薬剤師に誰も教えてくれない調整手当の話│前職給与考慮の転職は要注意
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過去に転職した薬剤師

給与明細に調整給という項目があって、年々減っています。

転職してからというもの、基本給は上がっているのですが調整給が減っていくのでトントンです。

この調整給って一体どういうものなのでしょうか?

pharma

このような薬剤師の疑問に答えていきます。

 本記事の内容
この記事を読むと次のことがわかります。

  • 調整給・調整手当とは
  • 調整給・調整手当があること自体は悪くない
  • 調整給・調整手当が無くなったら
自己紹介

pharma_di(ファマディー)
転職2回の大手チェーン調剤薬局の管理薬剤師。薬剤師や薬局事務の採用活動にも携わっています。

転職に失敗する薬剤師をゼロにしたいという思いで、自らの経験を基に記事を作成しています。
詳しい自己紹介

給与明細に見慣れない項目があると疑問に思いますよね。

とくに質問が多いのがこの調整給・調整手当です。

今回は、給与明細に出てくる調整給・調整手当について見ていきましょう。

調整給・調整手当は様々な場面で使用される項目です。

今回は転職をした薬剤師の給与明細に出てくる調整給・調整手当の話です。

調整給・調整手当とは

薬剤師の中途採用の求人で以下の言葉を目にしたことがあるのではないでしょうか?

  • 年齢や経験・スキルなどを考慮し当社規程により決定
  • 前職の年収を考慮
  • 要相談

 

月給:24万5,000円以上 ※経験・年齢により規定にて優遇  アイングループ

年収356万円~738万円  そうごう薬局

月給270,000円〜520,000円(各種手当含む) ※経験を考慮し当社規定による  日本調剤

(大手調剤薬局チェーン3社の中途採用募集要項より)

他社でも同様で「当社規定により優遇」、「当社規定に準ずる」、「給与は能力と経験により応相談」といった言葉並びます。

あなたが中途でこれらの薬局に転職をしようとしても、いったい給与がいくらなのか、この表記だけではわかりませんね。

 

中途で採用した薬剤師(転職してきた薬剤師)の給料がどのように決まるのかは以下にまとめましたのでご覧ください。

 

転職希望者の現在の年収と自社の基準と比較した際、転職希望者の年収の方が低い場合には、前職の給与や経験・スキルを考慮して金額が上乗せされます。

 

この上乗せされた金額のことを「調整給」または「調整手当」と呼ばれます。

 

この調整手当を試算した給与に上乗せすることで、前職給与と比べてだいたい同じか少し多くなるように調整してくれるというわけです。

 

あなたの給与が提示され、あなたはB薬局とC薬局のどちらに転職しようか悩んでいるとします。

 

あなたが現在A薬局で勤務しているとしましょう。月収は40万円です。

 

前職給与等を考慮する薬局(調整手当有)とない薬局(調整手当なし)の比較

現在A薬局に勤めるあなたの月収40万円。B薬局とC薬局から給与の提示それぞれ受けました。

B薬局(前職の給与・経験の考慮有) 提示給与42万円(調整手当2万円含む)

C薬局(前職の給与・経験の考慮なし)提示給与41万円(調整手当無し)

 

さあ、あなたはBとCどちらの薬局に転職すると金額的にお得でしょうか?

(毎年の昇給額はどちらの薬局も1万円、その他手当はわかりやすくするために同じとします。)

入社1年目(転職時)の薬剤師給料

B薬局(前職の給与・経験の考慮あり):入社時月収40万円+調整手当2万円=月収42万円

提示された給与通り、42万円です。

 

C薬局(前職の給与・経験の考慮なし):入社時月収41万円

こちらも提示された通り、41万円です。

入社2年目(転職1年後)の薬剤師給料

2年目になり、B薬局、C薬局ともに1万円昇給しました。

B薬局:40万円+調整手当1.5万円1万円(昇給)=月収42.5万円

C薬局:41万円+調整手当      0円+1万円(昇給)=月収42万円

 

