
在宅をやりたい薬剤師
在宅をやっている薬局だと聞いて転職したのに、訪問薬剤管理指導の指示が入った処方せんがほとんど来ません。
在宅をやる気はあります。
でも、そもそも依頼が来ないんです。



在宅を増やしたい管理薬剤師
会社からは「在宅を増やして」と言われます。
でも、往診医やケアマネジャーにどう声をかければいいのかわかりません。
外来、薬歴、在庫管理、欠品対応だけでも手一杯なのに、在宅まで本当に回せるのか不安です。
- 在宅を始めたいのに、指示入り処方せんが来ない
- 薬局内に在宅対応の掲示をしているのに、依頼が増えない
- ケアマネジャーや往診医に声をかけるのが正直ハードル高い
- 会社から在宅件数を増やせと言われるが、具体策は教えてもらえない
- 一人薬剤師や人員不足で、在宅を受けても現場が回るか不安
- 在宅経験を積みたいのに、今の薬局では在宅に関わる機会がない
あなたは、このようなことで悩んでいませんか?
「在宅を増やせ」と言うのは簡単です。
でも、現場で動く薬剤師からすると、誰が、いつ、どうやって訪問に行くのかが一番の問題です。
在宅の処方せんは、待っているだけではなかなか増えません。
でも、それは薬剤師の努力不足ではありません。
多くの場合、地域の医師・ケアマネジャー・患者さん家族に、「この薬局は在宅で何をしてくれるのか」がまだ伝わっていないだけです。
つまり、やるべきことは難しい営業ではありません。
「あの薬局なら、薬のことで相談しても大丈夫」と思い出してもらう接点を、少しずつ作ることです。
現場で在宅ゼロから依頼を増やしてきた経験をもとに、薬局薬剤師が今日から動ける方法に絞って解説します。



私の薬局も、最初は在宅ゼロでした。
薬情に書いても、入口に掲示しても、何もしなければ依頼は来ませんでした。
そこから往診医、ケアマネジャー、地域包括支援センター、患者さん家族との接点を増やしていきました。
その結果、複数の医療機関の往診医から依頼をいただくようになり、1カ月で20名ほどの訪問薬剤管理指導を行っていた時期もあります。
在宅の処方せんを増やすには、薬局内で待つだけでは不十分です。
往診医、ケアマネジャー、地域包括支援センター、患者さん本人・家族に対して、「この薬局なら在宅の薬の管理を相談できる」と伝わる行動が必要です。
在宅の処方せんが来ない薬局に足りないもの
在宅の処方せんは、地域の医療・介護職に薬局名を思い出してもらう接点で増える。
「うちの地域には在宅患者さんが少ないのかな」
「在宅は他の薬局がすでに受けているのかも」
「在宅対応できますと掲示しているのに、どうして依頼が来ないんだろう」
そう感じることがあるかもしれません。
でも、在宅の処方せんが来ない理由は、地域に在宅患者さんがいないからとは限りません。
薬局側のやる気が足りないからでもありません。
多くの場合、足りないのは、地域の医療・介護職に薬局名を思い出してもらう場面です。
在宅の処方せんが来ない薬局には、次のような共通点があります。
- 地域の医療機関に在宅対応していることが知られていない
- ケアマネジャーに薬剤師の在宅介入の価値が伝わっていない
- 患者さんや家族が「薬剤師も家に来る」と知らない
- 薬局側が在宅候補の患者さんを見つけていない
- 在宅依頼が来たときの受け入れ基準が曖昧になっている
在宅の依頼は、最初から処方せんだけで始まるわけではありません。
その前に、医師、ケアマネジャー、訪問看護師、地域包括支援センター、患者さんの家族など、誰かがこう考えます。
この患者さん、薬がちゃんと飲めていないかもしれない。
家に薬がたくさん残っているかもしれない。
家族だけで薬を管理するのは大変そう。
薬剤師にも入ってもらった方がよさそう。
この場面で、「あの薬局なら薬の管理を相談できる」と思い出してもらえるかどうか。
ここで薬局名を思い出してもらえれば、医師やケアマネジャーから「この患者さんの薬を見てもらえますか」と相談が入ります。
在宅処方せんを増やすには、日頃から地域の患者さんや医療・介護職との接点を作ることが大切です。処方せん受付回数そのものを増やす動きも、結果的に在宅依頼につながります。
薬局全体として地域から選ばれる接点を増やしたい方は、薬局の処方せん受付回数を増やす方法もあわせて確認してみてください。


