求人票の勤務時間に疑問がある薬剤師
求人票に『週40時間シフト制』って書いてあるんですけど、結局いつ休みなのでしょうか?
- 1日8時間勤務で週5日勤務?
- 1日7時間勤務が週5日+5時間勤務が1日?
- 1日8時間勤務が週4日+4時間勤務が2日?
求人票に週40時間シフト制と書いてあるけど、どういう働き方なのかイメージしにくいと思ったことはありませんか?
勤務時間のシフト制と実際の勤務時間、忘れてはいけない拘束時間についても解説します。
本記事の内容
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全国に300店舗以上運営している大手調剤薬局チェーンの大型店舗で管理薬剤師をしています。
管理薬剤師歴は15年以上。現在は転職サイトの担当者と連絡をとりつつ、中途薬剤師の採用活動にも携わっています。
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面接をした中途薬剤師は軽く100人を超えました。
私は過去2回転職をしていて、1回目は大失敗。ブラック薬局で過ごした数年間は地獄そのもの。
ブラック薬局に入らない方法、そこから脱却した方法を他の薬剤師にも役立ててほしいと思い、当サイト「薬剤師のための転職ブログ・ファマブロ」を始めました。
このサイト内の記事は『過去2回の転職経験』と、『現在の薬剤師採用業務の経験と知見』を基に全て私が1人で書いています。
いろんな求人を見ている中には『週40時間シフト制』という言葉が出てきますよね。
『週40時間シフト制』だから、1日8時間労働で週に5日勤務でしょ?と思った方。
大間違いです。
こんなはずじゃなかったと転職で後悔しないためにも、シフト制についてしっかりと理解しておきましょう。
薬剤師の勤務時間(労働時間)は法律では1日8時間まで
薬局や病院などで働く薬剤師の勤務時間(実労働時間)はどうなっているでしょうか。
薬剤師に限らず、労働者の勤務時間は、労働基準法という法律によって定められています。
労働時間は1日8時間を超えてはいけません
- 使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。
- 使用者は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけません。
- 使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。
労働基準法より
労働基準法によれば、使用者は1日に8時間を超えて労働させてはいけないし、1週間に40時間を超えて労働させてもダメという事です。
休憩もしっかりとらせなければいけません。
休憩時間に薬歴を書かせるとか、休憩時間に電話番をさせるというのも違反です。
あれ?でも、わたしは1日9時間働く日もあります。これって労働基準法に違反していませんか!?
ある方法を使うとそれが法的に可能になります。詳しくは後で説明しますね。
時間外労働協定(36協定)を結んでいると1日8時間を超えて労働させられます
労働者の過半数で組織する労働組合か労働者の過半数を代表する者との労使協定において、時間外・休日労働について定め、行政官庁に届け出た場合には、法定の労働時間を超える時間外労働、法定の休日における休日労働が認められます。この労使協定を「時間外労働協定」といいます。なお、時間外労働時間には限度が設けられています。
(厚生労働省HP)
労使の間で、時間外労働協定が結ばれていれば1日8時間を超えての労働(時間外労働)をさせることができます。
時間外労働の上限は「月45時間・年360時間」とされ、臨時的な特別の事情がない限り、これを超えることはできません。
うちの会社これあります。だから残業できるんですね。
でもシフト上、1日9時間勤務の日もありますけど。
変形労働時間制だと週の平均労働時間でシフトが組まれます
変形労働時間制とは、一定の期間内での労働時間を柔軟に調整できる制度のこと。
変形労働時間制には『1ヶ月単位の変形労働時間制』と『1年単位の変形労働時間制』の2通りあります。
『1ヶ月単位の変形労働時間制』は所定労働時間が月の法定労働時間に収まるように就業規則に記載するだけで良いのですが、『1年単位の変形労働時間制』の場合には労働基準監督署へ労使協定を結んだ旨を提出しなければなりません。
変形労働時間制を採用している薬局の場合、1カ月の労働時間を1日8時間×20日で160時間と設定します(週の平均労働時間が40時間を超えないように)。
レセプトなどで忙しい月初には1日10時間働き、暇になりやすい月末は1日6時間に抑えるといった勤務時間の調整ができます。
曜日によって開局時間が異なる薬局や1日8時間以上開局している薬局の大部分は、この変形労働時間制を採用しています。
だから1日7時間のシフトもあれば、1日9時間のシフトもあるのですね。
こんな仕組み知りませんでした。
求人票の勤務時間の欄に『週40時間(シフト制)』や『変形時間労働制』という記載があったら、実際はどのような運用になっているのかを確認しておきましょう。
勤務時間(労働時間)と拘束時間の違い
勤務時間よりももっと大切な時間があります。わかりますか?
休憩時間ですか?
休憩時間を含めた拘束時間です。
拘束時間?
あなたは、勤務時間(労働時間)と拘束時間の違いをしっかりと理解できているでしょうか?
