
今の薬局は残業が多くて体が持ちません。転職するなら残業が少ない薬局が良いけれど、そんな薬局は本当にあるのでしょうか。
毎日のように残業が続くと、心も体もすり減ります。
しかし残業には必ず原因があり、適切に対処すれば削減できます。
実は、残業の多さは「薬歴の運用」「シフト設計」「余計な業務」の3点で大きく左右されます。
背景には、門前医療機関の診療延長や在宅対応の増加、報告書作成など現場構造の問題があります。
だからこそ、目の前の頑張りだけでなく、仕組みで解決する視点が欠かせません。
本記事では、薬剤師の残業理由と「残業が多い薬局の特徴」を整理し、今日から実践できる削減策、さらに、転職時に必ず確認すべき9項目まで具体的に解説します。
読み終えた頃には、自局での残業削減のヒントと、転職時に残業が少ない薬局を見抜く目が手に入ります。
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全国に300店舗以上運営している大手調剤薬局チェーンの大型店舗で管理薬剤師をしています。管理薬剤師歴は15年以上。現在は転職サイトの担当者と連絡をとりつつ、中途薬剤師の採用活動にも携わっています。
pharma_di(ファマディー)
【私が薬剤師採用のために連絡を取っている≫おすすめの薬剤師転職サイト】
面接をした中途薬剤師は軽く100人を超えました。 私は過去2回転職をしていて、1回目は大失敗。ブラック薬局で過ごした数年間は地獄そのもの。 ブラック薬局に入らない方法、そこから脱却した方法を他の薬剤師にも役立ててほしいと思い、当サイト「薬剤師のための転職ブログ・ファマブロ」を始めました。 このサイト内の記事は『過去2回の転職経験』と、『現在の薬剤師採用業務の経験と知見』を基に全て私が1人で書いています。
残業の最大要因は「薬歴運用」と「仕組みの不備」です。不要業務をやめ、分担とシフトを最適化し、音声入力やショートカットなどのツールを使えば、残業は確実に減らせます。転職の際は残業実態を9項目で事前確認し、担当者に調査依頼まで行うのが失敗しない近道です。



私は管理薬剤師歴25年。小規模薬局から大手チェーンまで経験し、採用100名超・面接500人以上、教育や現場改善も担当してきました。実務で効いた方法だけをお伝えします。
薬剤師の主な残業理由は薬歴記載
まず把握すべきは「どこで時間が無駄になっているか」です。
薬局で残業につながる要因は、薬歴、診療延長、翌日調剤、在宅報告、各種事務、棚卸など複数が重なって発生します。
以下では代表的な理由を整理し、それぞれで今日から着手できる解決策を提示します。自局の状況と照らして、該当箇所から改善しましょう。
薬歴記載のための残業
最も多いのが薬歴の遅れです。投薬と同時入力、または投薬直後の即時入力を徹底すると、未記載の滞留が激減します。
音声入力や定型文、ショートカットを活用し、入力手順を単純化します。患者分類ごとの雛形運用で、記載品質と速度を両立させましょう。
- 音声入力の常用(マスクでも拾いやすい語り方を訓練)
- ショートカットでカーソル移動・保存を最短化
薬歴記載を速くする方法は、手順化とテンプレ整備が鍵です。下記も参考にしてください。


開局時間になっても門前医療機関の診療が終わらない
マンツーマン門前では、最後の患者の来局が遅れるほど閉局が伸びます。夕方の人員薄も残業を増やす要因です。
早番・遅番の波形シフトで夕方の山を厚くし、夕方から閉局までの混雑に対応します。
締め作業を事務スタッフにも手伝ってもらい、早く仕事をおわらせるようにしましょう。
翌日薬を取りに来る患者の調剤
翌日調剤は外来ピークを避けられる一方、閉局後に回すと残業に直結します。難易度の高い一包化や粉砕は特に注意です。
翌日調剤は日中のスキマで前倒し実施。声を掛け合って進捗状況を共有し、なるべく業務時間内に完了させてしまいましょう。
在宅訪問と報告書作成
まずは訪問時間。患者さんやその家族の都合もあると思いますが、業務時間内に訪問するように調整します。
在宅は訪問後の報告書が重く、夜間に回すと残業が固定化します。訪問時間はなるべく早い時間にすませるのがおすすめです。
スマホやタブレットを持参し、音声メモ→即テキスト化、クラウド連携としておけば薬局に戻った時には報告書の下書きが完成しています。
また、報告内容をある程度テンプレ化しておくのも時間短縮につながり、おすすめです。
事務作業(主に管理薬剤師)
日中は患者対応が優先になるため、本社への報告やシフト作り、数字の管理といった事務作業は後回しになり、夜まで残ってしまうことが多いです。
こうした定期的な事務作業は、あらかじめ「この時間に必ずやる」と決めて予定に組み込みましょう。
入力のフォーマットを揃えておけば誰でも同じ形で作業でき、集計は自動化すれば時間がかかりません。
さらに、報告メールはあらかじめ定型文を作っておけば、短時間で完成させることができます。
棚卸
薬局では半年ごとに行う棚卸が大きな負担になります。在庫の品目数が多いほど時間がかかり、数のズレを確認する作業も加わって残業になりやすいのです。
棚卸はその日にすべて終わらせる必要があります。そのためには、まず在庫量をなるべく減らしておくことが重要です。
さらに、誰がどの棚を担当するか事前に決め、動かない薬(使用頻度が低い薬)は前もって数えておくと効率的です。こうした準備を徹底することで、棚卸当日の作業時間を短縮できます。
薬局の閉局時間
届出の開局時間は遵守が必須です。19時・20時の届出は、実質的に残業前提のシフトを生みます。
勤務時間・拘束時間の考え方は下記も参照してください。