では、依頼が来たときに慌てないために、先に薬局内で何を準備しておくべきかを見ていきます。
在宅の依頼を受ける前に準備しておきたいこと
在宅依頼を受ける前に、対応範囲・報告書・多職種連携の流れを薬局内で決める。
在宅の依頼が来ないときは、「とにかくまず依頼がほしい」と思いますよね。
でも、いざ依頼が来たときに薬局内のルールが決まっていないと、せっかくの相談に答えられません。
「受けたい気持ち」は大切です。
ただ、在宅は薬を届けて終わりの仕事ではありません。
むしろ大変なのは、訪問後です。
報告書を書き、医師やケアマネジャーへ共有し、次回訪問の準備も進める。
「外来の合間に少し行けばいい」と考えていると、現場はすぐ苦しくなります。
在宅を増やす前に、まずは薬局内で次の内容を確認しておきましょう。
在宅患者訪問薬剤管理指導の届出や算定要件を確認する
在宅に取り組むなら、訪問薬剤管理指導や居宅療養管理指導の流れを確認しておきましょう。
特に大切なのは、次のような点です。
- 医師からどのような指示が必要か
- 訪問前に何を確認するか
- 訪問後にどのような報告書を作るか
- 医師やケアマネジャーへ何を共有するか
- 在宅患者訪問薬剤管理指導と居宅療養管理指導をどう使い分けるか
- 薬局として必要な届出や施設基準を満たしているか
在宅は、薬を届けて終わりではありません。
患者さんの服薬状況、残薬、保管状況、副作用、生活状況を確認し、必要に応じて医師やケアマネジャーへ情報提供します。
制度や加算の細かい要件は改定で変わります。だからこそ、在宅の依頼を増やす前に、薬局としてどこまで対応するのかを決めておくことが大切です。
在宅の件数を増やすなら、先に薬局内のルールを決めておきましょう。在宅薬学総合体制加算など制度面も確認したい方は、在宅薬学総合体制加算の解説記事を先に読んでおくと、在宅対応薬局に求められる体制を確認できます。


訪問後の報告書・多職種連携の流れを決めておく
在宅は、訪問して終わりではありません。
訪問後には、薬歴、報告書、医師やケアマネジャーへの連絡が待っています。
薬局内では、次の流れを決めておきましょう。
- 誰が訪問予定を管理するか
- 訪問前に処方内容や残薬情報をどう確認するか
- 訪問後の報告書をいつ作成するか
- 医師やケアマネジャーへの情報提供を誰が行うか
- 急な処方変更や臨時薬にどう対応するか
- 外来業務と在宅業務の時間をどう分けるか
特に一人薬剤師の薬局では、無理に件数を増やすと外来も在宅も中途半端になります。
「受けたい件数」と「安全に対応する件数」は分けて考えましょう。
在宅を受ける基準を薬局内で共有する
在宅の依頼が来たときに、その場で毎回迷っていると対応が遅れます。
事前に、次のような基準を決めておくと安心です。
- 個人在宅を何件まで受けるか
- 施設在宅に対応するか
- 薬局から何km圏内まで訪問するか
- 営業時間外の訪問に対応するか
- 麻薬、輸液、経管栄養、中心静脈栄養などに対応するか
- 緊急時の連絡体制をどうするか
「何でもできます」と言う必要はありません。
むしろ、「この範囲なら責任を持って対応します」と伝えた方が、医師やケアマネジャーから信頼されます。
準備ができたら、次は実際にどこへ声をかけるかです。
在宅の処方せんを獲得する7つの方法を順番に見ていきます。
在宅の処方せんを獲得する7つの方法
在宅の処方せんは、地域への周知・医師やケアマネとの接点作りで増やせる。


「在宅を増やす」と聞くと、大きな営業活動をしなければいけないように感じるかもしれません。
でも、最初から特別なことをする必要はありません。
まずは、地域の人に「この薬局は薬の在宅相談に乗ってくれる」と知ってもらうことから始めましょう。
- 在宅応需可能であることを地域に伝える
- 往診している医療機関に挨拶する
- ケアマネジャーに薬剤師の在宅介入を説明する
- 地域包括支援センターとつながる
- 薬局に来ている患者さんから在宅候補を見つける
- 有料老人ホーム・高齢者施設の新設情報を確認する
- 近所の患者さんの面処方せんを増やす
1. 在宅応需可能であることを地域に伝える
最初にやるべきことは、薬局が在宅対応していることを地域に伝えることです。
薬局の入口に掲示する。
薬情に記載する。
薬局のWEBサイトに載せる。
薬剤師会の薬局リストに在宅対応可能と掲載してもらう。
これらはもちろん大切です。
ただし、これだけで在宅の依頼が急に増えるわけではありません。



