「在宅をやっている薬局は強い」
そう言われても、実際には何をもって“強い”と言うのか、はっきり説明できる薬剤師はそれほど多くありません。
在宅件数がある。
訪問に行っている。
個人宅も少しやっている。
それだけで十分なのかと言われると、2026年(令和8年度)調剤報酬改定の流れを見る限り、そう単純ではありません。
今回の改定では、在宅薬学総合体制加算1が15点から30点へ、在宅薬学総合体制加算2イ(個人宅)が50点から100点へ引き上げられました。
一方で、在宅薬学総合体制加算2ロ(施設)は50点のままです。
この改定で本当に強くなるのは、在宅を“やっている”薬局ではありません。
在宅を“体制として回せる”薬局です。
もしあなたが今、
- 在宅薬学総合体制加算が何を評価しているのか曖昧
- 加算1と加算2の違いがよく分からない
- 個人宅と施設でなぜ評価が違うのか知りたい
- 転職先を選ぶ時に「本当に在宅に強い薬局」を見抜きたい
と感じているなら、このテーマはかなり重要です。
この記事では、在宅薬学総合体制加算とは何かを出発点に、2026年改定で何が変わったのか、なぜ在宅対応薬局の評価が強化されたのか、そして本当に在宅を回せる薬局とはどんな薬局なのかを、実務目線でわかりやすく整理していきます。
在宅薬学総合体制加算とは?2026年改定の結論を先に解説
最初に結論から言います。
在宅薬学総合体制加算は、在宅患者に対する薬学的管理・指導を行うための体制を評価する加算です。
そして2026年改定でより明確になったのは、在宅に行っているだけでは足りず、在宅を継続的かつ高度に回せる体制を持つ薬局が強く評価されるということです。
特に、加算1は15点から30点へ倍増し、加算2イは50点から100点へ倍増しました。これは、単に在宅件数を持っている薬局ではなく、個人宅対応まで含めて在宅をしっかり回せる薬局をより強く評価する流れと考えると分かりやすいです。
この流れを現場目線で言い換えると、
- 在宅に少し関わっている薬局
- 在宅を担当者の根性で回している薬局
- 施設だけで件数を作っている薬局
よりも、
- 個人宅対応ができる
- 緊急時にも動ける
- 高度な薬学的管理ができる
- 多職種連携がある
- 薬局全体で在宅を回せる
薬局の方が、今後の制度で有利になりやすいということです。
在宅の重要性そのものは、在宅をやっていない薬剤師は危ない?2026年調剤報酬改定後に市場価値が上がる薬剤師・下がる薬剤師 でも解説しています。この記事では、その一歩先、在宅に強い薬局は何を持っているのかを具体的に見ていきます。

2026年改定で在宅薬学総合体制加算は何が変わったのか
今回の改定でいちばん分かりやすい変化は、やはり点数の見直しです。
- 在宅薬学総合体制加算1:15点 → 30点
- 在宅薬学総合体制加算2イ(個人宅):50点 → 100点
- 在宅薬学総合体制加算2ロ(施設):50点 → 50点
この数字だけでも、制度のメッセージはかなり明確です。
特に目立つのは、個人宅の評価が大きく引き上げられたことです。
ここで読み取るべきなのは、単に「在宅の点数が上がった」という話ではありません。
“どの在宅”がより強く評価されたのかが大切です。
個人宅在宅は、施設在宅よりも、患者ごとの個別性が高く、家族背景や生活環境の影響が大きく、服薬管理のばらつきも出やすくなります。
さらに、緊急時や状態変化への対応、医師・訪問看護・ケアマネとの連携も重要になりやすいです。
だからこそ、個人宅をきちんと回せる薬局は、単に訪問件数があるだけの薬局よりも、在宅医療を本当に支える力がある薬局として評価されやすくなります。
この点数増加の流れは、地域支援・医薬品供給対応体制加算とは?2026年改定で評価される薬局の条件を解説 ともつながります。
地域で薬を切らさず回せる薬局が評価されるのと同じように、在宅で患者を支え続けられる薬局も、体制そのものが問われる時代に入ってきています。

在宅薬学総合体制加算1・2イ・2ロの違いをわかりやすく解説
