今期の目標設定に悩んでいる薬剤師
うちの会社では毎年目標を設定します。それが昇給や賞与の評価につながるのでがんばらないといけないのですが、目標設定をどうすればよいか悩んでいます。
何か良い方法はないでしょうか?
- 今期も目標設定をしないといけないけど思いつかない……。
- もう何年も目標設定をやっているのでネタ切れになってしまった……。
- 初めて目標設定をすることになったけどどうやって目標を立てたらよいのかわからない……。
あなたもこのようなことで悩んでいませんか?
薬剤師の仕事は営業のように明確な数字が出にくいので、目標をどうするか悩んでいる薬剤師も多いのではないでしょうか。
実は、ある法則を利用すれば目標設定がかんたんにできます。
今回は評価者である管理薬剤師の視点から、目標設定に使える法則を紹介します。
本記事の内容
この記事では次のことがわかります。
この記事を読むと、あなたは今期の目標設定をスムーズに終わらせることができます。
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全国に300店舗以上運営している大手調剤薬局チェーンの大型店舗で管理薬剤師をしています。
管理薬剤師歴は15年以上。現在は転職サイトの担当者と連絡をとりつつ、中途薬剤師の採用活動にも携わっています。
【私が薬剤師採用のために連絡を取っている≫おすすめの薬剤師転職サイト】
面接をした中途薬剤師は軽く100人を超えました。
私は過去2回転職をしていて、1回目は大失敗。ブラック薬局で過ごした数年間は地獄そのもの。
ブラック薬局に入らない方法、そこから脱却した方法を他の薬剤師にも役立ててほしいと思い、当サイト「薬剤師のための転職ブログ・ファマブロ」を始めました。
このサイト内の記事は『過去2回の転職経験』と、『現在の薬剤師採用業務の経験と知見』を基に全て私が1人で書いています。
SMARTの法則を使えば目標設定はかんたんです。ただ当てはめていくだけで目標が完成します。
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薬剤師の目標設定で意識すべき8つのポイント
薬剤師の目標設定で意識すべき8つのポイント
- 目標設定と人事評価の決まりごとを理解する
- あなたがいる薬局(部署・組織)は何が求められているのかを知る
- あなたを評価する上司はあなたに何を求めているのかを知る
- 自動的に達成できるような目標はダメ
- 上司が評価しやすい目標であるかどうか
- 自分がやりたいことを目標にする
- SMARTの法則を目標に盛り込む
- 目標を達成するための行動目標(アクションプラン)も考える
目標設定と人事評価の決まりごとを理解する
まずはこの目標設定があなたにどのような影響を及ぼすのかをよく理解しましょう。
翌期の昇給や賞与に影響するのかしないのか、影響するとすればどの程度影響するのかなど会社から配布された資料を熟読して理解してください。
ただの学習目標かもしれませんし、将来の昇進(管理薬剤師やその上の役職)に影響する重要なものかもしれません。
何のための目標設定なのかをしっかりと確認しておきましょう。
影響が大きいなら真剣に目標設定に取り組まなければいけません。
あなたがいる薬局(部署・組織)は何が求められているのかを知る
あなたの薬局の課題は何でしょうか。
会社からは何か求められているのでしょうか。
- 患者数を増やすこと?
- 主要医療機関以外の処方箋を獲得して集中率を下げること?
- 地域支援体制加算の算定をするために在宅を獲得すること?
あなたの薬局には本部(本社)からどういう指示が出ていて、何に注力するよう言われているのかを知りましょう。
それを達成できるような(近づけるような)目標を設定することは薬局のためにもなりますし、達成することができればあなた自身の評価も高まります。
薬局の課題を解決できる目標にするのが理想的です。
上司(評価者)はあなたに何を求めているのかを知る
あなたの上司はあなたに何を求めているのかを知りましょう。
上司が求めている内容とあなたがやりたいことがズレていると、せっかく頑張っても評価されません。
例えば、評価者、被評価者が次のように考えていたとします。
あなた(被評価者)」「ちょっと時間をかけてでも薬歴を丁寧にしっかりと書いて高評価をもらおう」
このように両者の認識がズレていたら高評価を得ることはできません。
そのためにも、あなたを評価する上司(評価者)はあなたに何を求めているのかをよく知っておきましょう。
あなたが求められていることを実行すれば、あなたの評価は高まります。
自動的に達成できるような目標はダメ
高評価をもらいたいからと難易度が低い目標を設定する薬剤師も多いのですが、それはかえって逆効果。
難易度を下げて目標作ったことがかんたんにバレてしまいます。
しかも、その目標を達成しても「それはあなたの力ではない」と言われて終わりです。
ちょっと頑張れば手が届きそうな(目標が達成できそうな)、絶妙な難易度設定が必要です。
上司が評価しやすい目標にする
あなたの薬局にはあなたの他に何人の被評価者がいますか?
