことが先です。
「どこから捨てればいいかわからない」という方は、薬局の整理で捨てるべき物と情報を整理した記事もあわせて確認してみてください。最初に手をつける場所が見えてきます。


物だけでなく、情報やデータも5Sの対象になる
薬局の5Sというと、棚や作業台の片づけを思い浮かべる人が多いです。
でも、情報の整理も同じくらい重要です。
共有フォルダの中に古いファイルが残っている。メールの保存ルールが人によって違う。温度記録や日誌の保管場所が曖昧。最新版のマニュアルがどれかわからない。
これでは、物が片づいていても薬局は迷います。
ファイル名は「日付_内容_版数」でそろえる。温度記録や点検表は所定の場所に戻す。古い掲示物や期限切れの資料は残さない。
薬局の5Sは、物の置き方だけでなく、情報の探し方まで整える取り組みです。
薬局で5S活動をやるべき7つの理由
薬局で5S活動を行う理由は、ミスや探し物を環境の仕組みで減らすため。
薬局で5Sを行う最大のメリットは、スタッフの注意力だけに頼らず、ミスが起きる前に環境で防ぐことです。
探し物でイライラする時間が減り、発注漏れや備品切れで焦る場面も減ります。片づけが一部の人に偏らず、当番表を見て全員が同じように戻せる職場に近づきます。
すべて一気に変える必要はありません。まずは、あなたの薬局で一番困っているところから読んでください。
薬局で特に効果が出るのは、次の7つです。
- 調剤ミス・取り違えのリスクを下げられる
- 物を探す時間が減る
- 過剰在庫・期限切れが減る
- 発注漏れが減る
- 作業スペースと動線が広がる
- 職場環境と人間関係が落ち着く
- 調剤機器の故障やトラブルを減らせる
1. 調剤ミス・取り違えのリスクを下げられる
調剤ミスは、薬剤師の注意不足だけで起こるわけではありません。
類似名称薬が隣にある。規格違いの表示が小さい。棚のラベルが古い。作業台に物が多く、処方箋や薬が埋もれる。
この状態では、どれだけ慎重に作業していても、取り違えのリスクが上がります。
特に患者さんが多い時間帯は、少しの迷いが焦りに変わります。焦った状態で鑑査に入ると、確認の質も落ちます。
5Sでは、薬の配置、ラベル、作業台、確認の流れを整えます。類似名称薬は距離を離す。規格違いは表示を大きくする。使用頻度の高い薬は手前に置く。調剤台には、その工程で使う物だけを置く。
目指すのは、「気をつけて間違えない」ではありません。薬を取る前に、棚の表示で規格違いに気づける状態を作ることです。
5Sは、人を責めるための取り組みではありません。ミスが起きる場所を見つけて、薬局全体で直していく取り組みです。
2. 物を探す時間が減る
忙しい時間に限って、ハサミや軟膏ベラが見つからない。
薬袋を補充しようとしたら、予備の場所がわからない。
分包紙が切れそうなのに、在庫があるのか誰も把握していない。
薬局では、こうした小さな探し物が毎日のように起こります。
1回の探し物は30秒でも、1日に何度も起きれば大きなムダな時間です。スタッフが5人いれば、薬局全体ではかなりの時間を失っています。
整頓の基本は、定位置・定数・表示です。
- どこに置くかを決める
- いくつ置くかを決める
- 誰が見てもわかるように表示する
ハサミの場所が決まっていれば、「ハサミどこですか?」という会話が消えます。分包紙の最小数が見えていれば、切れる前に補充できます。
整頓をさらに具体的に進めたい場合は、薬局の整頓で置き場所とルールを決める方法もあわせて確認してください。探し物が多い薬局では、最初に見直したい部分です。


3. 過剰在庫・期限切れが減る
「無いと思って発注したら、別の棚から出てきた」
薬局では、意外とよくある話です。
薬だけでなく、薬袋、分包紙、ラベル、コピー用紙、トナーなどの事務用品でも同じことが起こります。
在庫の置き場所がバラバラだと、残量が見えません。残量が見えないと、不安になって多めに発注します。多めに発注すると棚が埋まり、次に探すときにまた見つかりません。