拘束時間とは、使用者の拘束下にある時間のこと。つまり、労働時間と休憩時間の合計です。
図にするとこんなイメージです。
労働時間ばかり気にしていると落とし穴がありますので気を付けてください。
拘束時間が思っていたよりも長かったという事があるからです。
薬剤師の一日の勤務スケジュール例
薬剤師の一日のスケジュールをイメージしやすいように、具体例で説明します。
9時-18時(休憩1時間)週5日勤務のシフト
労働時間:8時間
休憩時間:1時間
拘束時間:9時間
この場合の薬剤師の一日のスケジュールはどうなるでしょう。
8時50分:出勤
9時:勤務開始
12時-13時:休憩(1時間)
18時:終業(帰宅)
仕事が残っていれば残業になります。この場合、18時以降に勤務した分が残業となり、残業代の支給対象となります。
※昼休憩は交代制で13時からになるなど前後することはあります。
9時-19時(休憩2時間)週5日勤務のシフト
労働時間:8時間
休憩時間:2時間
拘束時間:10時間
8時50分:出勤
9時:勤務開始
12時-14時:休憩(2時間)
19時:終業(帰宅)
19時以降の勤務分は残業代の支給対象となります。
例1、例2、どちらの場合も1日8時間勤務なのに、拘束される時間が異なりますね。
週40時間シフト制と書いてあっても、9時-18時(休憩1時間)の週5日勤務とは限りません。
しっかりと頭に入れておきましょう。
10時-19時(休憩1時間)週5日勤務のシフト
労働時間:8時間
休憩時間:2時間
拘束時間:10時間
9時50分:出勤
10時00分:勤務開始
13時-15時:休憩(2時間)
19時:終業(帰宅)
19時以降の勤務分が残業代の支給対象です。
12時-21時(休憩1時間)週5日勤務のシフト
労働時間:8時間
休憩時間:1時間
拘束時間:9時間
11時50分:出勤
12時00分:勤務開始
18時-19時:休憩(1時間)
21時:終業(帰宅)
21時以降の勤務分が残業代の支給対象です。
さらにこんなシフトの例もあります。
週6日勤務のシフト
月火水金→9:00-18:00(休憩1時間)
水土→9:00-13:00(休憩なし)
8時50分:出勤
9時00分:勤務開始
12時-13時:休憩(1時間)
18時:終業(帰宅)
8時50分:出勤
9時00分:勤務開始
13時:終業(帰宅)
週の勤務時間は同じく40時間ですが、週に6回も出勤しなければなりません。
労働時間は40時間で同じなのに、完全な休みは週に1日だけ。
医療機関に合わせた開局時間にしている1対1の門前薬局に多い勤務シフトの例です。
勤務シフト通りに帰れず残業になることもあるので要注意
もう一つ注意点があります。
それは、勤務シフトの時間通りに帰れるのかという点。
仕事が終わったら帰れるのではないですか?
それがそうとも限りません。仕事が終わっていれば帰れますが、薬歴が残っている等の理由で残業が発生します。
≫薬剤師の残業理由と残業が多い薬局の特徴についてはこちらにまとめました。
残業が多い薬剤師は必見!残業が多いのはあなたの仕事が遅いのではなく薬局全体の問題。この記事を読むと薬剤師の残業の減らし方、残業が多い薬局の特徴がわかります。これから転職をする薬剤師も知っておいてほしい情報です。
閉局時間が19時の薬局の場合、18時までのシフトの薬剤師は18時で帰れるでしょうか?
その答えは、『薬局によって異なる』です。
18時以降が非常に混雑する薬局だったら、19時まで残らなければならないことだって十分あり得ます。
残業することを前提にシフトが組まれていることもありますので、しっかりと確認しておきましょう。
法律上の薬剤師の労働時間 Q&A
Q1: 薬剤師の法定労働時間はどのくらいですか?
労働基準法によると、薬剤師の法定労働時間は1日8時間、週40時間までです。これを超える場合は時間外労働協定(36協定)が必要です。
Q2: 拘束時間とは何ですか?
拘束時間とは、労働時間と休憩時間を合わせた時間です。勤務時間(労働時間)だけでなく、休憩時間も考慮する必要があります。
Q3: 変形労働時間制とは何ですか?
変形労働時間制は、特定の期間内で労働時間を柔軟に調整できる制度で、月初に忙しい時期に長く働き、月末に短く働くなどの調整が可能です。
Q4: シフト制の勤務時間はどのように設定されますか?
シフト制では、1日8時間勤務の日もあれば、9時間勤務の日もあります。労働時間の合計が週40時間以内に収まるように調整されます。
Q5: 残業はどのように扱われますか?
残業は労働時間が8時間を超えた場合に発生し、36協定が結ばれていれば法定労働時間を超える労働が可能です。
9時からの勤務なら18時以降の勤務分が残業代の支給対象です。
法律上の薬剤師の労働時間・勤務時間と薬剤師の一日のスケジュール(まとめ)
まとめ
- 法律上の薬剤師の勤務時間は1日8時間、週に40時間まで
- 労使協定を結んでいれば1日8時間を超えて働ける
- 変形労働制を採用している薬局は一日のスケジュールを確認
- 勤務時間だけでなく拘束時間もしっかりチェック
- 具体的にどのようなシフトが組まれているのかも確認する(週6勤務もあり得ます)
- 残業前提でシフトが組まれている可能性もあるので、帰れるのかどうかの確認も必要
求人票・募集要項の正しい読み方を理解して、後悔の無い転職をしてください。
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