上司はその全員を評価しなくてはなりません。
上司の手間を省くためにも上司が評価しやすい目標にすることが大切です。
評価しやすい目標とは結果が数字として出てくるもの。
前年との比較ができるとなお良いです。前年と比較することで難易度の設定がしやすくなりますね。
なんで上司の評価しやすさまで考えなければいけないんだという声が聞こえてきそうですが、これも高評価を得るためです。
目標が10で結果が12だったら目標達成、結果が3だったら全然ダメというように、評価者にも被評価者にも同じ目線で見えるのはとても大切です。
自分がやりたいことを目標にする
自分がやりたくないようなことを目標にしてしまうと、ずっとモヤモヤした状態で1年間仕事をしなくてはいけません。
少なくとも自分がやりたい、頑張ってみたい内容を目標に設定しましょう。
自分がやりたい、頑張ってみたいことならモチベーションが続くはずです。
SMARTの法則を目標に盛り込む
SMARTの法則とは、5つの基準に基づいた目標設定方法のこと。
一般的に『Specific』、『Measurable』、『Achievable』、『Relevant』、『Time-bound』の頭文字からそう呼ばれています。
それぞれの項目について解説していきます。
Specific(具体的な)
目標は具体的で分かりやすい指標であることが大切です。
抽象的な表現ではなく、「何を」「どれくらい」「どうやって」を明確にしましょう。
Measurable(測定可能な)
目標は数値やパーセンテージなど、測定可能なものであることが大切です。
測定ができなければ、目標達成度や進捗状況がわかりません。
目標には可能な限り数値で評価できる指標を取り入れましょう。
Achievable(実現可能な)
目標は現実的で達成可能なものであることが大切です。
高すぎる目標は挫折やストレスにつながります。
だからといって努力をしなくても自然に達成できてしまうようなら、それは目標とは言えません。
Relevant(経営目標・業務に関連した)
目標は薬局の経営目標や会社の方針に関連していることが大切です。
薬局の経営目標に貢献できるような目標を設定しましょう。
業務に関連した目標にしておかないと、普段の仕事とは別に「目標のための仕事」が発生してしまいます。
大変な思いをすることになりますので気をつけてください。
Time-bound(期限を定めた)
目標には期限が必要です。
期限を定めたら、目標達成のためのアクションプランを立てましょう。中間に一度期限を設けておいて、進捗を確認するのがオススメです。
会社によって評価期間が決まっていると思います。基本的には「その評価期間の終了までに」期限を定めればよいでしょう。
目標を達成するための行動目標(アクションプラン)も考える
目標を立てっぱなしでは高評価は得られません。具体的にあなたは何をするのかという行動目標も合わせて考えましょう。
薬剤師の目標設定の手順
目標設定の手順を一度まとめてみます。
- あなたが今の薬局でやりたいことを考える。担当している業務の内容や任されていることなどから考えてみましょう。
- その中で上司に求められていることは何かを意識して絞り込む。
- 難易度を設定するために昨年の実績や現状などの数値・数字を集める。
- SMARTを意識して目標にする。
- 作った目標の難易度が妥当かどうか確認する。
- 目標を達成するための行動目標(アクションプラン)を考える。
ここまで理解できれば、あなたの目標はできたも同然です。
ここからは目標の具体例を見て行きましょう。
薬剤師の目標設定例
目標として無事に通過した(上司からOKが出た)ものを見てみましょう。
このまま使ってもよいですが、あなたの薬局の状況に合わせて数字を変えるなど調整してください。
●●年□月末までに、かかりつけ薬剤師の同意書を○名取得する。
S:「かかりつけ薬剤師の同意書取得」でわからない人は薬局薬剤師にはいないでしょう。
M:「同意書枚数」は測定可能です。
A:難易度の設定は○名を変えることで対応しましょう。上司からノルマが出ているのであればそこを上回る人数の設定が必要です。
R:かかりつけの点数をとりたくない薬局は無いでしょうから問題ありません。
T:期限が入っています。