この悪循環を止めるのが5Sです。
置き場所を1か所に決め、最小在庫と最大在庫を表示します。棚を見た時点で「まだ足りる」「そろそろ発注」がわかる状態にします。
在庫は、多ければ安心ではありません。薬局に必要なのは、切らさず、抱えすぎない状態です。
過剰在庫が減ると、棚卸の手間も減ります。期限切れの薬や事務用品に気づくのも早くなります。
4. 発注漏れが減る
発注漏れは、担当者のうっかりだけで起こるわけではありません。
残量が見えない。発注の基準がない。誰が確認するのか決まっていない。
この状態では、忙しい日に発注漏れが起こります。
分包紙、薬袋、トナー、ラベルが足りないと、患者さんを待たせながら備品を探すことになります。忙しい時間ほど、職場の空気も一気にピリつきます。
発注漏れを減らすには、人の記憶ではなく棚の表示で管理します。
- 最小ラインを棚に表示する
- ラインを下回ったら発注する
- 発注担当と確認日を決める
- 一時置きの場所を作らない
棚を見ただけで不足に気づける状態なら、「誰かがやったと思った」は起こりません。
発注漏れは、気合いではなく見える化で減らします。
5. 作業スペースと動線が広がる
不要な物が多い薬局では、作業台も棚も通路も狭くなります。
紙の添付文書、古い雑誌、使っていない販促品、用途不明の事務用品、昔いた人のハンコ、誰のものかわからない書類。
「いつか使うかも」と残した物が、毎日の仕事の邪魔をしていることは少なくありません。
作業スペースが狭いと、薬を置く場所も、確認する場所も、記録を書く場所も圧迫されます。調剤台が物で埋まっているだけで、確認の集中力は削られます。
不要な物を減らすと、棚1段、机半面、通路数十センチが戻ってきます。
その余白に、よく使う物を置く。患者さんに説明する資料を整える。緊急対応ボックスを見やすい位置に置く。
スペースが戻ると、薬局の動きは変わります。人のすれ違い、作業の中断、物をよける動きが減ります。
- 紙の添付文書
- 使っていない事務用品
- 保管期限が過ぎた処方箋・薬歴
- すでに誰の物かわからない書類
- 昔在籍していた人のハンコ
- 古い無料送付雑誌や情報が古い書籍
- 用途がわからない販促品
捨ててよいか迷う物は、いったん保留箱へ。日付を書き、1か月後に使っていなければ処分候補にします。
6. 職場環境と人間関係が落ち着く
散らかった薬局では、余計な声かけが増えます。
「あれ、どこにありますか?」
「これ、誰が補充するんですか?」
「また出しっぱなしですよ」
言う側もしんどいです。言われる側もしんどいです。
片づけのルールがない薬局では、注意する側も、注意される側も疲れます。
5Sで置き場所とルールが決まると、余計な注意や確認が減ります。新人や応援薬剤師も迷わず動けるため、「知っている人だけがわかる仕事」も減ります。
これは休みの取り方にも関係します。
誰か1人しかわからない薬局では、その人が休むと職場が回りません。仕事の流れがそろっていれば、応援薬剤師が来た日でも、薬袋の場所や分包紙の残量を毎回説明せずに済みます。
まじめな人ほど、「自分が片づければいい」と抱え込みます。でも、それでは薬局全体のルールは変わりません。
物の置き場所が決まると、「あれどこ?」という会話が減り、スタッフ同士の空気も落ち着きます。
7. 調剤機器の故障やトラブルを減らせる
分包機、監査機器、プリンター、冷蔵庫のトラブルは、清掃不足で増えます。
分包機のローラー汚れ。散剤エリアの粉だまり。監査機器のガラス面の汚れ。プリンターの紙詰まり。冷蔵庫の結露や温度記録漏れ。
どれも小さなことに見えますが、忙しい時間帯に起こると薬局の動きが止まります。
清掃は、単に汚れを取る作業ではありません。異常に早く気づくための点検です。
毎日見る場所と、週1回しっかり見る場所を決めます。分包機のローラー、散剤台、監査機器のガラス面、冷蔵庫の温度記録など、止まると困る場所から確認しましょう。