閉局が遅くなりがちな薬局の特徴はこちら。


残業が多い薬局の特徴
残業は個人の努力だけでは減りません。薬局の構造や文化に原因がある場合、仕組みを変えないと再発します。代表的な3つの特徴を確認し、自局に当てはまるか点検しましょう。
薬剤師数が少なく、シフトがうまく組めていない
夕方に患者さんが集中する時間帯に薬剤師の人数が足りないと、調剤や薬歴入力が遅れ、閉局後まで作業が残ってしまいます。特にパート勤務の割合が多い薬局では、夕方に人手不足が起きやすく、負担が偏りやすくなります。
そのため、患者さんの来局が多い時間帯を基準にシフトを組み直すことが大切です。さらに、複数の薬局で応援体制を整えておけば、急な欠員にも対応でき、残業のリスクを大きく減らせます。
スタッフ同士の協力体制が弱い
仕事の分担が固定されてしまうと、忙しい人と手が空いている人の差が生まれ、残業が特定の人に集中してしまいます。
これを防ぐには、仕事の進み具合をボードなどで見えるようにして、手が空いた人が自然に作業を引き受けられるようにすることが効果的です。職場の雰囲気づくりについては、下記の記事でも具体的に紹介しています。


重要でない仕事が多い
「なんとなく続けている作業」が積み重なると、時間はすぐ奪われます。ゼロベースで見直しましょう。
仕事の断捨離と5Sの導入が効果的です。詳細は下記を参照ください。


【薬剤師向け】薬局の残業を減らす方法
削減策は「やめる・分ける・機械に任せる・人を足す」の4系統に整理できます。現場で効果の大きい順に着手し、継続できるルールに落とし込みましょう。
- 不要業務の廃止と、必要業務への集中
- 業務分担の平準化と標準化
- 調剤機器・薬歴システム・音声入力の活用
- 薬剤師・事務の適正増員
必要な業務と不要な業務の廃止
「重要でない定例」をやめるだけで、残業は目に見えて減少します。ゼロベースで棚卸ししましょう。
5Sをベースに動線と在庫を最適化し、ムダな探索・再作業・待ちを削減します。詳細は下記の記事も参考に。


業務分担の見直し
ポイント:「特定の人しかできない」作業は渋滞の源です。手順を標準化し、誰でも回せる状態にします。
マニュアル化・教育計画・クロストレーニングで属人化を解消。タスクはボードで見える化し、偏りを即時是正します。
最新の調剤機器や薬歴システムの導入
入力に時間がかかる、端末の数が足りない、同じ確認を何度もしている――こうした問題は、機器の導入で解決できます。導入を検討してもらうときは、どれだけ時間が減らせるかを数字で示すと効果的です。
薬歴を短くまとめるには、音声入力や定型文の活用がすぐに役立ちます。詳しい工夫やコツは、下記の記事にまとめていますので参考にしてください。


薬剤師や事務の増員
仕事量に対して人手が足りなければ、残業が増えるのは当然です。患者さんの来局が多い時間帯や在宅の件数をもとに、必要な人数をきちんと見積もることが大切です。
もし増員が難しい場合は、仕事を分担して機械に任せられる部分は任せるとよいでしょう。短時間勤務のスタッフを夕方に多めに配置するのも有効です。
管理薬剤師向けの残業削減の工夫については、下記の記事でも紹介しています。


これから転職する薬剤師が残業で確認すべきこと
転職で残業を減らす最大のコツは「事前に聞くべきことを全て聞く」こと。感覚値ではなく、具体と数値で確認しましょう。以下の3つの観点で整理します。
面接前に自分で確認すべき9項目
- 門前医療機関は時間通りに診療終了しているか
- 届出している開局・閉局時間
- 地域支援体制加算の算定有無
- 応需処方せんの内容(在宅・一包化・麻薬などの比率)
- 在宅の件数と報告書の作成体制
- 薬剤師数と時間帯・曜日ごとの出勤人数
- 調剤機器・薬歴システム・端末台数
- 平均残業時間と、発生理由の内訳
- 固定残業(みなし)の有無と時間数
詳細の考え方は下記も参考にしてください。


