転職回数が多いと、次の転職で不利になるのではないか。短期間で辞めた経歴があることで、もう採用されないのではないか。そんな不安を抱えながら、次の一歩を迷っている薬剤師は少なくありません。
転職を繰り返してきた事情があっても、「印象が悪いのでは」「我慢が足りないと思われるのでは」と考えるほど、判断が難しくなってしまいます。

転職回数が多いと、やっぱり印象は良くないのでしょうか。短期間で辞めた理由も、どう説明すればいいのかわからなくて不安です。
転職を繰り返すことには、確かにデメリットがあります。ただし、その多くは「転職回数そのもの」ではなく、「転職の仕方」や「職場選び」に原因があります。
転職を繰り返さなくて済む職場を選べなかったことが、結果として転職回数を増やしてしまったケースも少なくありません。
転職回数が多いから次の転職はあきらめよう、短期間で転職するのは印象が悪いから、もう少し我慢して働こう。そう考えてしまっていませんか。
しかし、我慢を続けた結果、心身の負担が大きくなってしまうこともあります。転職回数や在籍期間を過度に気にしすぎない視点も必要です。




転職回数が多いと採用されにくくなる、短期間での転職は印象が良くない。これは事実です。
しかし、いくつかのポイントを押さえれば、転職回数が多くても次の転職を成功させることは十分可能です。
この記事では、薬剤師が転職を繰り返すことで生じるデメリットと、転職回数が多い薬剤師・短期間で転職をせざるを得なかった薬剤師が、次の転職を成功させるための考え方とポイントを整理します。



長く働ける職場の選び方がわかれば、次の転職を最後にすることもできます。
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結論
転職回数の多さや短期間での転職は、転職活動において不利になります。無計画に転職を繰り返すことは避けるべきです。
一方で、転職回数が多くても、正しい方法で転職活動を行えば転職を成功させることは可能です。そのためにも、自身の強みや将来性を整理し、相手に伝えられる準備が重要になります。


薬剤師が転職を繰り返すと生じる7つのデメリット
転職回数が多くなるほど、採用・評価・キャリア形成の面で不利になりやすい。
薬剤師が転職を繰り返すことで生じる主なデメリットは、以下の7つです。


- 採用されない可能性が高まる
- 性格に問題があると思われやすくなる
- 経歴に一貫性がなくなる
- 年収が上がりにくくなる
- 勤続年数が短くなり昇進の機会を逃す
- 勤続年数が短くなりもらえる退職金が減る
- 転職癖がついてしまう
採用されない可能性が高まる
転職回数が多い薬剤師や、短期間で転職を繰り返している薬剤師は、採用されない可能性が高くなります。
「この薬剤師は、入社してもすぐに辞めてしまうのではないか」と思われてしまうためです。
その結果、書類選考の段階で不採用になるケースも少なくありません。
性格に問題があると思われやすくなる
転職を繰り返している薬剤師は、性格面に問題があるのではないかと疑われやすくなります。
同僚とうまくやっていけないのではないか、職場にいられなくなった原因が本人にあるのではないかと見られてしまいます。
こうした印象も、採用されにくくなる要因のひとつです。
経歴に一貫性がなくなる
転職を繰り返すと、経歴に一貫性がなくなり、「この薬剤師は何を目指しているのか」が伝わりにくくなります。
病院、薬局、ドラッグストアなど業態がばらばらな場合は、なおさらです。
過去に経験した業態へ戻る転職をする場合には、それに見合った転職理由が求められます。
年収が上がりにくくなる
年収は、ある程度同じ職場で働き続けることで上がっていくケースが多くあります。
評価期間の途中で入社した場合、昇給や賞与が平均的な水準にとどまることもあります。
評価されるには一定の実績と期間が必要なため、勤続年数が短いと結果的に年収が上がりにくくなります。


勤続年数が短くなり昇進の機会を逃す
短期間で転職を繰り返すと、昇進の機会を逃しやすくなります。
調剤薬局では、管理薬剤師になるために一定の経験年数や勤続年数が求められます。
その条件を満たせない場合、昇進の対象から外れてしまいます。
勤続年数が短くなりもらえる退職金が減る
転職を繰り返すことで勤続年数が短くなり、退職金が減る可能性があります。