清掃の考え方を深掘りしたい場合は、薬局の清掃で見るべき場所と掃除との違いもあわせて読んでください。清掃の時間に、汚れだけでなく機器の異常も一緒に見ます。


薬局5S活動の始め方|今日からできる3ステップ
薬局5S活動は、不要物を減らし、置き場所を決め、毎日の確認に組み込むことから始める。
薬局の5Sは、いきなり全体を変えようとすると止まります。
患者さん対応、疑義照会、薬歴、発注、在宅対応。薬局の一日は、それだけでいっぱいです。
だから最初から完璧を目指さなくて大丈夫です。引き出し1つ、棚1段、作業台1か所。そこから始めましょう。
進め方は、次の3ステップです。
- 1週間で不要物を集める
- 置き場所・数・表示を決める
- 清掃と清潔を毎日の仕事に入れる
引き出し1つなら、忙しいスタッフにも「これなら今日できそう」と思ってもらえます。
ステップ1:1週間で不要物を集める
最初の1週間は、整理だけに集中します。
整理も整頓も清掃も一気にやろうとすると、忙しい薬局では続きません。まずは不要な物を集めるだけで十分です。
対象は、次のような物です。
- 半年以上使っていない物
- 置き場所が決まっていない物
- 用途が重複している物
- 古い資料や不要な掲示物
- 誰の物かわからない書類や備品
- 保管期限を過ぎた物
- 昔いたスタッフのハンコ
- 古い雑誌や販促品
捨てるか迷う物は、いきなり処分しなくても構いません。
まずは「保留箱」を作り、日付を書いて1か月後に再判定します。保留箱に入れたまま一度も使わなかった物は、処分候補にしましょう。
不要な物は、薬局内に散らばらせたままにしません。まず1か所に集めます。
不要な物が減るだけで、置き場所決めと清掃は一気に進みます。
ステップ2:置き場所・数・表示を決める
整理が終わったら、次は整頓です。
整頓で決めるのは、主に3つです。
- どこに置くか
- いくつ置くか
- どう表示するか
たとえば、軟膏ベラは軟膏台の近く。輪ゴムは薬袋を作る場所。分包紙はサイズごとに縦置き。コピー用紙やトナーは最小数を棚に表示。
使う場所の近くに置き、数を決め、誰が見てもわかるように表示します。
文字だけではなく、写真も使いましょう。
「正しい状態の写真」を貼っておくと、新人や応援薬剤師でも戻す場所がわかります。
整頓の目的は、きれいに並べることではありません。最短で取り、最短で戻すことです。
置き場所を決めてもすぐ乱れる場合は、薬局の整頓で置き場所とルールを決める方法を見ながら、戻す場所の表示を見直してください。


ステップ3:清掃と清潔を毎日の仕事に入れる
最初だけきれいにしても、1週間後に元通りでは意味がありません。
5Sで必要なのは、良い状態を保つことです。
そのために、清掃と清潔を毎日の仕事に入れます。
- 開店前5分:作業台、機器、冷蔵庫温度、記録物を確認
- 昼3分:作業台と備品をリセット
- 閉店前5分:補充、ゴミ出し、分包機周辺の清掃
- 週1回:棚、機器、在庫、掲示物を点検
時間を長くしないことがポイントです。
「毎日30分やる」と決めても、忙しい薬局では途中で止まります。最初は毎日5分で十分です。
清潔の維持については、調剤薬局の5S活動における清潔の考え方でも詳しく解説しています。清掃した状態をどう保つかで、5Sの成果は大きく変わります。


5Sを続けるコツ|スタッフを責めず、仕組みで回す
5Sを続けるコツは、スタッフを責めず、写真・チェック表・当番制で仕組み化すること。
5Sで難しいのは、始めることより続けることです。
最初の数日はきれいになっても、1か月後には元通り。薬局ではよくあります。
でも、それはスタッフの意識が低いからとは限りません。
続かない薬局は、続ける形が足りないだけです。
写真で「正しい状態」を共有する
言葉だけのルールは、人によって解釈が変わります。
「きれいにしておいて」と言われても、どこまで戻せばよいのかは人によって違います。
だから写真を使います。
作業台、薬袋棚、軟膏台、分包紙、冷蔵庫、記録ファイルなど、良い状態の写真を撮って貼っておきます。
