- 夏場に調剤室が暑くなり、「室温保存の範囲を超えていないかな」と不安になる
- 閉局後にエアコンを切ってよいのか迷う
- 保冷庫が一瞬9℃を示したとき、温度逸脱として扱うべきか判断に迷う
- 冷所は1〜15℃なのに、インスリン製剤や点眼薬は2〜8℃と聞いて混乱する
- 冷蔵庫に入れてはいけない薬まで冷所保存していないか心配になる
調剤室や保冷庫の温度管理は、毎日見ているようで、意外と不安が残る業務です。
朝、保冷庫の温度を見る。
薬局管理簿に記録する。
冷所保存品を戻す。
その作業自体は慣れていても、真夏や真冬になると「本当にこの管理で大丈夫かな」と気になることがありますよね。
特に迷いやすいのが、室温、常温、冷所、2〜8℃の違いです。
冷所は1〜15℃です。ただし、2〜8℃で保存する薬を在庫している薬局では、保冷庫を2〜8℃の範囲から外さない管理が必要です。
さらに、冷蔵庫に入れると結晶が出る薬や、凍結を避ける薬もあります。
つまり、医薬品の温度管理は「冷やせば安心」ではありません。
調剤室の室温管理は、原則として1〜30℃です。
冷所は、別に規定がない場合は1〜15℃です。
ただし、2〜8℃での保存が指定されている医薬品を在庫している薬局では、保冷庫を2〜8℃から外れないように管理します。
温度管理では、室温・冷所の温度だけでなく、凍結、遮光、結露、開封後条件、温度逸脱時の対応まで確認してください。
温度管理が不安なのは、薬剤師の知識不足だけが原因ではありません。
調剤室の暑さ、エアコンの効き方、保冷庫の性能、扉の開閉回数、在庫量、スタッフ数でも難しさは変わります。
だからこそ、薬剤師一人の記憶や注意力に頼らず、薬局全体で同じ手順で確認する状態にしておくことが大切です。
調剤室の温度管理の結論|室温は1〜30℃、冷所は1〜15℃
調剤室は1〜30℃、2〜8℃指定品がある保冷庫は2〜8℃で管理する。
まず押さえておきたい温度基準は、次の2つです。
- 室温:1〜30℃
- 冷所:別に規定がない場合は1〜15℃
多くの医薬品は「室温保存」です。
そのため、室温保存品を置く調剤室や薬品棚は、1〜30℃の範囲で管理します。
ただし、保冷庫は少し考え方が変わります。
冷所は1〜15℃ですが、薬局に2〜8℃指定の医薬品がある場合、保冷庫が10℃や12℃で推移していると、その医薬品の保管条件から外れます。
- 調剤室内は、室温保存品を1〜30℃で管理する
- 冷所保存品は、まず電子添文・包装表示の貯法を確認する
- 2〜8℃指定品がある場合は、保冷庫を2〜8℃から外さない
- 凍結禁止品は、冷気の吹き出し口付近や保冷剤の直当てを避ける
- 遮光指定品は、温度だけでなく光も避ける
- 開封後・溶解後に保存条件が変わる薬は、開封日や溶解日を記録する
「冷所=1〜15℃」と覚えるだけでは、薬局の温度管理としては足りません。
その薬局で採用している薬の貯法に合わせて、調剤室と保冷庫の管理方法を決める必要があります。
日本薬局方で定められている温度基準
常温と室温は範囲が異なり、貯法は個別医薬品の条件を優先する。
日本薬局方では、試験または貯蔵に用いる温度について、標準温度、常温、室温、冷所などの基準が定められています。
薬局で特に混同しやすいのは、「常温」と「室温」です。
常温は15〜25℃。室温は1〜30℃です。

| 区分 | 温度 | 薬局での見方 |
|---|---|---|
| 標準温度 | 20℃ | 試験や基準温度として使われる |
| 常温 | 15〜25℃ | 室温とは範囲が違う |
| 室温 | 1〜30℃ | 多くの室温保存品の管理目安 |
| 微温 | 30〜40℃ | 通常の医薬品保管には高い温度 |
| 冷所 | 1〜15℃ | 冷所保存品の基本。ただし個別の貯法を優先する |
| 冷水 | 10℃以下 | 水の温度表現として使われる |
根拠:日本薬局方通則では、標準温度20℃、常温15〜25℃、室温1〜30℃、微温30〜40℃、冷所1〜15℃とされています。
薬局では「室温保存だから30℃まで大丈夫」と考える場面があります。