近年は確定拠出型の退職金制度も増えており、転職による影響は小さくなっていますが、無視できる要素ではありません。
転職癖がついてしまう
転職を繰り返していると、少しの不満でも転職を選ぶ思考が身についてしまうことがあります。
その結果、転職理由が否定的なものばかりになり、次の転職がさらに難しくなる場合があります。
このように、薬剤師が転職を繰り返すことは、さまざまな面で不利につながります。
調剤報酬改定の影響で薬局の経営環境が厳しくなっている現在、採用を慎重に行う薬局も増えています。
こうした状況が続けば、転職を繰り返してきた薬剤師の転職は、これまで以上に難しくなる可能性があります。
薬剤師の転職回数は何回までなら大丈夫?
転職回数そのものより、短期間での転職が続いているかが重視される。


転職回数に明確な基準はありませんが、短期間での転職が続いている場合は注意が必要です。



こういった質問は非常に多く受けます。
うちの会社では転職歴の回数で採用するかどうかの線引きはしていません。
ただ、短期間で転職を繰り返している薬剤師の採用は見送る傾向が強いです。
理由にもよりますが、30代で転職を3回以上していると確実に『多い』と思われてしまいます。
詳しくは別の記事にまとめましたのでご覧ください。
≫薬剤師は転職回数が多いと転職で不利になりますか?何回までなら平気?


では、転職回数が多い薬剤師が、次の転職を成功させるにはどうすればよいのでしょうか。
転職回数の多い薬剤師が転職を成功させるための6つのコツ
転職回数が多くても、準備と伝え方次第で転職は十分に成功できる。


転職回数が多い薬剤師が、次の転職を成功させるためには、いくつか意識すべきポイントがあります。
- 履歴書と職務経歴書は正確に書く
- 志望動機に力を入れる
- 転職理由は前向きに整理する
- 経験・スキルを明確にする
- 向上心を伝える
- 長く勤められることをアピールする
履歴書と職務経歴書は正確に書く
転職回数が多いからといって、職歴をごまかしたり省略したりしてはいけません。
職歴は年金記録などから確認できます。短期間であっても、正確に記載することが前提です。
志望動機に力を入れる
転職回数が多い場合、書類選考のハードルは高くなります。
なぜ転職に至ったのか、なぜその職場でなければならないのかを、これまでの経歴と矛盾なく伝える必要があります。
転職理由は前向きに整理する
転職理由は、次の職場で何を実現したいのかという視点で整理しましょう。
- 休みが取れなかった
- 人間関係がつらかった
- 忙しすぎて残業が多かった
こうした理由をそのまま伝えると、マイナス評価につながります。
環境を変えることで何を改善したいのか、前向きな形に言い換えることが重要です。
経験・スキルを明確にする
転職回数が多い薬剤師ほど、複数の職場で得た経験があります。
その経験を整理し、どのようなスキルを身につけてきたのかを具体的に示しましょう。
向上心を伝える
これまでの経歴よりも、これからどのように成長していくのかが見られます。
将来の目標や、職場でどのように貢献したいのかを言語化することが大切です。
長く勤められることをアピールする
転職回数が多い薬剤師は、「またすぐ辞めるのではないか」と思われがちです。
なぜ今回は長く働けるのか、その理由を具体的に説明しましょう。
これ以上転職を繰り返さないために絶対にやるべきこと
転職理由と目的を整理し、長く働ける職場を選ぶことが不可欠。


転職回数が多い薬剤師や、短期間での転職を余儀なくされた薬剤師は、次の点を特に意識する必要があります。
- 薬剤師の転職に強いエージェントに相談する
- 職場見学で見るべきポイントを確認する
- 将来のキャリアを意識して転職先を探す
- さまざまな働き方を検討する
- 転職の理由と目的を明確にする
- 長く働ける職場を選ぶ
- 条件にこだわりすぎない



