薬剤師国家試験、本当にお疲れ様でした。自己採点で合格ラインを超えた時のあの解放感は、人生で一度きりの特別なものです。
まずはその努力を自分自身で最大限に褒めてあげてください。
このページにたどりついてくれたあなたは、同期たちに圧倒的な差をつけるチャンスを手に入れました。
というのも、国家試験の後から入社式まで遊んでしまう新入社員が多すぎるからです。

確かに一気に試験勉強から解放されますので、遊んでしまうのは仕方のないことではありますが・・・。
今の時期、SNSでは「卒業旅行」や「遊び」の投稿であふれますが、実はこの「入社までの空白の1か月」こそが、3年後の年収やキャリアの分岐点になります。
薬局に入社してからは、出身大学や国家試験の点数は今後の薬剤師人生において全く関係ありません。
今後の昇給や昇進は、入社してからのがんばりと結果のみで評価されます。
現場では「国試の点数が高かったプライド」が邪魔をして、調剤事務さんやベテラン薬務員さんからのアドバイスを素直に聞けず、孤立してしまう新人が毎年必ずいます。
逆に、国試ギリギリ合格でも「現場のマナー」を先に身につけている新人は、管理薬剤師から「教えがいがある」と重宝され、重要な仕事を早く任されるようになります。
だからこそ、この期間にやるべきことをやっておくと、あなたはスタートダッシュを決めることができて『仕事ができる薬剤師』になることができます。
国家試験に合格する自信が無かったから就職活動をまだしていない6年生はこちらをどうぞ。




本記事の内容
この記事では次のことがわかります。
入社前準備で同期に差をつけ、配属後も信頼を得られる。
国家試験の自己採点終了から入社式までにやるべきことをやっておくと、同期に差をつけることができます。また、薬局に配属されたときに『できる新人』という印象を持ってもらえます。
最初にこの印象を持ってもらうと、人間関係の問題で悩むことも減り、圧倒的に成長できる薬剤師になれます。
≫4月の入社後に新人薬剤師がやるべきことはこちらをご覧ください。


薬剤師国家試験の自己採点合格から入社式までにやるべきこと
入社前はマナー・報酬理解・資金計画で差がつく。
Check
- 「学生のノリ」を捨て、社会人としての基礎(マナー・言葉遣い)を固める。
- 調剤報酬の仕組みを「経営的視点」で少しだけ覗いておく。
- 2024年以降の物価高騰を考慮し、引越し等の資金計画を立てる。