しかし、すべての薬が30℃まで許容されるわけではありません。
25℃以下保存、15℃以下保存、2〜8℃保存など、より厳しい条件が指定されている薬もあります。
真夏は、外気温が30℃未満でも、閉局後の調剤室や薬品庫が30℃を超えることがあります。
真冬は、寒冷地や断熱性の低い建物で、薬品棚やバックヤードが1℃を下回ることがあります。
温度管理は、夏だけの仕事ではありません。
冬場の低温や凍結も含めて、年間を通して確認してください。
薬局の保冷庫は何℃に設定すべきか
保冷庫は採用品の貯法を確認し、2〜8℃指定品を基準に管理する。
保冷庫の設定で迷う薬剤師は多いです。
冷所は1〜15℃です。
それなら、保冷庫が10℃でも問題ないように思えます。
でも、2〜8℃指定品を在庫している薬局では、10℃では条件を外れます。
たとえば、キサラタン点眼液0.005%は2〜8℃での保存が指定されています。
一方で、同じラタノプロスト製剤でも、室温保存の製品があります。
ここを成分名だけで判断すると危険です。
採用品ごとに、電子添文と包装表示を確認してください。
- 在庫している冷所保存品の貯法
- 2〜8℃指定品の有無
- 凍結を避ける必要があるか
- 遮光が必要か
- 開封後や溶解後に保存条件が変わるか
- 保冷庫内で、冷えすぎる場所と温度が上がる場所がないか
保冷庫の中は、どの場所も同じ温度ではありません。
奥側や冷気の吹き出し口付近は冷えすぎます。扉付近は、開閉のたびに温度が上がります。
棚を詰めすぎると、奥は冷えすぎ、扉側は設定温度より高くなる場合があります。
保冷庫は「入っていれば安心」ではありません。
どこに置くか、どう戻すか、実際の温度が何℃で推移しているかまで見てください。
保冷庫内の置き場所や表示を見直すなら、薬局全体の整理整頓も一緒に確認すると、確認する場所と戻す場所が決まります。
薬品棚や冷蔵庫内のルール作りは、薬局の5S活動とは?整理整頓で調剤ミス・残業・発注漏れを減らせる7つの理由でも詳しく解説しています。

調剤室・保冷庫に置く温度計と記録のポイント
温度記録は数値の記入だけでなく、逸脱時の判断手順まで決める。
調剤室と保冷庫には、温度計を置きます。
現在温度だけでなく、最高温度・最低温度まで確認できる温度計を選ぶと、閉局後や夜間の温度変化も追えます。
毎日見ているつもりでも、忙しい時間帯は記録だけが形になりがちです。
大切なのは、数字を書くことではありません。
基準から外れたときに、誰が気づき、誰に報告し、どの薬を確認し、どう記録するかまで決めておくことです。
- 調剤室内の温度
- 保冷庫内の温度
- 最高温度・最低温度
- 記録時刻
- 確認者
- 異常値が出たときの対応内容
- メーカーや卸へ確認した内容
温度記録を担当者1人に任せきりにすると、その人が休みの日に記録が抜けます。
異常値が出ても、「誰に聞けばよいか」が決まっていないと判断が止まります。
朝の開局準備、昼の確認、閉局前の確認など、薬局の流れに組み込んでください。
温度記録や保冷庫確認を薬局内に定着させたい場合は、薬局の5S活動「躾」とは?スタッフに定着するやり方とチェックリストを、手順作りに使えます。

冷所保存が必要な医薬品の代表例
冷所保存品は代表例だけで判断せず、採用品ごとの最新情報で確認する。
ここからは、薬局で確認頻度が高い冷所保存品を、保存温度ごとに表で確認します。
ただし、ここは特に慎重に確認してください。
この記事の一覧は、薬局で確認されやすい医薬品を中心にした代表例です。全医薬品の網羅リストではありません。
医薬品の貯法は、製品、規格、メーカー、開封前後、溶解後で変わります。

実際に保管判断をするときは、必ず採用品ごとの最新電子添文、包装表示、インタビューフォーム、メーカー情報を確認してください。
同じ成分でも、製品やメーカーによって貯法が違う場合があります。
2〜8℃で保存する代表的な医薬品
2〜8℃指定品は、冷所保存品の中でも管理幅が狭い薬です。
保冷庫が9〜10℃になっている場合、日本薬局方上の冷所には入っていても、2〜8℃指定品の条件からは外れます。
