

派遣が気になる薬剤師
薬剤師の派遣は違法だと言っている人がいますが本当でしょうか。
派遣薬剤師って結構いますよね。大丈夫なんでしょうか?

このような薬剤師の疑問に答えていきます。
本記事の内容
この記事を読むと次のことがわかります。
- 薬剤師の派遣が禁止されている業務
- 薬剤師の派遣が可能な業務
- 薬剤師派遣禁止の例外規定

pharma_di(ファマディー)Follow @pharma_di
転職2回の大手チェーン調剤薬局の管理薬剤師。薬剤師や薬局事務の採用活動にも携わっています。
転職に失敗する薬剤師をゼロにしたいという思いで、自らの経験を基に記事を作成しています。
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薬剤師派遣が禁止されているのは病院だけ。病院への派遣も例外規定がありますので違法ということではありません。ちなみに薬局やドラッグストアへの薬剤師派遣は可能です。
派遣が禁止されている業務
労働者派遣のできない業務は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(労働者派遣法)及びその施行令等によって決められています。
労働者派遣のできない業務は以下の通りです。
- 港湾運送業務
- 建設業務
- 警備業務
- 士業
- 病院診療所等における医療関連業務
港湾運送業務
港湾運送業務とは、港湾における、荷物の積み下ろしなどの作業のことです。
通常の労働者派遣とは別の、港湾労働者派遣制度が導入されているため禁止されています。
薬剤師にはあまり関係はなさそうです。
建設業務
建築業務とは、建築工事現場における、建設や解体に関係する業務のことです。
労働者派遣事業とは別に、建設業務労働者就業機会確保事業制度が設けられているため禁止されています。
これも薬剤師にはあまり関係はなさそうですね。
警備業務
警備業務とは、事務所、住宅などでの盗難や事故などの防止をする業務のことです。
警備法において、警備業者が警備員を直接雇用して指導監督を行い、自らの責任において業務を処理することが求められていますので、派遣が禁止されています。
これも薬剤師にはあまり関係はなさそうですね。
士業
弁護士、税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士、土地家屋調査士、公認会計士などの「士」は、個人で資格を有し、依頼人から委託された業務を行います。
指揮命令を受けることがないので、派遣が禁止されています。(一部で労働者派遣は可能な場合もあります。)
薬剤師も個人で資格を有していますが、ここで書かれている「士業」には当てはまりません。
病院等における医療関連業務
病院等での医師、歯科医師、薬剤師の調剤、保健婦、助産婦、看護師・准看護師、栄養士等の業務は派遣が禁止されています。
「病院等」とは、次の①から⑥までに掲げるものを指すと定められています。
- 病院
- 診療所(障害者支援施設、生活保護法に基づく救護施設・更正施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム等に設置された診療所は除く)
- 助産所
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
- 医療を受ける者の居宅
https://www.jshp.or.jp/cont/21/0304-7-1.pdf
これらはそもそも労働者の派遣が禁止されていますので、薬剤師であろうがなかろうが派遣で働くことはできません。
薬剤師の派遣の禁止の例外(薬剤師派遣が可能)
やっぱり病院・診療所での薬剤師派遣は違法じゃないか!
薬局やドラッグストアでの調剤に派遣されるのも違法?
そう思われる方もいるかもしれませんので、ここからは、薬剤師に関係ありそうな病院診療所等における医療関連業務への派遣について詳しく見ていきます。
調剤薬局やドラッグストアへの薬剤師派遣は可能
調剤薬局やドラッグストアは、上記の「病院等」には含まれません。
調剤薬局への薬剤師派遣は違法ではなく可能です。禁止されていません。
ドラッグストアへの薬剤師派遣も違法ではなく可能です。禁止されていません。
病院等
「病院等」への薬剤師派遣は禁止されていますが、例外として以下の場合は可能とされています。
- 紹介予定派遣
- 産前産後休業・育児休業・介護休業中の労働者の代替業務
- 就業の場所がへき地・離島の病院
病院等の薬剤師の派遣は禁止されていますが、紹介予定派遣や、産前産後休業・育児休業・介護休業中の労働者の代替業務であれば薬剤師が派遣されても違法ではありません。
紹介予定派遣とは、派遣期間の後に派遣先の企業と直接雇用を結ぶことを前提にした派遣のことです。
紹介予定派遣についてはこちらのでご覧ください。
紹介予定派遣は病院に転職したい薬剤師、転職に絶対失敗したくない超慎重派薬剤師向けにおすすめの転職方法です。紹介予定派遣を使ってお試し勤務してみませんか。
過去には、病院への薬剤師派遣は「容認できない」と日本病院薬剤師会の川上副会長が発言しています。
日本調剤による病院向け「産休・育休代替薬剤師派遣サービス」に対する発言のようです。
現状の法律では、産休、育休等で休んでいる労働者の代替業務の派遣であれば、病院への派遣は可能とされていますので問題はありません。
この例外規定を拡大解釈されてしまうことを危惧しての発言と思われます。
業務以外で禁止されていること
業務の他にも禁止されていることもありますので見ていきましょう。
日雇い派遣の禁止
短期間での派遣は労働者の収入が不安定になること、派遣会社、派遣先企業共に適正な雇用管理をすることが難しいということで、2012年の法改正で日雇い労働者(日々もしくは30日以内雇用期間)の派遣は原則禁止となりました。
完全禁止というわけではなく、条件に当てはまれば、派遣が認められます。
薬剤師の日雇い派遣が認められる条件を以下にまとめました。
調剤業務に従事するなら薬剤師免許が必須なのは言うまでもありません。
- 60歳以上
- 学生
- 副業(主たる収入が500万円以上)
- 主たる生計者ではない(世帯収入が500万以上)
薬剤師だって日雇い派遣は可能です。
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1年以内に退職した職場への派遣は禁止
薬剤師の場合はほぼありませんが、正社員として雇用するのではなく、労働条件の低い派遣として働かせることを防ぐ目的です。
同じ派遣先で3年以上働くことは禁止
これも薬剤師の場合はほとんどありませんが、同じ職場で3年以上派遣で働くことはできません。
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薬剤師派遣のまとめ
- 調剤薬局やドラッグストアへの薬剤師派遣は可能
- 病院への薬剤師派遣は禁止されているが、紹介予定派遣や産休等の労働者の代わりでなら派遣は可能
- 日雇い派遣は原則禁止だが、例外規定あり
- 1年以内に退職した職場への派遣は禁止
- 同じ派遣先で働けるのは最長3年まで
派遣薬剤師として働ける業務の範囲や派遣期間についておわかりいただけたでしょうか。
派遣薬剤師として、調剤薬局やドラッグストアで勤務するなら法律に触れるようなことはありません。
派遣薬剤師で働いている期間中に不明な点があれば、全て派遣元(薬剤師派遣会社)が相談に乗ってくれますので安心です。
派遣薬剤師の需要は低下傾向となっていますが、まだまだ需要はあります。
正社員やパート薬剤師よりも自由な働き方ができる派遣薬剤師は人気がありますので、もし興味があるなら早いうちに派遣会社に登録をしておき、派遣先を紹介してもらう準備をしておくと良いでしょう。
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