薬剤師国家試験終了から入社式までの約1カ月半。
この期間が、今後のデキる薬剤師になれるかどうかが決まる重要な期間といっても過言ではありません。
この重要な期間に遊ぶか、準備をするかで大きな差がつきます。
入社してしまえば薬剤師である以上、出身大学や国家試験の点数、大学での成績は全く関係ありません。仕事での頑張り、結果が評価に直結します。特に、近年の調剤報酬改定では、薬を出すだけの「対物業務」から、患者さんへの貢献度を評価する「対人業務」へシフトしており、コミュニケーション能力=給与評価という時代になっています。
学生時代成績が良かった人も悪かった人も関係ないのです。
だったら、もうひと頑張りして、楽に社会人スタートを決めたほうが良くないですか?
薬剤師国家試験の自己採点合格から入社式の間にやっておくべきこと
- 社会人のマナーについて理解する
- 言葉遣いを直しておく
- 調剤報酬について勉強する
- 医薬品集を買っておく
- 必要な道具を準備しておく
- 引越の準備(実家から離れる方のみ)
社会人のマナーについて理解する
4月からはもう社会人です。学生気分はすぐに取り除きましょう。特に薬局は、地域の高齢者から見れば「先生」と呼ばれ、高い倫理観を求められる職場です。
挨拶や電話対応の方法は大丈夫でしょうか?接客業でバイト経験がある人と無い人では大きな差となる部分です。薬局で働く薬剤師はサービス業であり接客業でもあります。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、薬剤師の平均年収は約580万円(2023年調査)と他業種より高めですが、その分「対人スキル」への期待値も高いことを忘れてはいけません。
まずやるべきは、社会人の基本的なマナーについて理解しましょう。社会人としてのマナーを理解するには、関連の本を買って読むくらいで大丈夫です。
≫新人薬剤師が身に付けておきたいマナーとコミュニケーション術
言葉遣いを直しておく
あなたは尊敬語と謙譲語は使い分けられますか?言葉遣いが上手ではない人は今から修正が必要です。
「○○でよろしかったでしょうか?」や「○○円からお預かりします」なんて言ってはダメですよ。バイト言葉(いわゆるファミコン言葉)は、年配の患者さんから「この人は本当に国家資格を持っているの?」という不信感を生む原因になります。
上司に対して、「了解です」もNGです。正しくは「承知いたしました」です。
人と話す時に、何かと「本当ですか?」という返してくる人が最近多いです。口癖なのでしょうが、こちらも嘘をついているわけではないので疑われても困ります。心当たりあれば直しておきましょう。
調剤報酬について勉強する
どの薬局に配属しても役に立つのは調剤報酬です。また、一番わかりづらいのも調剤報酬です。作用機序や疾患については試験勉強でしっかり理解されているでしょう。しかし、「地域支援体制加算」や「連携強化加算」といった、薬局経営の根幹に関わる調剤報酬の勉強で苦労する新人薬剤師はかなり多いです。
2年に1回調剤報酬改定が行われるので、古いものを覚えても意味がありません。入社式までに勉強するというよりは、薬局に配属されてから学んだ方が良いと思います。ただし、「処方箋受付1回につき、どのような点数が発生しているのか」という大枠だけは把握しておくと、現場での理解スピードが3倍変わります。
薬局には必要書籍として常備されていることが多いですし、2年に1回大きな改定が行われます。最新の情報を理解するためにも配属されてから学びましょう。
医薬品集を購入しておく
新人研修で使う薬局では書籍が指定されていることがあります。確認してから購入をしましょう。最近は「m3.com」や「今日の治療薬アプリ」などスマホで済ませる人も多いですが、指導官(プリセプター)によっては「まずは紙で引くクセをつけなさい」という指導方針の方も多いです。
薬局にも1冊置いてあるはずですが、自分のを持っておくのがオススメです。書きこんだり付箋を貼ったりして活用しましょう。
新人がマイ医薬品集に付箋をたくさん貼ってボロボロに使い込んでいる姿を見ると、教育担当は「この子は伸びる!」と確信します。デジタルは効率的ですが、新人のうちは「努力の可視化」も人間関係を円滑にする戦略の一つですよ。
薬局に配属されると、医薬品集以外にも必要と思われる本が出てくると思います。


必要な道具を準備しておく
白衣や印鑑は会社で用意してくれる場合がほとんどです。自分で準備する必要があるものは何かを確認してから購入しましょう。特におすすめは、シャチハタのキャップレス9のような、片手で押せる印鑑です。調剤監査印を何百回と押す現場では必須アイテムです。
ボールペンとメモ帳は必須です。特に、ジェットストリーム 4&1 0.7mmの使用率は圧倒的です。0.5mmだと複写式の処方箋や伝票で字がかすれることがあるため、0.7mmが現場では重宝されます。


引越の準備(実家から離れる方のみ)
実家から離れて一人暮らしをする方は引っ越しの準備が必要です。新人研修が始まってしまうと準備する期間がありません。特に大手チェーンの場合、配属先が決まるのが3月中旬以降になることも多く、直前の引越し見積もりは通常期の2倍以上の価格になることもあります。早めの情報収集を心がけましょう。
入社式前には引越し準備を終えておきましょう。
新人薬剤師が薬局配属までにやっておくべき2つのこと
配属前に採用薬品と内規を把握し過誤を防ぐ。
Check
- 店舗独自の「採用薬品」と、処方元のドクターの「癖」を把握する。
- 「調剤過誤」を防ぐためのルール(内規)を完璧に頭に入れる。