| 医薬品・分類 | 主な保管条件 | 薬局で見るポイント |
|---|---|---|
| キサラタン点眼液0.005% | 2〜8℃ | 開封後の扱い、遮光、使用期限も確認する |
| インスリン製剤 | 未使用品は2〜8℃保存の製品が多い | 凍結を避ける。使用開始後の保管条件は製品ごとに確認する |
| GLP-1受容体作動薬製剤 | 未使用品は2〜8℃保存の製品が多い | 使用開始後の室温保存の可否と期限を製品ごとに確認する |
| 一部の自己注射製剤・生物学的製剤 | 2〜8℃指定の場合がある | 凍結禁止、遮光、振とう回避などの注意を確認する |
| 一部のホルモン製剤・注射剤 | 2〜8℃指定の場合がある | 採用品ごとの電子添文を確認する |
※上記は代表例です。実際の保管条件は、採用品ごとのPMDA電子添文・包装表示・メーカー情報で確認してください。
インスリン製剤や自己注射製剤は、患者さんに渡した後の説明も重要です。
薬局内で正しく保管していても、患者さんが自宅で凍結させたり、高温の車内に置いたりすれば品質に影響する場合があります。
交付時には、「冷蔵庫に入れてください」だけで終わらせないでください。
凍結を避けること、冷気の吹き出し口付近に置かないこと、使用開始後の期限まで伝えます。
冷所保存・15℃以下保存が必要な代表的な医薬品
冷所保存品には、坐剤、内用液、点眼・点鼻液、特殊な錠剤などがあります。
「坐剤だから全部冷所」「点眼だから全部冷所」とは判断できません。
剤形ではなく、製品ごとの貯法を見てください。
| 医薬品・分類 | 主な保管条件 | 薬局で見るポイント |
|---|---|---|
| インテバン坐剤 | 冷所保存 | 熱で坐剤が融けて変形するため、温度管理を徹底する |
| ジクロフェナクNa坐剤 | 冷所保存の製品がある | 採用品のメーカーごとに電子添文を確認する |
| リアルダ錠 | 冷所保存 | 錠剤でも冷所保存が必要な例として見落とさない |
| シアナマイド内用液 | 冷所保存 | 直射日光・湿気を避ける説明も確認する |
| 一部の点眼・点鼻液 | 冷所保存または遮光・冷所保存の場合がある | 遮光指定の有無を確認する |
| 一部の坐剤・腟坐剤 | 冷所保存または15℃以下保存の場合がある | 高温時の軟化・変形に注意する |
※上記は代表例です。実際の保管条件は、採用品ごとのPMDA電子添文・包装表示・メーカー情報で確認してください。
リアルダ錠のように、錠剤でも冷所保存が必要な医薬品があります。
「錠剤は室温でよい」と思い込むと、貯法を見落とします。
新規採用時、メーカー変更時、規格追加時は、薬効や用法だけでなく貯法まで確認してください。
25℃以下で保存が必要な医薬品
冷所保存ではありませんが、25℃以下で保存する薬もあります。
ここは意外と見落とされます。
室温保存は1〜30℃ですが、25℃以下指定品は30℃まで置けません。
| 医薬品・分類 | 主な保管条件 | 薬局で見るポイント |
|---|---|---|
| ベピオゲル・ベピオローション | 凍結を避け、25℃以下保存 | 夏場の調剤室、患者宅、車内放置に注意する |
| ベセルナクリーム | 凍結を避け、25℃以下保存 | 冷蔵庫に入れてよいかは製品情報で確認する |
| ルテウム腟用坐剤400mg | 25℃以下保存 | 一度溶けた製剤を使用しないよう説明する |
| 一部の外用薬・ゲル剤・クリーム剤 | 25℃以下保存の場合がある | 室温保存品と同じ棚でよいか確認する |
※上記は代表例です。実際の保管条件は、採用品ごとのPMDA電子添文・包装表示・メーカー情報で確認してください。
25℃以下保存品は、通常の薬品棚に置くと、夏場に条件から外れることがあります。
薬品棚や在庫表に「25℃以下」と表示しておくと、見落としを防げます。
5℃以下で保存する医薬品
冷所保存品の中には、さらに厳しい温度管理が必要な薬もあります。
| 医薬品 | 主な保管条件 | 薬局で見るポイント |
|---|---|---|