薬局の入口に在宅対応の掲示をしただけで、「訪問薬剤管理指導をお願いします」と依頼が来ることはほとんどありません。
本当に伝えたい相手は、薬局の前を通る人だけではありません。
- 往診している医師
- ケアマネジャー
- 地域包括支援センター
- 訪問看護ステーション
- 近隣の高齢者施設
- 患者さん本人や家族
この人たちに、「薬の管理で困ったら、あの薬局に相談しよう」と思い出してもらう必要があります。
難しく考えなくて大丈夫です。
最初は、「薬の飲み忘れや残薬で困っている方がいたら、一度ご相談ください」と伝えるだけで十分です。
2. 往診している医療機関に挨拶する
薬局の近くに、往診や訪問診療を行っている医療機関はありませんか?
在宅専門クリニックだけでなく、外来診療をしながら訪問診療をしている医師もいます。
在宅の処方せんを増やしたいなら、まずはそのような医療機関に薬局の存在を知ってもらいましょう。
とはいえ、医師に挨拶へ行くのは緊張しますよね。
忙しいのに迷惑ではないか。
営業っぽく思われないか。
何を話せばいいのかわからない。
そう感じる薬剤師は多いはずです。
でも、医師に伝える内容はシンプルです。
- 薬局からどの範囲まで訪問するか
- 個人在宅に対応するか
- 施設在宅に対応するか
- 麻薬や輸液などにどこまで対応するか
- 残薬整理や服薬支援を行うこと
- 訪問後に医師へ報告すること
- 急な処方変更時の連絡方法
「近いのでお願いします」だけでは弱いです。
医師が知りたいのは、「この薬局に任せたら、患者さんの服薬状況をきちんと見てくれるか」です。
薬剤師が訪問後に何を確認し、どんな情報を返すのか。
ここまで伝わると、次に薬で困る患者さんが出たとき、薬局名を思い出してもらえます。
3. ケアマネジャーに薬剤師の在宅介入を説明する
在宅の処方せんを増やすうえで、ケアマネジャーとの連携はとても重要です。
なぜなら、ケアマネジャーは利用者さんの生活状況をよく知っているからです。
薬が余っている、飲み忘れが多い、一包化しても管理がうまくいっていない。
こうした生活上の困りごとを、薬局より先にケアマネジャーが把握しているケースは多いです。
ただ、ケアマネジャーの中には「薬剤師が自宅に訪問する」と詳しく知らない方もいます。
これはケアマネジャーが悪いわけではありません。
薬剤師側から、在宅で何を担うのかを伝える機会が少ないだけです。
ケアマネジャーには、次のように伝えると話が具体的になります。
- 薬剤師が自宅で薬の管理状況を確認すること
- 残薬整理や服薬カレンダーを提案すること
- 飲みにくい薬や重複薬を医師へ相談すること
- 服薬状況を医師やケアマネジャーへ共有すること
- 薬の管理で困っている利用者さんがいれば相談してほしいこと
いきなり営業色を出す必要はありません。
「薬のことで困っている利用者さんがいたら、一度相談してください」
まずはこの一言で十分です。
4. 地域包括支援センターとつながる
地域包括支援センターにも、在宅につながる情報が集まります。
要介護になる前の要支援の段階で、薬の管理に不安がある方、独居で生活に不安がある方、家族が服薬管理に困っている方の情報が入ることがあります。
地域包括支援センターに訪問し、薬局として薬の相談に乗ることを伝えておきましょう。
伝える内容は、難しくなくて大丈夫です。
- 薬の飲み忘れがある方
- 薬が大量に余っている方
- 薬の管理を家族が負担に感じている方
- 一包化しても飲めていない方
- 複数の病院にかかって薬が整理されていない方
このような方がいれば、薬局に相談してもらえるようにしておきます。
在宅の処方せんは、いきなり処方せんから始まるとは限りません。
最初は「薬の相談」から始まり、その後に主治医への情報提供、訪問指示、在宅処方せんへ進む流れもあります。
5. 薬局に来ている患者さんから在宅候補を見つける
在宅が必要な患者さんは、実は薬局の目の前にいることがあります。
投薬カウンターでは「薬は残っていません」「ちゃんと飲めています」と言っていても、実際に自宅へ行くと薬が大量に余っていた。
これは在宅では珍しくありません。
患者さんが嘘をついているという話ではありません。
本人は飲めているつもりでも、実際には飲み忘れていることがあります。
家族も、薬の管理が大変だと言い出せないことがあります。
特に、次のような患者さんは注意して見ておきましょう。
- 受診間隔と残薬の量が合わない
- 毎回、家族が薬だけ取りに来る
- 本人が独居で服薬管理に不安がある
- 病状が安定していない
- 薬の変更が多い
- 複数の医療機関にかかっている
- 輸液や経管栄養剤の処方がある
- 往診に切り替わったが、薬だけ家族が取りに来ている
このような患者さんを見つけたら、いきなり「在宅にしましょう」と言う必要はありません。
まずは、薬の管理で困っていないか、家で薬が余っていないか、家族が負担に感じていないかを聞いてみましょう。
必要性が高そうであれば、本人や家族の同意を得たうえで、主治医やケアマネジャーに相談します。



