
上司からは、もっと具体的にとか数字を入れてとか言われていませんか?
ここでは管理薬剤師の目線から、
- 目標設定の意味
- 目標設定で意識すべきこと
- 目標設定の手順
- 目標の具体例
今の職場の人事評価制度はおかしい。年収が全然上がらないと思ったら
薬剤師の目標設定で意識すべき8つのこと
まずは目標設定と人事評価の決まり事を熟読する
あなたがいる薬局(部署・組織)は何が求められているのかを知る
主要医療機関以外の処方箋を獲得して集中率を下げること?
地域支援体制加算の算定をするために在宅を獲得すること?
まずは今現在、本部(本社)からどういう指示が出ていて、何に注力するよう言われているのかを知りましょう。
それを達成できるような(近づけるような)目標を設定することは薬局のためにもなりますし、達成することができればあなた自身の評価も確実に高まるでしょう。
あなたを評価する上司はあなたに何を求めているのかを知る
たとえば、評価者、被評価者が次のように考えていたとします。
上司(評価者)「薬歴を早く書き上げて残業を減らしてほしい」
薬剤師(被評価者)「ちょっと時間をかけてでも薬歴を丁寧にしっかりと書いて高評価をもらおう」
この薬剤師が高評価を得ることは極めて難しいでしょう。
自動的に達成できるような目標はダメ
高評価をもらいたいからと難易度が低い目標を設定する薬剤師も多いですが、かえって逆効果です。
もし目標を達成したとしても、「それはあなたの力ではない」と言われて終わりです。さらに、難易度下げて目標作ったなとバレバレです。
評価者が評価しやすい目標であるかどうか
評価しやすい目標=結果が数字として出てくるもの。
前年との比較ができるとなお良いです。前年と比較することで難易度の設定がしやすくなりますね。
自分がやりたいことにする
SMARTの法則を目標に盛り込む
一般的に『Specific』、『Measurable』、『Achievable』、『Relevant』、『Time-bound』の頭文字からそう呼ばれています。
Specific(具体的な)
目標が具体的かどうか、ほかの人が読んでもわかりやすいか
Measurable(測定可能な)
達成度を測れる目標かどうか。評価者、被評価者にとって目標達成度合いがわかりやすいか。
Achievable(実現可能な)
達成可能な目標か。希望や願望ではなく現実的かどうか。
Relevant(関連した)
設定した目標が組織の目標に関連しているか。
Time-bound(期限を定めた)
期限が設定されている目標かどうか。
目標を達成するための行動目標も合わせて考える。
薬剤師の目標設定の手順
- あなたが今の薬局でやりたいことを考える。担当している業務の内容や任されていることなどから考えてみましょう。
- その中で上司に求められていることは何かを意識して絞り込む。
- 難易度を設定するために昨年の実績や現状などの数値・数字を集める。
- SMARTを意識して目標にする。
薬剤師の目標設定例
まずは目標として無事に通過した(上司からOKが出た)ものを見てみましょう。
●●年□月末までに、かかりつけ薬剤師の同意書を○名取得する。
M:「同意書枚数」は測定可能です。
A:難易度の設定は○名を変えることで対応しましょう。上司からノルマが出ているのであればそこを上回る人数の設定が必要です。
R:かかりつけの点数をとりたくない薬局は無いでしょうから問題ありません。
T:期限が入っています。
そのための行動目標は「対応することが多い患者さん、かかりつけ薬剤師が必要そうな患者さんをピックアップし、いつでも声をかけられるよう同意書を準備しておく」ということになるでしょうか。
かかりつけ薬剤師の要件を満たしていない薬剤師はこの目標は当然使えません。
薬局の在庫月数を毎月末時点で□カ月分未満にする
M:月末時点で□カ月分未満なので測定可能です。
A:□カ月を変えることで難易度設定は可能ですね。
R:在庫削減の指示が出ているのであれば組織目標に連動していて良いでしょう。
T:今月末からすぐには結果が出ないでしょうから●月以降としておくと良いかもしれません。
薬局内で症例検討会を毎月1回開催する
M:「毎月1回」は測定可能です。
A:そもそもこういった時間を設けることができるのかどうかの確認は必要です。
R:症例検討会でほかの薬剤師のレベルアップにもつながりそうです。あなたが新卒薬剤師だと難しそうです。
T:期限はありませんが、頻度は入っていますので良いでしょう。
1人前の薬剤師になる
M:1人前になったかどうかはどうやって測定すればよいでしょうか?
A:
R:早く1人前になって欲しいです。
T:期限の記載がありません。
受付回数を△%増やす
M:受付回数は測定可能です。
A:もともと右肩上がりで受付回数が増えているなら達成可能かもしれません。
R:受付回数が増えるのは薬局にとって良いことです。
T:期限の記載がありません。
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医薬品の廃棄額を減らす
M:廃棄額は在庫管理システムで集計可能ですね。
A:廃棄額をいくら未満とするかで難易度調節が可能です。
R:医薬品の廃棄は利益減少につながりますから組織目標に関連していると言えます。
T:期限が入っていません。
「●月から●月末までの医薬品廃棄額を前年比で△%以上減らす」とすると良いかもしれません。期限切れ等で高額な薬の廃棄予定がある場合、それだけで目標が達成できないという事態にもなりかねませんから注意しましょう。
後発品の使用率を90%以上にする
M:レセコンから調べることが可能です。
A:現状が83%くらいなら達成可能かもしれません。
R:加算を増やしたいので達成できたら薬局にとって良いことです。
T:期限の記載がありません
「○年●月までに後発医薬品使用体制加算3の算定を開始する」とすれば良いでしょう。注意として、一般薬剤師がこの目標を設定した場合、受付回数のように、あなたの頑張りによる増加分がどの程度かを測ることができません。/div>
抽象的で判断できません。
具体的にどのくらい増やす(減らす)のかを追記しましょう。
↓
一般用医薬品の売上を前年と比べて20%以上増やす
↓
自分の残業時間を前年と比べて10%以上減らす
このように具体的に書いておくことが必要です。
その他の目標例
薬剤師の目標に使えそうな項目を挙げてみました。このままでは目標にはなりませんので、SMARTの法則を使って使える目標にしてみてください。
- △△加算を○回以上算定する
- 待ち時間クレームをゼロにする
- 業務改善をする
- 服薬指導用ツールを作成する
- 整理整頓する(5S活動をする)
- アプリの使用者数を○人にする
- 在宅を獲得する
5S活動についてはこちらをご覧ください。
薬局で5S活動をやるべき7つの理由をまとめました。5S活動を実践するとメリットがたくさん。職場環境の改善にも役立つ5S活動をあなたの薬局でもぜひ取り入れてください。
薬剤師の目標設定方法のまとめ
薬局として、薬剤師として求められている事のうち、あなた自身が頑張ってやってみたいことを具体的に(SMARTの法則を使って)記載し、それに対する行動目標を立てていきさえすれば、その目標は上司に承認されるはずです。
その行動目標の通りに進めていけば期末の評価は良いものになることでしょう。
評価制度について詳しくない薬剤師向けの記事です。薬剤師の評価制度の種類と特徴、魅力的な薬剤師の評価制度についてまとめました。ぜひご覧ください。
評価項目を知らない薬剤師は確実に損をしています。評価項目に無いものを頑張っても評価されません。自分の会社の人事評価制度をしっかりと理解して、力を入れるべきところを誤らないように気を付けましょう。
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目標設定をしてもどうせ給料上がらない。
目標を達成したとしても昇給額がどの程度かわからない。
結局昇給や賞与に関係ない。
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