| プレグランディン腟坐剤1mg | 5℃以下 | 専用保管、区分管理、記録などの取り扱いも確認する |
※上記は代表例です。実際の保管条件は、採用品ごとのPMDA電子添文・包装表示・メーカー情報で確認してください。
5℃以下の薬は、通常の冷所保存品とは別に考えてください。
薬局で取り扱う場合は、温度だけでなく、保管場所、管理責任者、記録方法まで確認が必要です。
開封後・溶解後に冷所保存が必要になる医薬品
未開封では室温保存でも、開封後や溶解後に冷所保存へ変わる薬があります。
薬局内の開封品管理と、患者さんへの説明の両方に関わるため、見落とせません。
| 医薬品・分類 | 開封後・調製後の注意 | 薬局で見るポイント |
|---|---|---|
| 一部のドライシロップ | 開栓後、一定期間を超える場合に冷所保存が必要なものがある | 開栓日、保管温度、使用期限を記録する |
| 一部の内用液・シロップ剤 | 開封後は冷所保存が指定されるものがある | 薬局内の開封品と患者交付後の条件を分けて確認する |
| 経腸栄養剤 | 開封後は速やかに使用する。冷蔵保存時の期限が短い製品がある | 開封日時、保存方法、使用期限を明記する |
| フィブラストスプレー | 溶解後に冷暗所保存などの条件がある | 溶解日と使用期限をラベル表示する |
※上記は代表例です。実際の保管条件は、採用品ごとのPMDA電子添文・包装表示・メーカー情報で確認してください。
開封後・溶解後の保存条件は、調剤室内だけでなく患者さんの自宅でも問題になります。
「冷蔵庫に入れてください」と伝えるだけでは足りない場合があります。
開封日、使用期限、冷やしすぎないこと、凍結させないことまで具体的に伝えてください。
冷所保存をしてはいけない医薬品の代表例
冷蔵庫保管で品質が変わる薬があるため、冷所保存は個別に判断する。
冷所保存が必要な薬がある一方で、冷所保存を避けるべき薬もあります。
患者さんから「薬は冷蔵庫に入れた方が長持ちしますよね?」と聞かれることがあります。
でも、医薬品によっては冷蔵庫保管で結晶析出、分離、凍結、性状変化が起こる薬があります。

| 医薬品・分類 | 冷所保存を避ける理由・注意点 |
|---|---|
| ゾビラックスクリーム5% | 冷所保存しないこととされている |
| トラニラスト点眼液、リザベン点眼液など | 冷蔵庫等で保存すると結晶が析出する薬がある |
| 一部の内用液・シロップ剤 | 低温で分離、結晶析出、凍結が起こる場合がある |
| 一部のゼリー剤 | 低温で有効成分の結晶析出が起こる場合がある |
| 一部の外用薬 | 冷所保存や凍結で性状が変わる場合がある |
※上記は代表例です。実際の保管条件は、採用品ごとのPMDA電子添文・包装表示・メーカー情報で確認してください。
冷所保存を避ける薬は、患者さんにも誤解されます。
薬袋や薬剤情報提供文書に保管方法が書かれていても、注意が必要な薬では口頭でもひとこと補足してください。
「冷蔵庫には入れず、直射日光・高温・湿気を避けてください」と具体的に伝えると、冷蔵庫に入れてしまう誤保管を防げます。
温度逸脱が起きたときの薬局対応
温度逸脱時は対象薬を分け、事実確認とメーカー確認を記録する。
温度逸脱が起きたとき、一番避けたいのは「たぶん大丈夫」と自己判断して通常在庫に戻すことです。
温度が何℃だったのか。
何時間くらい外れていたのか。
どの医薬品が影響を受けたのか。
まずは事実を分けて確認します。
- 温度逸脱を確認した時刻を記録する
- 最高温度・最低温度を確認する
- どのくらいの時間、基準を外れていたか確認する
- 対象になる医薬品を通常在庫と分けて保管する
- 管理薬剤師、卸、メーカーへ確認する
- 使用可否の判断と確認内容を記録する
- 同じことが起きないよう、保冷庫設定、置き場所、確認回数を見直す
2〜8℃指定品、凍結禁止品、遮光指定品、自己注射製剤、生物学的製剤は特に慎重に扱います。
温度逸脱時に確認するのは、温度だけではありません。
箱は未開封か。
遮光状態は保たれていたか。