欠品薬を届けに行ったときに、家の中の薬の管理状況が見えてきます。
薬を渡して終わりにせず、保管状況や残薬の様子を見せてもらう。
そこで初めて、「この患者さんは自宅で薬を管理しきれていない」とわかるケースもあります。
6. 有料老人ホーム・高齢者施設の新設情報を確認する
近隣に有料老人ホームや高齢者施設ができるという情報を聞いたら、早めに動きましょう。
施設には、薬剤師の訪問が必要な入居者さんが多くいます。
ただし、施設側が開設前から薬局と契約しているケースもあります。
「オープンしてから挨拶に行けばいい」と思っていると、すでに他の薬局が入っていることもあります。
施設に声をかけるときは、次のような点を確認しましょう。
- すでに提携薬局が決まっているか
- 入居者の処方せん対応をどうする予定か
- 薬の配達・セット・服薬管理で困っていることはあるか
- 臨時薬や急な処方変更にどう対応するか
- 医師や看護師との連携体制はどうなっているか
すでに他の薬局が入っていても、すぐにあきらめる必要はありません。
一部の患者さんだけ依頼が来るケースもあります。
既存薬局の対応に課題が出たときに、相談先として声がかかることもあります。
大切なのは、「何かあったら相談できる薬局」として存在を知ってもらうことです。
7. 近所の患者さんの面処方せんを増やす
在宅の処方せんを増やすうえで、地味ですがとても重要なのが、近所に住んでいる患者さんの面処方せんを増やすことです。
門前の医療機関の処方せんだけを受けている薬局よりも、近隣住民から「いつもの薬局」として選ばれている薬局の方が、在宅へ移行したときに声がかかります。
私の薬局でも、次のような流れで在宅依頼につながったことがあります。
近所に住んでいる患者さんが、少し離れた病院の処方せんをいつも自薬局に持ってきていました。
その後、通院が難しくなり、往診に切り替わりました。
すると、往診クリニックから「今までそちらの薬局で薬をもらっていたようなので、今後もお願いできますか?」と連絡が来ました。
これは理想的な流れです。
患者さん本人や家族が「薬はいつもの薬局にお願いしたい」と言ってくれると、在宅の処方せんにつながります。
つまり、在宅の処方せんを増やすには、普段の外来対応が将来の在宅依頼にもつながります。
外来で信頼されている薬局なら、患者さんが往診に切り替わったとき、家族や往診医から「薬は今までの薬局にお願いしたい」と言ってもらえます。
ここまでが、薬局の外へ向けた動き方です。
次は、薬局内で在宅候補の患者さんをどう見つけるかを整理します。
在宅が必要そうな患者さんの見つけ方
在宅候補は、残薬・飲み忘れ・家族負担など薬局カウンターで見えるサインから見つかる。
在宅の依頼は、外から来るものだけではありません。
薬局側が「この患者さんは、家で薬の管理に困っているかもしれない」と気づくことで、在宅につながるケースもあります。
特に、次のようなサインがある患者さんは、在宅介入の必要性を検討してみましょう。
- 薬が毎回余っている
- 受診間隔と残薬数が合わない
- 一包化しても飲み間違いがある
- 薬袋を開けずに残している
- 家族が薬の管理で困っている
- 本人が薬の説明を理解していない
- 複数科から薬が出ていて整理されていない
- 認知機能の低下が疑われる
- 独居で生活状況が見えない
- 通院が難しくなってきている
ただし、薬剤師だけで在宅介入を決めるわけではありません。
患者さん本人や家族の意向を確認し、必要に応じて主治医やケアマネジャーに相談する流れが大切です。
在宅提案のポイントは、「薬局が在宅を取りたいから提案する」のではありません。
患者さんの服薬管理や生活上の困りごとを解決するために提案することです。
では、在宅が必要そうな患者さんを見つけたら、医師やケアマネジャーへ何を伝えればよいのでしょうか。
ケアマネジャー・医師に伝える内容
ケアマネジャー・医師には、患者さんの薬の困りごとと薬剤師が返す情報を具体的に伝える。
ケアマネジャーや医師に声をかけるとき、「営業みたいで苦手」と感じる薬剤師は多いです。
その感覚は自然です。
でも、在宅の声かけは売り込みではありません。
患者さんの薬の困りごとを、医療・介護チームで共有するためのきっかけ作りです。
相手ごとに、伝える内容を少し変えましょう。
ケアマネジャーには「生活上の薬の困りごと」を伝える
ケアマネジャーには、薬剤師が入ることで利用者さんの生活がどう変わるのかを伝えましょう。
- 薬が余っている原因を確認します
- 飲み忘れに合わせて服薬カレンダーや一包化を提案します
- 薬の管理を家族だけに任せない形を考えます
- 副作用やふらつきなどを医師に共有します
- 複数医療機関の薬を確認します
ケアマネジャーは、利用者さんの生活を支える立場です。
「薬剤師が入ると、生活の何が楽になるのか」を伝えると、薬のことで困る利用者さんが出たときに薬局へ相談が来ます。
医師には「服薬状況を見て報告すること」を伝える
医師に対しては、薬剤師が訪問することで処方後の服薬状況を確認し、必要な情報を返すことを伝えましょう。
- 実際に薬を飲めているか確認します
- 残薬や飲み間違いを報告します
- 副作用が疑われる症状を共有します
- 剤形変更や一包化の必要性を提案します
- 家族や介護職から服薬状況を確認します
医師にとって、処方した薬が実際に飲まれているかは重要です。
薬剤師が在宅で確認し、必要な情報を返すと伝われば、次に薬の管理で困る患者さんが出たときに薬局名を思い出してもらえます。
患者さん・家族には「薬の管理が楽になること」を伝える
患者さんや家族には、制度や点数の話から入らない方が伝わります。
まずは、困りごとの解決として伝えましょう。
- 薬が多くて管理が大変ではありませんか?
- 飲み忘れや飲み間違いで困っていませんか?
- 薬を取りに来るのが負担になっていませんか?
- 家に残っている薬の整理で困っていませんか?
- 薬のことで医師に相談したいことはありませんか?
「薬剤師が家に行けます」と言うだけでは、患者さんは必要性を感じません。
「薬の管理が楽になる」
「飲み忘れを減らせる」
「家族の負担を減らせる」
このように伝えると、在宅の価値が伝わります。
どこの薬局も最初は在宅ゼロからのスタート
在宅は最初の1件を丁寧に受けることで、薬局内の対応力と地域からの信頼が育つ。