ここは制度名検索で流入した読者が最も知りたい部分のひとつです。
まず大きく分けると、在宅薬学総合体制加算1と在宅薬学総合体制加算2があります。
わかりやすく言えば、加算1は在宅患者に対する薬学的管理・指導を行うために必要な体制の評価、加算2はより高度な薬学的管理・指導を行う体制と十分な実績を持つ薬局の評価です。
つまり、加算2の方が、より高度な在宅体制+実績を求められる位置づけです。
そのうえで、加算2はイとロに分かれます。
- 2イ:単一建物診療患者または単一建物居住者が1人の場合
- 2ロ:それ以外の場合
ここから分かるのは、個人宅と施設で評価を分けているということです。
そして今回の改定では、2イだけが大きく上がり、2ロは据え置きでした。
これにより、制度上も、個人宅在宅をどれだけ回せるかの価値がより鮮明になったと言えます。
在宅で医師と薬剤師が同じ場で介入する評価は、訪問薬剤管理医師同時指導料とは?2026年改定で進む医師と薬剤師の同時訪問を解説 で、単独では難しい患者に複数名で入る評価は、複数名薬剤管理指導訪問料とは?2026年改定で評価される「単独では指導困難な在宅患者」への介入を解説 で詳しく解説しています。
こうした個別評価を実際に回せるのが、在宅薬学総合体制加算を取れる薬局だと考えると整理しやすいでしょう。


なぜ2026年改定で在宅対応薬局の評価が強化されたのか
ここで大切なのは、「なぜ今回ここまで在宅が強く評価されたのか」を理解することです。
制度の流れとしては、今後在宅で療養する患者の増加を踏まえ、必要な在宅医療提供体制を整備することが強く意識されています。
在宅では、
- 外来より個別性が高い
- 患者の生活背景が治療に直結する
- 家族や介護者の負担が大きい
- 緊急時対応や状態変化対応が必要になる
- 多職種連携がないと成り立ちにくい
という特徴があります。
だから、制度としても、外来中心で調剤を回す薬局と、在宅まで含めて地域の中で薬物療法を支えられる薬局を同じようには扱わなくなってきています。
在宅の重要性そのものは 在宅をやっていない薬剤師は危ない?2026年調剤報酬改定後に市場価値が上がる薬剤師・下がる薬剤師 でも詳しく触れていますが、今回の在宅薬学総合体制加算の見直しは、その流れを薬局体制の評価にまで落とし込んだものです。
在宅薬学総合体制加算を取れる薬局は何が強いのか
この加算を取れる薬局が強い理由は、単に点数がつくからではありません。
本当に強いのは、在宅を人の根性ではなく、仕組みで回せることです。
たとえば、在宅薬学総合体制加算を取れる薬局は、一般に次のような特徴を持ちやすいです。
- 個人宅在宅に対応できる
- 緊急時も動ける
- 医師や訪問看護と連携できる
- ポリファーマシーや残薬の問題に介入できる
- 継続フォローまでつなげられる
- 特定の担当者だけでなく、組織として在宅を回している
こういう薬局は、制度変更にも強いです。
なぜなら、評価の中心が「外来の枚数」から「地域でどう支えるか」に移っていっても、その変化に乗りやすいから。
逆に、在宅がほとんどなく、あっても一部の人の属人的な頑張りに依存している薬局は、今後はじわじわ苦しくなりやすいです。
この意味では、在宅薬学総合体制加算を取れる薬局=今後も残りやすい薬局と考えてよいでしょう。
一方で、立地依存が強く、門前の処方箋だけで成り立っている薬局は、在宅体制の評価が強まる流れの中では相対的に逆風を受けやすくなります。
この点は 【2026年調剤報酬改定】都市部門前・医療モール薬局は危険?薬剤師が今すぐ転職準備すべき理由 でも詳しく整理しています。

在宅薬学総合体制加算を取れる薬局で実際に行われる在宅業務とは
在宅薬学総合体制加算を取れる薬局で実際に行われる業務は、単なる配薬や定期訪問だけではありません。
たとえば、医師と同じ場で患者の状態や薬物療法の問題を共有し、その場で介入につなげる動きや、単独では対応が難しい患者に複数名で訪問する対応、残薬調整、ポリファーマシー介入、継続フォローアップ、副作用や有害事象の確認といった実務まで含まれます。