凍結の形跡はないか。
外観変化はないか。
これらを確認したうえで、メーカーや卸に相談してください。
冷所保存品の在庫が多すぎると、温度逸脱時に確認する品目も増えます。
期限切れ、過剰在庫、欠品リスクまで一緒に見直したい場合は、調剤薬局の医薬品在庫管理と発注点の決め方|欠品と過剰在庫を防ぐ8つの方法を確認してみてください。

冷所保存品を分譲・移動するときの注意点
冷所保存品の分譲・移動では、移動中と受け取り後の温度管理まで確認する。
冷所保存品は、薬局内で保管している間だけ見ればよいわけではありません。
他薬局から分譲を受けるとき、系列店舗間で移動するとき、患者さんへ交付するときにも温度管理が関係します。
特に冷所保存品の分譲では、「渡すまで」と「受け取ってから」の両方を確認してください。
- 分譲元で適切に保管されていたか
- 移動中に温度逸脱が起きない方法になっているか
- 保冷剤が医薬品に直接触れていないか
- 凍結禁止品を冷やしすぎていないか
- 遮光が必要な医薬品で、光を避けられているか
- 受け取り後すぐに保冷庫へ戻せるか
分譲は在庫不足時の助けになります。
ただし、冷所保存品では温度管理の責任も一緒に発生します。
医薬品分譲の基本や記録の注意点は、管理薬剤師が知っておくべき医薬品分譲の注意点で確認してください。

調剤室・保冷庫の温度管理を続けるための薬局内ルール
温度管理は個人任せにせず、薬局全体で同じ手順にする。
温度管理は、知識だけでは続きません。
忙しい薬局ほど、毎日の確認を「誰でも同じ手順でできる形」にしておく必要があります。
ここでは、薬局内で決めておきたいことを確認します。
温度記録の担当を固定しすぎない
担当者を決めることは大切です。
ただ、特定の人だけに任せると、その人が休みの日や異動後に記録が抜けます。
朝の開局準備、昼、閉局前など、薬局の業務の流れに組み込んでください。
保冷庫内の置き場所を決める
冷所保存品をただ保冷庫に入れるだけでは、取り違えや戻し忘れが起こります。
2〜8℃指定品、開封後管理品、患者渡し予定品、確認中品などを分けておきましょう。
温度逸脱時の連絡先を見える場所に置く
温度逸脱が起きたときは、早く確認する必要があります。
管理薬剤師、卸、メーカー問い合わせ先、薬局内の判断手順をすぐ見える場所に置いてください。
新人薬剤師にもわかる表示にする
温度管理は、ベテラン薬剤師だけがわかっていればよい業務ではありません。
新人薬剤師、事務スタッフ、応援薬剤師でも迷わないように、保冷庫の扉や棚に注意表示をしておきましょう。
温度管理が不安な薬剤師へ
温度管理の不安は個人で抱え込まず、業務量と責任範囲も見直す。
温度管理、在庫管理、発注、分譲、期限管理、患者対応。
薬局の現場では、調剤以外にも多くの確認業務があります。
どれも大切です。
でも、人員が少ない薬局では、これらを一人で抱えてしまうことがあります。
温度管理に不安を感じるのは、あなたがいい加減だからではありません。
むしろ、きちんと見ようとしているからこそ、不安になるのだと思います。
「温度記録も、在庫管理も、問い合わせ対応も、全部自分が見ている」
そう感じているなら、個人の注意力だけで抱え込まないでください。
1人勤務や監査不安が強い職場では、確認業務の負担も大きくなります。
調剤や監査を一人で背負う不安がある場合は、1人薬剤師は過誤が怖い|監査が不安で辞めたい時の判断基準も確認してみてください。

管理薬剤師として温度管理・在庫管理・スタッフ教育まで背負っている場合は、責任範囲と手当、業務量が見合っているかも確認した方がよいです。
管理薬剤師としてどこまで背負うべきか、責任範囲や手当の考え方を確認したい場合は、管理薬剤師・薬局長の転職ガイドで詳しくまとめています。

〖調剤室の温度管理〗室温・冷所の基準と冷所保存が必要な医薬品 Q&A
調剤室の温度管理はFAQで基準・例外・逸脱対応を確認する。
ここでは、調剤室の温度管理や冷所保存で薬剤師が迷いやすい点を、実務で確認しやすい形でまとめます。
Q1. 調剤室の温度は何℃に保てばよいですか?