写真があれば、新人でも応援薬剤師でも「ここまで戻せばよい」とわかります。
5Sでは、正しい状態を言葉だけで伝えません。写真で見せます。
チェック表は細かくしすぎない
チェック表は便利ですが、細かくしすぎると続きません。
項目が多すぎると、職場はチェック表を埋めることに追われます。
最初は、朝・昼・閉店前に3〜5項目だけで十分です。
- 作業台は戻っているか
- 分包機周辺に粉だまりはないか
- 薬袋・分包紙の残量は足りているか
- 冷蔵庫温度は記録したか
- ゴミ・不要物が残っていないか
チェック表は、スタッフを縛るためのものではありません。
忙しい日でも、薬局を元の状態に戻すための道具です。
担当者を固定しすぎず、全員で回す
5Sの担当を1人に固定すると、その人が休んだ瞬間に崩れます。
また、「片づける人」と「散らかす人」が分かれると、不満が生まれます。
おすすめは、曜日ごとの当番制です。
月曜はAさん、火曜はBさん、水曜はCさんというように、全員が少しずつ関わる形にします。
全員が関わると、「自分の薬局を整える」という意識が生まれます。
5Sの最後にある「躾」は、怒ることではありません。決めたことを自然に続ける状態を作ることです。スタッフ全員で5Sを続けたい方は、薬局スタッフのしつけと5Sを習慣化する方法もあわせて読んでください。


スタッフが協力しないときは、小さな棚から始める
5Sを始めようとすると、最初に返ってくるのは前向きな反応ばかりではありません。
「今でも忙しいのに、また仕事を増やすの?」
「前にもやったけど続かなかった」
「別に今のままで困っていない」
こう言われると、提案した側もつらいですよね。
ここで「ちゃんと片づけてください」と言うと、反発されます。
まずは、「この棚だけ、探す時間を減らしたいので一緒に決めませんか?」と小さく提案しましょう。
引き出し1つ、薬袋棚1段、軟膏台の道具だけ。範囲を小さくすると、スタッフも「それなら今日できる」と思えます。
一度「探す時間が減った」と感じてもらえれば、「次は薬袋棚もやってみよう」と声をかける流れが作れます。
月1回だけ基準を見直す
5Sのルールは、一度作ったら終わりではありません。
処方内容、患者数、スタッフ数、在宅対応の有無によって、使う物や動き方は変わります。
月1回だけでよいので、次の点を見直しましょう。
- 使いにくい置き場所はないか
- 補充が多すぎる備品はないか
- 逆に切れやすい物はないか
- 写真と現状が合っているか
- 誰かに負担が偏っていないか
完璧なルールを最初から作る必要はありません。
小さく始めて、薬局に合わせて直していけば十分です。
5Sで残業は減る?薬局業務が回りやすくなる理由
5Sは探す時間・迷う時間・やり直す時間を減らし、薬局業務を回りやすくする。
5Sを続けると、残業は減ります。
閉店後に大きな仕事が突然残るというより、日中の小さなムダな時間が積み上がって残業になります。
薬歴が後回しになり、発注確認にも時間がかかる。備品切れで作業が止まり、作業台を片づけてからでないと次の仕事に進めない。
この積み重ねが、閉店後の疲れにつながります。
「忙しいから片づけられない」と思う日もあります。
でも実際には、片づいていないから余計に忙しくなっていることもあります。
5Sで物と情報の流れを整えると、探す時間、迷う時間、やり直す時間が減ります。探し物に使っていた時間を、鑑査、服薬指導、薬歴に戻せます。
もちろん、5Sだけですべての残業がなくなるわけではありません。人員不足、会社方針、薬歴運用、在宅対応の負荷など、別の原因もあります。
残業が慢性的に多い薬局で悩んでいる場合は、薬剤師の残業理由と残業が多い薬局の特徴もあわせて確認してみてください。5Sで直せる部分と、職場全体の問題として見るべき部分を分けて考えられます。


実際に5Sを入れた薬局で起きた変化
薬局に5Sを入れると、棚や作業台に余白が戻り、探し物とやり直しが減る。