そのための行動目標は「対応することが多い患者さん、かかりつけ薬剤師が必要そうな患者さんをピックアップし、いつでも声をかけられるよう同意書を準備しておく」ということになるでしょうか。
かかりつけ薬剤師の要件を満たしていない薬剤師はこの目標は当然使えません。
薬局の在庫月数を毎月末時点で□カ月分未満にする
S:数値がしっかり出せるのであればよいと思います
M:月末時点で□カ月分未満なので測定可能です。
A:□カ月を変えることで難易度設定は可能ですね。
R:在庫削減の指示が出ているのであれば組織目標に連動していて良いでしょう。
T:今月末からすぐには結果が出ないでしょうから●月以降としておくと良いかもしれません。
行動目標:発注や在庫担当を任されているのであれば適正在庫を計算し直す、1人にしか出ていない薬や高額な薬の発注タイミングを翌月にする、デッドストックを解消させることをやっていく必要があります。
ここからは修正が必要な目標の例です。
どの部分に修正が必要だったのか考えながら見てみてください。
薬局内で症例検討会を毎月1回開催する
『薬局内で症例検討会を毎月1回開催する』
一見問題のない目標のようです。
S:症例検討会のレベル、掘り下げ方がどの程度のものなのかが具体的ではないと指摘されそうです。
M:「毎月1回」は測定可能です。
A:そもそもこういった時間を設けることができるのかどうかの確認は必要です。
R:症例検討会でほかの薬剤師のレベルアップにもつながりそうです。あなたが新卒薬剤師だと難しそうです。
T:期限はありませんが、頻度は入っていますので良いでしょう。
症例検討会をやったという記録をしっかり残すことが必要です。
簡単な検討会をやる程度では高評価は難しいでしょう。
1人前の薬剤師になる
『1人前の薬剤師になる』
S:1人前の薬剤師とは何かの設定が必要です
M:1人前になったかどうかはどうやって測定すればよいでしょうか?
A:
R:早く1人前になって欲しいです。
T:期限の記載がありません。
1人前の薬剤師が抽象的すぎます。
1人前の薬剤師についてしっかり定義されていて評価者と被評価者で共有されていれば良いですが、そうでない場合はこのままでは評価できません。
受付回数を△%増やす
『受付回数を△%増やす』
S:何と比べてでしょうか。前年?
M:受付回数は測定可能です。
A:もともと右肩上がりで受付回数が増えているなら達成可能かもしれません。
R:受付回数が増えるのは薬局にとって良いことです。
T:期限の記載がありません。
行動目標は何になるでしょうか。
例えば、近隣に医療機関を誘致したり、院外処方にしてもらうなどできるくらいの力があればよいでしょう。
神頼みではだめです。
薬局の処方せん枚数・受付回数を増やせと言われて困っている調剤薬局の薬剤師向けに現役管理薬剤師が解説。うちの薬局では枚数・応需医療機関ともに13%増加しました。処方せん受付回数を増やす方法を11個紹介します。
一般薬剤師が受付回数を目標にするのは避けたほうが良いと思います。
もし達成してもあなたの努力がどの程度かを評価することは極めて困難です。
別の要因で増えたのか、あなたの頑張りで増えたのか調べることができません。
医薬品の廃棄額を減らす
『医薬品の廃棄額を減らす』
S:減らすが具体的ではありませんので前年の金額を調べて具体的な額を設定すると良いでしょう。
M:廃棄額は在庫管理システムで集計可能ですね。
A:廃棄額をいくら未満とするかで難易度調節が可能です。
R:医薬品の廃棄は利益減少につながりますから組織目標に関連していると言えます。
T:期限が入っていません。
減らすを具体的にする必要があります。
前年はどの程度の廃棄があったのか調べる必要がありそうですね。
「●月から●月末までの医薬品廃棄額を前年比で△%以上減らす」とすると良いかもしれません。
期限切れ等で高額な薬の廃棄予定がある場合、それだけで目標が達成できないという事態にもなりかねませんから注意しましょう。
後発品の使用率を90%以上にする
『後発品の使用率を90%以上にする』
S:後発医薬品調剤体制加算3を算定するということでしょうか。それとも後発品を使っている患者さんが90%ということでしょうか。単月でも90%を超えればよいのでしょうか。
M:レセコンから調べることが可能です。