室温保存品を保管する調剤室は、原則として1〜30℃の範囲に保ちます。
夏場は30℃超え、冬場は低温や凍結にも注意してください。
Q2. 冷所保存は何℃ですか?
冷所は、別に規定がない場合、1〜15℃です。
ただし、2〜8℃指定の医薬品は1〜15℃ではなく、2〜8℃の範囲で管理します。
Q3. 保冷庫は1〜15℃で管理すればよいですか?
2〜8℃指定品を在庫している場合は、保冷庫を2〜8℃から外さないように管理します。
日本薬局方上の冷所に入っていても、個別医薬品の貯法から外れることがあります。
Q4. 冷所保存品はすべて冷蔵庫に入れればよいですか?
いいえ。冷所保存品でも凍結を避ける必要がある薬があります。
また、冷所保存を避ける薬もあります。冷蔵庫に入れる前に、電子添文と包装表示で貯法を確認してください。
Q5. 冷所保存が必要な医薬品には何がありますか?
代表例として、キサラタン点眼液、インスリン製剤、GLP-1受容体作動薬製剤、インテバン坐剤、リアルダ錠などがあります。
ジクロフェナクNa坐剤やシアナマイド内用液なども、採用品ごとに貯法を確認してください。
Q6. 冷所保存をしてはいけない医薬品はありますか?
あります。ゾビラックスクリーム、トラニラスト点眼液、リザベン点眼液などは、低温保存による注意が必要です。
冷蔵庫に入れれば安全とは限らないため、採用品ごとの電子添文を確認してください。
Q7. 保冷庫が一時的に9℃になったら、すぐ廃棄ですか?
すぐ廃棄とは限りません。
まず、何℃で何分または何時間外れていたか、対象医薬品は何か、凍結や遮光の問題はないかを確認します。そのうえで、管理薬剤師、卸、メーカーへ確認し、使用可否を判断してください。
Q8. 患者さんに冷所保存品を渡すときは何を説明すればよいですか?
冷蔵庫で保管することだけでなく、凍結を避けること、冷気の吹き出し口付近に置かないこと、高温の車内に放置しないこと、使用開始後の期限を説明します。
開封後や使用開始後に条件が変わる薬では、期限も具体的に伝えてください。
まとめ|温度管理は「室温・冷所の暗記」ではなく薬局内ルールで守る
温度管理は基準の暗記ではなく、採用品に合わせた薬局内ルールで守る。
調剤室の温度管理で押さえるべき基本は、室温1〜30℃、冷所1〜15℃です。
ただし、室温と冷所の温度を覚えるだけでは、薬局実務の温度管理としては足りません。
- 2〜8℃指定品がある場合は、保冷庫を2〜8℃で管理する
- 凍結禁止、遮光、開封後条件、溶解後条件も確認する
- 25℃以下保存品は、夏場の調剤室で条件から外れないように見る
- 冷所保存してはいけない薬もある
- 温度計と記録表を使い、最高温度・最低温度も確認する
- 温度逸脱時の対応手順を薬局内で決めておく
- 医薬品ごとの最終判断は、最新の電子添文・包装表示・メーカー情報で確認する
温度管理は、薬剤師個人の記憶だけで守るものではありません。
調剤室、保冷庫、薬品棚、在庫管理、スタッフ教育まで含めて、薬局全体で同じ手順にしておきましょう。
個別医薬品の貯法は改訂されることがあります。実務で使用する際は、必ず採用品ごとの最新電子添文・包装表示・メーカー情報を確認してください。