つまり、在宅薬学総合体制加算を取れる薬局は、在宅を「訪問件数」で回しているのではなく、患者ごとの問題に応じて必要な在宅業務を継続的に回せる薬局だと考えると分かりやすいです。
在宅で医師と薬剤師が同じ場に入り、その場で薬物療法を動かす動きは、訪問薬剤管理医師同時指導料とは?2026年改定で進む医師と薬剤師の同時訪問を解説 で詳しく解説しています。
また、単独では安全かつ確実な指導が難しい患者に対して複数名で訪問する考え方は、複数名薬剤管理指導訪問料とは?2026年改定で評価される「単独では指導困難な在宅患者」への介入を解説 で整理しています。
多剤服用患者に対するポリファーマシー介入については、服用薬剤調整支援料2とは?2026年改定で薬剤師に求められるポリファーマシー介入を解説 をご覧ください。
残薬が多い患者への具体的な介入方法は、2026年調剤報酬改定で残薬調整はなぜ重要?評価される薬剤師の介入方法 で詳しくまとめています。
薬を渡した後の状態変化を追い、継続的に支える実務については、2026年改定で継続フォローアップはどう変わる?薬剤師が確認すべきポイント で解説しています。
副作用や有害事象をどう拾い、どう介入へつなげるかは、薬学的有害事象等防止加算とは?2026年改定で求められる副作用確認と介入 で詳しく解説しています。
転職や職場選びで見るべき「在宅を本当に回せる薬局」の特徴
「在宅をやっています」と言う薬局は多いです。
でも、本当に見るべきなのは在宅を“体制として回せているか”。
転職や見学で確認したいポイントは、たとえば次のようなものです。
- 個人宅在宅が実際に回っているか
- 緊急時対応が属人化していないか
- 医師や訪問看護、ケアマネとの連携があるか
- 残薬調整や継続フォローまでできているか
- ポリファーマシー介入が実務として行われているか
- 教育や研修体制があるか
- 一部の“できる人”に在宅が偏っていないか
逆に、少し警戒したい言葉は、
- 「在宅は今後強化予定です」
- 「今は担当者だけがやっています」
- 「とにかく件数を増やしたいです」
- 「連携は担当者任せです」
です。
これらは、在宅を“やっている”ようで、まだ仕組みとしては弱い可能性があります。
在宅の経験を積めるかどうかは、薬剤師の市場価値にも直結します。
この点は 在宅をやっていない薬剤師は危ない?2026年調剤報酬改定後に市場価値が上がる薬剤師・下がる薬剤師 や 2026年調剤報酬改定で薬剤師の年収はどう変わる?給料が上がる薬局・下がる薬局を徹底解説 でも詳しく解説しています。
在宅薬学総合体制加算と薬剤師の年収・市場価値はどうつながるのか
ここもかなり重要です。
在宅薬学総合体制加算を取れる薬局は、制度変更に強いです。
なぜなら、外来依存だけでなく、在宅という別の軸で収益と役割を持てるからです。
そして、その中で働く薬剤師は、
- 個人宅対応
- 医師連携
- 継続フォロー
- ポリファーマシー介入
- 残薬調整
- 有害事象防止
- 緊急時対応
といった経験を積みやすくなります。
こうした経験は、今後の転職市場でも評価されやすいです。
逆に、在宅に関われないまま外来だけで年数を重ねると、制度が変わるほど差がつきやすくなります。
つまり、在宅薬学総合体制加算は、単なる体制加算ではなく、薬局の将来性と、そこで働く薬剤師の市場価値の両方を映す指標と考えると分かりやすいです。
よくある質問
在宅薬学総合体制加算とは何ですか?
在宅患者に対する薬学的管理・指導を行うための体制を評価する加算です。加算1は必要な体制、加算2は高度な体制と十分な実績を持つ薬局の評価です。
2026年改定で何が変わったのですか?
在宅薬学総合体制加算1が15点から30点、加算2イが50点から100点へ引き上げられました。加算2ロは50点のままです。
在宅薬学総合体制加算1と2の違いは何ですか?
加算1は在宅患者に対する薬学的管理・指導を行うために必要な体制の評価、加算2は高度な薬学的管理・指導を行う体制と十分な実績を持つ薬局の評価です。
2イと2ロの違いは何ですか?