A:現状が83%くらいなら達成可能かもしれません。
R:加算を増やしたいので達成できたら薬局にとって良いことです。
T:期限の記載がありません
「○年●月までに後発医薬品使用体制加算3の算定を開始する」とすれば良いでしょう。
一般薬剤師がこの目標を設定した場合、受付回数と同様あなたの頑張りによる増加分がどの程度かを測ることができないことに注意が必要です。
その他の目標例
薬剤師の目標に使えそうな項目を挙げてみました。このままでは目標にはなりませんのでSMARTの法則を使って使える目標にしてみてください。
- △△加算を○回以上算定する
- 待ち時間クレームをゼロにする
- 業務改善をする
- 服薬指導用ツールを作成する
- 整理整頓する(5S活動をする)
- アプリの使用者数を○人にする
- 在宅を獲得する
5S活動についてはこちらをご覧ください。
薬局で5S活動をやるべき7つの理由をまとめました。5S活動を実践するとメリットがたくさん。職場環境の改善にも役立つ5S活動をあなたの薬局でもぜひ取り入れてください。
目標設定で使わない方がよい文言の例
増やす、減らす、頑張る、努力する、力を入れるという言葉は目標設定には使用しないようにしましょう。
抽象的で判断できません。
具体的にどのくらい増やす(減らす)のかを追記しましょう。
一般用医薬品の売上を増やす
↓
一般用医薬品の売上を前年と比べて20%以上増やす
残業を減らす
↓
自分の残業時間を前年と比べて10%以上減らす。
このように具体的に書いておくことが必要です。
薬剤師の目標設定方法・例文あり Q&A
Q1: 薬剤師の目標設定において重要なポイントは何ですか?
A1: 薬剤師の目標設定では、目標が具体的で測定可能、達成可能、関連性があり、期限が定められていることが重要です。これらの要素を含めることで、実現可能で評価されやすい目標を設定できます。
Q2: 目標設定の手順はどうすれば良いですか?
A2: 目標設定の手順は、1.やりたいことを考える、2.上司に求められていることを意識する、3.昨年の実績や現状を確認する、4.SMARTの法則に従って目標を設定する、5.行動目標を考える、という流れで行います。
Q3: SMARTの法則とは何ですか?
A3: SMARTの法則は、Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(関連性)、Time-bound(期限がある)の5つの要素を含む目標設定の方法です。
Q4: 具体的な目標設定の例はありますか?
A4: 例として、「6か月以内に薬歴の入力時間を30%短縮する」「来年度末までに新規患者数を20%増加させる」などがあります。これらの目標はSMARTの法則を取り入れています。
Q5: 目標設定に失敗しないためのアドバイスはありますか?
A5: 目標設定に失敗しないためには、自分がやりたくないことを目標にしない、上司が評価しやすい目標にする、行動目標も合わせて考えることが重要です。具体的かつ現実的な目標設定が鍵です。
薬剤師の目標設定方法のまとめ
薬局として薬剤師として求められていることのうち、あなた自身が頑張ってやってみたいことを具体的に(SMARTの法則を使って)記載し、それに対する行動目標を立てていきさえすればその目標は上司に承認されるはずです。
その行動目標の通りに進めていけばあなたの評価は良いものになることでしょう。
評価制度について詳しくない薬剤師向けの記事です。薬剤師の評価制度の種類と特徴、魅力的な薬剤師の評価制度についてまとめました。ぜひご覧ください。
評価項目を知らない薬剤師は確実に損をしています。評価項目に無いものを頑張っても評価されません。自分の会社の人事評価制度をしっかりと理解して、力を入れるべきところを誤らないように気を付けましょう。
今期の目標が未達の薬剤師は必見!このままではあなたは低評価になってしまいます。あきらめてはいけません。この記事を読めば目標が未達でも高評価を得られる可能性が高まります。
目標設定をしてもどうせ給料上がらない。目標を達成したとしても昇給額がどの程度かわからない。
結局昇給や賞与に関係ない。人事評価制度や査定に不満がある薬剤師向けには以下をどうぞ。
大手5社の薬剤師転職サイトの特徴と総合ランキング