ここからは、私が実際に経験した話です。
新任で着任した薬局は、探し物とやり直しが日常でした。
薬の保管場所もルール通りになっていません。似た名前の薬が隣り合い、規格違いの表示も見づらい。誰も悪気はないのに、調剤ミスの芽があちこちにありました。
最初にやったのは、大きな改革ではありません。
「今日から5分だけ」と決めて、いらない物を捨てるところから始めました。
紙の添付文書、古い雑誌、使っていない事務用品、昔いたスタッフのハンコ、用途のわからない販促品。最初はスタッフから反発もありました。
「捨てて大丈夫なんですか?」
「前からここにありますよ」
そう言われました。
でも、実際に捨てても困ることはほとんどありませんでした。むしろ棚が空き、作業台が広がり、「前より動きやすいですね」と言うスタッフも出てきました。
同じチェーンの別薬局では、5Sが弱く、退職が続いた時期もありました。忙しいから片づけられないのではなく、片づいていないから毎日が余計に忙しくなっていたのです。
5Sは、すぐに薬局を完璧に変える魔法ではありません。
でも、毎日の小さなストレスを減らします。探し物を減らし、確認しやすい環境を作り、スタッフの空気を少しずつ変えます。
だから私は、すべての薬局で5Sをやってほしいと思っています。
5Sをやっても改善しない薬局はどう考えるべきか
5Sで改善しない薬局は、個人の努力と職場の仕組みの問題を分けて考えるべき。
ここまで、薬局の5Sのメリットと進め方を解説してきました。
ただ、現実には、個人の努力だけでは変えられない職場もあります。
たとえば、次のような薬局です。
- 5Sを提案しても「忙しいから無理」で終わる
- 安全より売上や処方箋枚数が優先される
- ルールが曖昧なまま、現場判断だけを求められる
- 片づけや補充の負担が一部の人に偏っている
- 人員不足で改善する余裕がまったくない
- ミスが起きても個人責任で片づけられる
こういう職場で疲れているなら、あなたの努力不足ではありません。
片づけても片づけても元に戻る。ルールを作っても誰も守らない。安全のために提案しても聞いてもらえない。
この状態が続くと、まじめな人ほど苦しくなります。
特に、ルールが曖昧な薬局では、現場の薬剤師に責任が偏ります。判断基準が見えない職場に不安がある方は、薬局のルールが曖昧で怖い薬剤師向けの記事も読んでおくと、今の職場の危険サインを整理できます。


また、5S以前に「忙しすぎて休めない」「毎日疲れ切っている」という状態なら、職場の仕組みそのものを見直す必要があります。近い悩みがある方は、忙しすぎて休みが取れず、もう嫌になった薬剤師向けの記事も参考にしてください。


もちろん、すぐに転職を考える必要はありません。
まずは、できる範囲で改善を試す。上司や管理薬剤師に相談する。小さなエリアだけでも5Sを始めてみる。
それでも変わらないなら、次に考えるべきなのは、「この職場で働き続けて、自分の心身と薬剤師としての安全を守れるか」です。
今の職場で改善を続けるべきか。異動や相談で解決するのか。それとも、別の職場環境も見ておいた方がよいのか。
診断は「転職しなさい」と決めつけるためのものではありません。
今の薬局でがんばるべきなのか、少し距離を置いた方がよいのか、別の職場も見ておいた方がよいのか。自分の状態を一度外から見るためのものです。
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Q&A|薬局の5Sでよくある質問
薬局の5Sは、整理から小さく始め、短時間で続ける形にすると定着しやすい。
ここでは、薬局で5Sを始めるときに出やすい悩みに答えます。
Q1. 薬局の5S活動は何から始めればよいですか?
最初は整理です。
使っていない物、置き場所が決まっていない物、保管期限を過ぎた物を集めます。薬局全体ではなく、引き出し1つ、棚1段、作業台1か所から始めましょう。
Q2. 忙しい薬局でも5S活動は続きますか?