転職回数が多いからこそ、しっかりと準備して転職活動を進める必要があります。
こちらにまとめた薬剤師の転職活動の手順の通りに進めて行けば、あなたの転職は成功します。
但し、転職回数が多い、短期間での転職を余儀なくされた薬剤師はこれだけでは足りません。
次の点に特に気を付けながら転職活動を進めていきましょう。
- 薬剤師の転職に強いエージェントに相談する
- 職場見学で見るべきポイントをチェックしてくる
- 将来のキャリアを意識して転職先を探す
- 様々な働き方を検討する
- 転職の理由と目的を明確にする
- 長く働ける職場を選ぶ
- 条件にこだわり過ぎない
薬剤師の転職に強いエージェントに相談する
すでに転職を繰り返している薬剤師が自力で転職活動をするのはやめましょう。
転職で失敗する可能性が高まります。
採用される可能性が低い状態からのスタートです。
薬剤師の転職に強いエージェントに相談をしながら転職活動を進めることは必須です。
職場見学で見るべきポイントをチェックしてくる
転職回数が多い薬剤師が転職を成功させるには、職場見学が重要なポイントとなります。
ここでしっかりと見極めができるかどうかが重要です。
薬局見学で見るべきポイントはこちらにまとめましたのでご覧ください。


将来のキャリアを意識して転職先を探す
次の職場で長く働くには、キャリアプランの選択肢が多いことが理想です。
定年までずっと同じ仕事をやり続けるのか、他に選択肢があるのか。
将来のキャリアを意識した転職先探しを心がけましょう。


多くの働き方を検討する
正社員としては長く働くことは難しい。
でもパートや派遣なら長く働くことができるかもしれません。
薬剤師の雇用形態は大きく分けて3つ。
- 正社員
- パート
- 派遣
どれか1つにこだわらず、様々な角度から働き方を検討してみましょう。
派遣として働けば、多くの職場を経験している薬剤師は経験豊富と見なされ、転職回数が多いことがメリットになるでしょう。


転職の理由と目的を明確にする
あなたはなぜ転職をするのでしょうか。
その理由と目的を明確にしておきましょう。
転職理由と目的に一貫性が無いと、次の職場で採用されません。
しっかりと答えられるように準備しておきましょう。


長く働ける職場を選ぶ
転職先には長く働ける職場を選びましょう。
そのためには、個人薬局や店舗数が少ないチェーン薬局を避けておくのが無難です。
人間関係の問題はどこに行っても付きまとうもの。
店舗数が多ければ転職をせずとも異動と言う手段が使えます。
薬局やドラッグストアへの転職なら、通える範囲に複数店舗があるところがオススメです。




条件にこだわり過ぎない
すでに転職を繰り返している薬剤師は目が肥えていることもあり、ついつい条件にこだわってしまいがち。
希望条件の全てを満たす職場はなかなか見つかりません。
見つかったとしても採用されるかどうかもわかりません。
あなたが転職先に希望する条件を、『絶対に譲れないもの』と『妥協してもよいもの』に分けておきましょう。


採用されるためには、ある程度妥協する部分も必要になってくるからです。



次の転職を最後にしたい。
そのためにも長く働ける職場へ転職したい。
そんな職場を探すにはプロの力を借りることをオススメします。
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売り手市場と職場情報の見えにくさが、転職を繰り返す背景にある。
ここでいう「転職を繰り返す薬剤師」とは、4回以上転職しているケースを指します。5回以上になると、転職しすぎと見なされることもあります。
転職癖のある薬剤師と噂が立っても仕方ないでしょう。そういう薬剤師はジョブホッパーなどと呼ばれます。
あなたは大丈夫だと思いますが、転職を繰りかえす薬剤師にはある特徴があります。
- 知識が不足しているので薬局業務についていけなくなる
- 面接ではボロが出ないので採用される(転職回数が多くてもなんとか乗り切る)
- 働いているうちにボロが出る
- やり方や待遇を前の薬局と比べてはいつも不満を言っている
- スタッフとコミュニケーションがとれない(他のスタッフから嫌われている)
- 協調性がない
その薬局にいられなくなり、転職せざるをえなくなったというのが本当のところだと思います。