新人研修が終わるといよいよ薬局に配属されます。できれば、この時点で終わらせておいた方がよいことがあります。
- 薬局に在庫している薬を覚える
- 業務手順書(調剤内規)を覚える
薬局に在庫している薬を覚える
配属される予定の薬局に置いてある薬のリストを事前にもらっておきましょう。どの科の処方せんを応需しているかや集中率によって異なりますが、少ないと500品目程度、多くてもせいぜい2,500品目くらいです。
どの薬が多く出ているのかを知っておくことも重要です。まずは、多く応需している医療機関の薬から覚えていきましょう。門前薬局であれば、そのドクターが好む「先発品指定」や「配合剤の選択肢」があります。これを知っているだけで、ピッキングのスピードが格段に上がります。
リストをもらっても、商品名と一般名が一致しないことが多々あります(特にGE)。現場では「先発名で呼ぶ慣習」が残っていることも多いので、リストを眺める時は必ず「先発名・後発名・規格」をセットで確認するクセをつけてください。
業務手順書(調剤内規)を覚える
どの薬局にも業務手順書が作られています。通常、その手順に沿って全ての業務が行われます。また、薬局によってはもっと細かく独自の調剤内規を作っていることも。例えば、「一包化のルール」「疑義照会の時間指定」「粉薬の予製」など、その店舗独自のルールを早めに覚えておきましょう。
新入社員に知っておいて欲しいこと(デキる薬剤師になるコツ)
プロ意識と質問力で1年目の成長速度が決まる。
Check
- 「給料をもらう=プロ」としての自覚を1日目から持つ。
- メモを「取る」だけでなく、後で検索できるように「整理」する。
- 「分からない」は新人の特権。1年目こそ質問攻めにする。


大学では授業に出れば講師が教えてくれましたが、社会人ともなるとそうはいきません。給料が発生しているのです。薬局に勉強をしに行くのではありません。勉強してきたことを薬局で使うのです。処方箋1枚あたりの利益構造(調剤基本料や薬学管理料)を意識すると、自分の行動一つひとつが会社にどう貢献しているかが見えてきます。
とはいえ、配属当初は何もできなくて当然です。薬の場所も仕事の流れもわからないでしょう。いつから服薬指導を始めるのかもわかりません。でも、ここまで書いてきたことをやっておけばあなたはデキる薬剤師になれるはずです。
デキる薬剤師になるコツ
- とにかくメモを取る
- とったメモをまとめる・整理する
- 頭の中も整理する
- わからないことをそのままにしないで解決する
メモを取る姿は好印象ですが、「同じことを2回聞く」と一気に評価が下がります。忙しい現場では「一度教えたことは覚えたもの」とみなされます。夜、寝る前の15分で良いので、その日のメモを清書して「自分専用マニュアル」を作る習慣をつけてください。これが3ヶ月後、あなたを同期の中でトップに押し上げます。
薬局に配属されると忙しくて、家に帰るとぐったりということもあるでしょう。だからこそ、薬局配属前の事前準備が大事なのです。重要なこの期間にしっかり準備しておけば、あなたは優秀な薬剤師にかならずなれます。
新人薬剤師向けの記事をまとめましたので、気になるところは目を通しておきましょう。













最後にもう一つ、私から新人薬剤師に伝えておきたいこと。
それは、新人薬剤師も転職は可能ということです。
どうしても人間関係でうまくいかない、仕事をしっかり教えてくれない。
そのように悩むこともあるかもしれません。先輩薬剤師や管理薬剤師が厳しくて、メンタルを削られてしまうこともあります。
「石の上にも三年」という言葉がありますが、薬剤師業界では必ずしも正解ではありません。
もし、周囲に相談してどうにもならない場合には転職という選択肢があるということを頭に入れておいてください。
最近では「第二新卒」としての求人も多く、研修制度が整った大手への再就職も珍しくありません。
新人だから転職してはいけない、履歴書に傷がつくということは一切ありません。今後の薬剤師人生に不利になることもありません。むしろ、自分に合わない環境でダラダラ過ごし、「認定薬剤師」の取得が遅れることの方がリスクです。
【新人・薬剤師1年目】転職しても問題ない理由と採用担当者が教える7つの注意点


心も体も悲鳴を上げてからでは遅すぎます。
もう無理、そう思ったら休む、異動の希望を出す、転職をする、様々な選択肢があるということを知っておきましょう。
普段から多くの選択肢を持っていれば、安心して仕事に取り組めます。
その会社で定年まで勤めなければならないことはありません。
いつでも嫌になったら他に転職できる。こう思っておくだけで気が楽になりますよ。
万が一の時に備え、大手エージェントに登録して「市場価値」を確認しておくのも一つの手です。
今すぐ自分に合った求人をプロに相談する
今の環境が不安なら、まずは「今の働き方が普通なのか」をエージェントに聞いてみましょう。1年目でも相談に乗ってくれるプロはたくさんいます。