B薬局は調整手当が2万円から1.5万円に減ったことにより、実質的な昇給額が5千円に抑えられています。

入社3年目(転職2年後)の薬剤師給料

B薬局:40万円+調整手当1万円1万円(2年目昇給分)1万円(3年目昇給分)=月収43万円(

C薬局:41万円+調整手当   0円+1万円(2年目昇給分)1万円(3年目昇給分)=月収43万円

ここでも調整手当により、B薬局では実質的な昇給額が5千円に抑えられています。

B薬局とC薬局で月収が並びました。

入社4年目(転職3年後)の薬剤師給料

B薬局:40万円+調整手当0.5万円1万円(2年目昇給分)1万円(3年目昇給分)1万円(4年目昇給分)=月収43.5万円

C薬局:41万円+調整手当      0円+1万円(2年目昇給分)1万円(3年目昇給分)1万円(4年目昇給分)=月収44万円

 

調整手当がまだあるので、B薬局の昇給額は5千円です。

ついにC薬局の方が月収が高くなりました。

入社5年目(転職4年後)の薬剤師給料

B薬局:40万円+調整手当 0円1万円(2年目昇給分)1万円(3年目昇給分)1万円(4年目昇給分)1万円(5年目昇給分)=月収44万円

C薬局:41万円+調整手当 0円+1万円(2年目昇給分)1万円(3年目昇給分)1万円(4年目昇給分)1万円(5年目昇給分)=月収45万円

B薬局の調整手当が無くなりました。

入社6年目(転職5年後)の薬剤師給料

B薬局:40万円+調整手当 0円1万円(2年目昇給分)1万円(3年目昇給分)1万円(4年目昇給分)1万円(5年目昇給分)1万円(6年目昇給分)=月収45万円

C薬局:41万円+調整手当 0円+1万円(2年目昇給分)1万円(3年目昇給分)1万円(4年目昇給分)1万円(5年目昇給分)1万円(6年目昇給分)=月収46万円

 

7年目以降同様です。

 

前職考慮ありのB薬局と前職考慮なしのC薬局ではどのくらい給料の差が出たでしょうか。

 

月収を単純に12倍して年収を出して計算してみます。

調整手当ありと無しで起こる年収差

初めの2年間こそ、提示された金額が多かったのでお得でしたが、4年目以降はC薬局の方が年収が多くなっています。

 

 

少しB薬局の条件を変えてみましょう。

B薬局(前職の給与・経験の考慮有) 提示給与43万円(調整手当2万円含む)

C薬局(前職の給与・経験の考慮なし)提示給与41万円(調整手当無し)

するとどうでしょう。

結果は、

調整手当がある場合とない場合での年収比較

4年目まではB薬局の方が年収が高くなりますが、5年目以降はどちらの薬局も同じ年収となります。

この場合、調整給の60万円分だけB薬局の方が年収が多くもらえるという結果になりました。

 

調整給・調整手当があること自体は悪くない

自社の給与水準と転職者の給与水準にずれが生じている場合に支給される調整給や調整手当ですが、支給されること自体は悪いことではありません。

 

2つ目の条件のように、結果的に得をすることもあります。

あくまでも今回の例は仮のもの。調整手当が毎年0.5万円ずつ減るとは限りませんが、この考え方で基本的には間違いありません。

いずれにせよ、調整給や調整手当は時期が来れば0になるということだけはしっかりと理解しておきましょう。

 

 

 

調整給・調整手当が無くなったら

調整給や調整手当が無くなったことが何を意味するか。

 

その会社の給与水準に一致したということです。

言い換えれば、前職の経験やスキルを考慮していた部分が完全に消えたという事。

 

ここで別の会社に転職して、『前職の経験やスキルを考慮』をまたもらうという手もありますね。

 

まとめ

  1. 調整手当は昇給の前払い的なもの。最終的には0になる。
  2. 調整手当が0になったという事は、その会社の給与水準に一致したということ
  3. 見た目の年収に釣られると、調整手当の存在により結果的に損をしてしまう可能性がある

 

ここまで調整手当を説明してきましたが、ちょっと難しかったかもしれません。

転職の際は、前職の経験やスキルを考慮してくれればうれしいが、それが調整手当という形での考慮だと長期的に見れば大きな差ではなくなります。

前職の経験やスキルを考慮してくれるかでどうかで転職先の薬局を決める必要はないという事です。

それ以外の希望条件を重点的に比較しましょう。