転職を繰り返す薬剤師と一緒に働いた経験があります(しかも複数人)。
その経験をもとにして書きました。その薬剤師がいなくなっても薬局としては全く困りませんでした。
戦力になっていなかったということです。
ただし、女性薬剤師で旦那さんの転勤に伴う転職で回数が増えてしまったなど、妥当な理由がある場合については当てはまりません。
妥当な理由があって転職を繰り返さざるを得なかった薬剤師についてはこちらにまとめましたのでご覧ください。
≫薬剤師ですが、転職回数が多いと転職に不利ですか?いえ、理由が大事です。
薬剤師は売り手市場だから転職が簡単だったから
薬剤師は今までずっと売り手市場でした。
薬局数はコンビニエンスストアよりも多く、とにかく薬剤師を必要としている薬局がたくさんあるので転職先は選び放題。
ちょっとでも嫌なことがあったり、自分に合わないと思ったらすぐに転職して逃げることができました。
ただ、最近では薬剤師不足は解消されつつあります。どこにでも転職できるという状況ではなくなったことには注意が必要です。
転職を繰り返している薬剤師でも採用する薬局が多かったから
今までは、薬剤師の求人を出しても全く応募ないのがあたりまえでした。
そんな薬局に、転職を繰り返している薬剤師から応募があったらどうでしょう。
転職を繰り返していることなど特に気にせず採用されました。
ですが、今ではその頃とは状況が変わっています。
薬局の特徴が外部からわかりにくいので転職を失敗したと感じる薬剤師が多い
自分の力のみで転職先を探している薬剤師は転職を繰り返している(転職に失敗したと感じている)傾向が強いです。
転職で失敗したくないなら、薬剤師転職サイトの利用が必須です。
こういった理由から転職を繰り返す薬剤師が生み出されていったのです。
転職癖 薬剤師が転職を繰り返すデメリットと次の転職を成功させるコツ Q&A
Q1: 薬剤師が転職を繰り返すデメリットは何ですか?
A1: 採用されにくくなる、性格に問題があると思われやすい、経歴に一貫性がなくなる、年収が上がりにくい、昇進の機会を逃す、退職金が減る、転職癖がつくといった点が挙げられます。
Q2: 転職回数が多い薬剤師が転職を成功させるためのコツは何ですか?
A2: 転職理由と目的を整理し、経験やスキルを明確にし、長く働ける理由を具体的に伝えることが重要です。
Q3: 転職回数が多いと不利になる理由は何ですか?
A3: 「またすぐに辞めるのではないか」「性格に問題があるのではないか」「経歴に一貫性がない」と判断されやすくなるためです。
Q4: 短期間で転職する場合の対策はありますか?
A4: 転職理由を前向きに整理し、次の職場で実現したいことや活かせる経験を具体的に伝えることが必要です。
Q5: 長く働ける職場を選ぶためのポイントは何ですか?
A5: 職場の雰囲気、キャリアの選択肢、自身の価値観と合っているかを確認することが重要です。
【転職癖】薬剤師が転職を繰り返すデメリットと次の転職を成功させるコツ(まとめ)
次の転職に進むかどうかは、「判断が整理できているか」で決まります。





「これが説明できるなら転職していい」という状態をつくることが、転職を最後にする条件です。
転職回数が多いこと自体よりも、理由や基準が曖昧なまま、同じ判断を繰り返してしまうことが最大のリスクです。
次の転職に進む前に必要なのは、「転職するかどうか」を考えることではありません。
なぜ辞めたいのか/次は何を優先するのか/その条件が本当に必要なのかを、自分の言葉で説明できる状態にすることです。
その整理ができたかどうかを確認するために、薬剤師転職エージェントへの相談が有効です。
第三者に聞いてもらうことにより、自分の考えがさらに整理されます。。
まずは薬剤師転職エージェントに登録し、面談やヒアリングの場で転職理由・目的・条件を説明してみてください。
話の内容に矛盾がなく、納得できると言われたら大丈夫と判断して問題ありません。
それが、転職を繰り返さないための現実的な最初の一歩です。