新卒薬剤師に関してよくある質問
入社前の不安は想定問答で事前に潰せる。
国家試験合格から入社までに、多くの新人が抱く不安について回答します。
Q1: 配属先が「一人薬剤師」の店舗だったらどうすればいい?
A1: 新人をいきなり完全な一人薬剤師にすることはありませんが、短時間だけ一人になる場面はあるかもしれません。その際は「必ず管理薬剤師に連絡がつく体制か」を確認し、不明点は絶対に独断で解決しないことが鉄則です。
Q2: 研修認定薬剤師はいつから取得を目指すべき?
A2: 入社後すぐに登録することをお勧めします。2024年以降の調剤報酬でも「かかりつけ薬剤師」の要件として必須であり、キャリアアップや転職時に非常に有利になります。
Q3: 残業代はしっかり出る?薬局業界の「サービス残業」の実態は。
A3: 大手チェーンや優良な中小薬局では1分単位で支給されますが、閉局後の「薬歴記入」がサービス残業化している店舗も一部存在します。入社前に就業規則を必ず確認しましょう。
Q4: 大手チェーンと個人薬局、新卒ならどちらが成長できる?
A4: 研修制度の充実度なら「大手」、幅広い経験や地域密着の深さなら「個人薬局」です。ただし、最初の基礎を固める時期はマニュアルが完備された大手の方が、変な癖がつかずに済む傾向があります。
Q5: 薬剤師国家試験の合格発表前に勉強はやめてもいい?
A5: 完全にやめる必要はありませんが、本記事で紹介した「調剤報酬」や「マナー」など、実務に直結する分野へシフトすることをおすすめします。
Q6: 管理薬剤師との相性が最悪な場合の対処法は?
A6: まずは本部のエリアマネージャーや人事部に相談しましょう。大きな組織であれば「店舗異動」という形で解決できる場合がほとんどです。
Q7: 白衣の下は何を着るのがマナー?
A7: 襟付きのシャツやブラウス、スラックスが基本です。最近はオフィスカジュアルも容認されていますが、派手な色やデニムは避け、清潔感を第一に考えましょう。
Q8: 入社前に「e-ラーニング」を始めておくべき?
A8: 会社から指定があればそれに従いましょう。自主的に始めるなら、認定薬剤師の単位が取れるサイトをチェックしておくと、入社後の負担が減ります。
Q9: 奨学金返済が不安。初任給からいくら貯金・返済に回すべき?
A9: 薬剤師の初任給は手取りで20万円〜25万円程度です。住宅補助の有無にもよりますが、まずは生活防衛資金として給与の10〜20%を貯蓄に回す習慣をつけると安心です。
Q10: 調剤事務さんとの人間関係を円滑にする方法は?
A10: 「教えてもらう姿勢」を忘れないことです。事務さんは処方入力やレセプトのプロです。薬剤師としてのプライドは一度横に置き、感謝の言葉をこまめに伝えましょう。
【新人社員薬剤師向け】薬局配属までにやっておくべき事(まとめ)
配属前の準備で最初の評価と成長が決まる。


- 社会人のマナーについて理解する
- 言葉遣いを直しておく
- 調剤報酬について勉強する
- 医薬品集を買っておく
- 必要な道具を準備しておく
最低でもこの5つのことはやっておきましょう。マナーや言葉遣いが悪い薬剤師は、どんなに薬のことに詳しくても患者さんから信頼を得ることはできません。一度失った信頼を回復するのは、薬の知識を身につけることよりも10倍難しいと言われています。
あの新人はマナーや言葉遣いがおかしいと一度レッテルを貼られてしまうとはがすのは困難です。
最初が肝心です。遊びたい気持ちをグッと抑えてこの5つについてしっかりと準備しておきましょう。
そして、さらにデキる薬剤師として同期に差をつけたい、薬局に配属されてから楽をしたいと思うならやるべきことリストに以下の2つも加えておきましょう。
- 薬局に在庫している薬を覚える
- 業務手順書(調剤内規)を覚える
これであなたは、デキる新人薬剤師としてその名前がとどろくはずです。
最後に、薬局に配属されてから、辛い、どうしても無理となったら早めに相談をしてください。薬剤師は需要が高い国家資格です。一つの店舗で潰れてしまうのは社会的な損失です。
そして、異動や転職などの選択肢があるということを覚えておきましょう。
我慢をする、無理をするだけが道ではありません。
適切な環境で働けば、薬剤師は非常にやりがいがあり、一生の糧となる素晴らしい仕事です。あなたのキャリアが輝かしいものになるよう心から応援しています。