加算2イは単一建物診療患者または単一建物居住者が1人の場合、2ロはそれ以外の場合です。
なぜ個人宅の評価が上がったのですか?
今後在宅療養患者の増加が見込まれ、個人宅を含めた在宅医療提供体制の整備が重要とされたためです。
在宅薬学総合体制加算を取れる薬局は何が強いのですか?
個人宅対応、緊急時対応、高度な薬学的管理、多職種連携などを体制として回せる点が強みです。
在宅をやっているだけではだめなのですか?
件数だけでなく、個人宅対応や継続フォロー、高度な介入を含めて体制として回せるかが重要です。今回の点数見直しからも、その方向がはっきり出ています。
在宅に強い薬局を転職先としてどう見抜けばよいですか?
個人宅在宅、緊急時対応、多職種連携、継続フォロー、教育体制が実際に回っているかを見ると判断しやすいです。
年収や市場価値にも関係しますか?
はい。在宅を体制として回せる薬局で積める経験は、今後の年収や市場価値にもつながりやすいです。
今後強い薬局はどんな薬局ですか?
在宅をやっているだけでなく、個人宅・緊急時・多職種連携・高度な薬学的管理まで体制として回せる薬局です。
まとめ|2026年改定で強くなるのは「在宅をやっている薬局」ではなく「在宅を体制として回せる薬局」
2026年改定では、在宅対応薬局の評価が明確に強化されました。
特に、在宅薬学総合体制加算1が倍増し、加算2イ(個人宅)が50点から100点へ引き上げられたことは大きな意味を持ちます。
これは単なる点数アップではありません。
制度として、個人宅を含めた在宅を継続的に、高度に、組織として回せる薬局をより強く評価し始めたサインです。
だから、これから強いのは
在宅をやっている薬局ではなく、
在宅を体制として回せる薬局です。
そしてそこで働く薬剤師も、個人宅対応、医師連携、残薬調整、継続フォロー、ポリファーマシー介入といった、今後評価される経験を積みやすくなります。
このあと、少しだけ考えてほしいことがあります
ここまで読んで、もしあなたが
「うちの薬局、在宅はやっていることになっているけど、ここまでの体制はないかもしれない」
「個人宅もほぼないし、結局一部の人が頑張っているだけだ」
「このまま今の職場にいて、在宅で評価される経験が本当に積めるのだろうか」
と感じたなら、その違和感はかなり大事です。
以前の私もそうでした。
在宅はある。
でも、体制として回っている感じはない。
困った患者対応も属人的。
緊急時も一部の人だけ。
「在宅をやっている職場」だと思っていたのに、実際には在宅に強い職場ではなかったのです。
ここで怖いのは、今の職場しか知らないまま、
「どこもこんなものだろう」
と思ってしまうことです。
でも実際には、
- 個人宅在宅がきちんと回っている
- 医師や訪問看護と連携しやすい
- 緊急時のフォローが仕組み化されている
- 在宅を一部の人に押しつけない
- 残薬調整や継続フォローまで自然に実務に入っている
そんな薬局もちゃんとあります。
大事なのは、今すぐ転職を決めることではありません。
まず必要なのは、今の職場が本当に普通なのか、他にどんな選択肢があるのかを知ることです。
ここで一度だけ、想像してみてください。
今の職場にあと3年いるとして、
あなたは
- 個人宅対応の経験
- 医師と同じ場での介入経験
- 在宅でのポリファーマシー介入
- 継続フォローの経験
- 今後評価される在宅業務
を、どれだけ積めそうでしょうか。
この問いに、すぐ自信を持って答えられないなら、
転職するかどうかとは別に、薬剤師転職サイトに登録して、在宅を本当に回せる職場が他にあるのかを一度見ておく価値はかなり高いです。
登録したからといって、転職しなければならないわけではありません。
でも、外を見ないまま働き続けると、制度が変わりきってから初めて「今の経験では弱い」と気づくことがあります。
その時に焦るより、
まだ選べるうちに、
自分の市場価値が上がる職場はどこか
を知っておく方が、ずっと有利です。
今のままで本当にいいのか。
それを確認するために、まずは薬剤師転職サイトで外の相場を見てみてください。
それだけでも、今の職場の見え方はかなり変わります。

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