長時間の活動にしなければ続きます。
開店前5分、昼3分、閉店前5分のように、短い作業として薬局の流れに入れましょう。大掃除ではなく、毎日の小さなリセットとして続けます。
Q3. スタッフが協力してくれないときはどうすればよいですか?
小さな範囲に絞って提案しましょう。
「ちゃんと片づけてください」と言うより、「この棚だけ探す時間を減らしたいので、一緒に置き場所を決めませんか?」と小さく提案しましょう。薬袋棚1段、軟膏台の道具だけ、分包紙の置き場所だけなど、範囲を絞ると反発が減ります。
Q4. 管理薬剤師でなくても5S活動を提案してよいですか?
提案して大丈夫です。
ただ、いきなり薬局全体のルールを変える必要はありません。まずは自分がよく使う場所、探し物が多い場所、補充漏れが多い場所を1つ選び、「ここだけ整えてみませんか」と相談する形が安全です。
Q5. 5S活動で本当に残業は減りますか?
5Sだけですべての残業はなくなりません。
ただ、探し物、やり直し、発注漏れ、補充忘れ、作業台の乱れが減るため、閉店後に残る仕事は減ります。人員不足や会社方針が原因の残業とは分けて考えましょう。
Q6. 5S活動が形だけになったときはどうすればよいですか?
いったん目的に立ち返りましょう。
5Sの目的は、きれいに見せることではありません。安全に、早く、迷わず働ける状態を作ることです。チェック表だけが増えて職場が楽になっていないなら、項目を減らし、写真やラベルで戻す場所をわかりやすくしてください。
Q7. 5S活動をしても職場が変わらない場合はどう考えればよいですか?
個人の努力で変えられる範囲と、会社や管理体制の問題は分けて考えましょう。
安全のための提案を聞いてもらえない、片づけや補充が一部の人に偏る、ミスを個人責任で終わらせる職場なら、今後も同じ負担が続く可能性があります。
まとめ|薬局の5S活動は、働きやすい職場を作る土台
薬局の5S活動は、調剤ミス・探し物・残業を減らし、働きやすい職場を作る土台。


薬局の5S活動は、見た目を整えるためだけの取り組みではありません。
調剤ミスを減らし、探し物をなくし、発注漏れを防ぎ、残業を減らし、職場環境を整えるための仕組みです。
- 5Sは整理・整頓・清掃・清潔・躾の5つ
- 最初にやるべきことは、不要な物を減らす整理
- 整頓では、置き場所・数・表示を決める
- 清掃は、汚れを取るだけでなく異常に気づくための点検
- 清潔は、良い状態を保つこと
- 躾は、決めたことを自然に続ける状態を作ること
- 5Sが根づくと、ミス・残業・在庫のムダ・人間関係の負担が減る
今日から始めるなら、まずは「捨てる箱」を1つ作ってください。
使っていない物、置き場所が決まっていない物、古い資料、不要な備品を集めるだけでも、薬局の見え方は変わります。
次に、よく使う物の置き場所を決めます。ラベルを貼ります。写真を撮ります。戻す場所を誰でもわかるようにします。
小さな一歩で大丈夫です。
片づけが苦手なのではなく、片づく形がなかっただけ。そう考えれば、探し物が減り、作業台に余白が戻り、スタッフの声かけも変わります。
ただし、どれだけ改善しようとしても、会社や上司が安全に向き合わない職場もあります。
その場合は、自分だけを責めないでください。
5Sが根づいている薬局、ルールが明確な薬局、スタッフが安心して働ける薬局はあります。
今の職場で改善できることを試しつつ、それでも変わらないなら、今後の働き方を一度整理してみましょう。
- まず不要物を減らしたい方:薬局の整理できてますか?整理すべきは物と情報(データ)
- 探し物を減らしたい方:薬局の整頓はできてますか?置き場所を決めてルールを守る
- 分包機や機器トラブルを減らしたい方:薬局の清掃はできてますか?掃除と清掃の違い
- きれいな状態を保ちたい方:調剤薬局の5S活動『清潔』とは?
- スタッフ全員で続けたい方:薬局スタッフのしつけってどうするの?