転職サイトの担当者に依頼すべき調査
9つの確認項目をすべて自分で調べるのは、正直なところ現実的ではありません。
そこで役立つのが薬剤師転職サイトです。
登録すれば担当者が現場を調べてくれるので、残業の実態や職場の体制について、より正確で客観的な情報を得ることができます。
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見落としやすい注意点
「残業少なめ」と書かれているだけで判断してはいけません。固定残業が何時間分なのか、超えた場合はどうなるのか、在宅業務の報告はいつ行っているのか、閉局後に一包化をまとめて行うルールがあるのか――こうした点を数字や具体的な運用で確認する必要があります。
さらに、開局時間の届出、門前の診療時間、そして夕方の人員配置は、残業の多さを左右する大きな要素です。必ず具体的な数値や仕組みをチェックしてから判断しましょう。
Q&A|残業に関するよくある質問
残業に関して寄せられる質問を、簡潔にまとめました。判断基準は具体と数値です。面接や内定承諾前に、曖昧さを残さないようにしましょう。
Q1: 薬剤師が残業する主な理由は?
薬歴の遅れ・診療延長・翌日調剤・在宅報告・事務・棚卸の複合です。どれがボトルネックかを特定し、順に潰せば確実に減ります。
Q2: 残業が多い薬局の共通点は?
人員不足・協力体制の弱さ・不要業務の多さです。構造の問題なので、仕組みと文化から変える必要があります。
Q3: 薬歴を速く終えるコツは?
同時入力・音声入力・テンプレ運用が即効性あり。カーソル移動や保存はショートカットで最短化しましょう。
Q4: 在宅対応が増えて残業が増えます。対策は?
訪問ルートと記録テンプレを標準化し、報告は日中帯で完結。写真・記録はクラウドで一元管理します。
Q5: 転職で残業少ない薬局を見抜くには?
確認すべき9項目を基準に、担当者の現場取材で裏どりします。固定残業の有無・時間数は必ず数値で確認。
Q6: 固定残業(みなし)がある場合の注意点は?
時間数・対象業務・超過時の支払いを明確に。所定時間を超えた分の扱いがあいまいな場合はリスクが高いです。
Q7: 棚卸は残業扱いになりますか?
運用次第です。循環棚卸で平日昼に小分け実施すれば残業は減ります。代休や振替のルールも確認しましょう。
Q8: シフトで夕方が慢性的に薄い場合は?
来局波形に合わせた再設計が必要です。短時間スタッフの夕方配置、応援ラインの整備でピークを厚くします。
Q9: すぐに効く残業削減の小ワザは?
薬歴テンプレの刷新、音声入力の導入、翌日調剤の前倒し、タスクボードでの見える化が即効です。
Q10: 面接で残業の実態をどう聞けば角が立ちませんか?
事実ベースで、平均残業時間・発生理由の内訳・固定残業の有無を質問。具体の運用をたずねると自然に聞けます。
残業を減らす最短ルートと、転職で失敗しない要点
- 残業の最大要因は薬歴・シフト・不要業務の三つ巴
- 削減は「やめる・分ける・機械化・増員」で体系的に
- 転職時は9項目を数値で確認し、担当者に取材依頼
- 固定残業・在宅運用・閉局時刻の扱いは必ず明確化
本記事では、薬剤師が残業に追われる理由を具体的に整理し、残業が多い薬局に共通する構造的な特徴を解説しました。そのうえで、不要な業務をやめる、仕事を均等に分ける、音声入力やテンプレートを活用する、患者の来局の波に合わせてシフトを見直す――といった、すぐに使える改善策を紹介しました。
転職を考える際には、門前の診療時間や開局届の内容、在宅件数、固定残業の有無など、9つの確認項目を数字で確かめることが重要です。加えて、転職サイトの担当者に現場を直接取材してもらえば、職場の実態がより正確にわかり、入職後のミスマッチを大きく減らせます。
私は長く薬局の現場にいて、残業で疲れ切った薬剤師を数えきれないほど見てきました。けれど、取り組む順番さえ間違えなければ、残業は必ず減らせます。
まずは薬歴の即時入力とテンプレ整備、そして不要業務の整理から。次にシフトの再設計と、夕方の人員配置強化。ツールの導入も、効果を数字で示せば会社は前向きに動いてくれます。
今日できる一歩は小さくても構いません。投薬後すぐに薬歴を入力する、翌日調剤を日中に済ませる、進行状況をボードで共有する――どれも明日から始められる工夫です。
それでも職場の仕組み自体が原因で改善が難しいと感じるなら、転職という選択肢を閉ざさないでください。
私の薬局では現在残業時間はほとんどなく、薬剤師も事務も定時で帰れていますよ。



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