「うちは在宅ゼロだから、今さら始めるのは難しいかも」
そう感じるかもしれません。
でも、どこの薬局も最初は在宅ゼロです。
最初から何十件も在宅を持っていた薬局ばかりではありません。
まずは1件です。
最初の1件を丁寧に対応し、その経験を積み重ねることで、少しずつ在宅の流れが見えてきます。



うちの薬局も、最初は在宅ゼロでした。
そこから少しずつ医療機関やケアマネジャーとの接点を増やし、複数の往診医から依頼をいただくようになりました。
有料老人ホームの入居者さんの訪問薬剤管理指導を自薬局で対応していた時期もあります。
在宅の依頼が来たときに大切なのは、最初から完璧を目指しすぎないことです。
もちろん、安全に対応する体制は必要です。
でも、「経験がないから」「忙しいから」と毎回断っていると、次の依頼は来なくなります。
在宅は、最初の1件を受けてから見えてくることが多い業務です。
訪問前に何を確認すればよいか。
患者さん宅で何を見るべきか。
報告書に何を書けばよいか。
医師やケアマネジャーにどう共有すればよいか。
これらは、実際に1件経験すると一気に具体的になります。
ただし、体制的にどうしても受けられない場合は、無理に受ける必要はありません。
その場合も、ただ断るのではなく、対応できない理由を丁寧に伝えましょう。
今はこの範囲なら対応します。
この条件なら受けられます。
今回は難しいですが、次回このようなケースなら相談してください。
断った場合でも、次に別の患者さんで相談してもらえる余地が残ります。
今の薬局で在宅を始める余地があるなら、まずは1件目をどう受けるか考えてみましょう。
一方で、どうしても在宅に関われない職場もあります。
在宅経験を積めない薬局で働き続けるリスク
在宅経験を積めない職場では、対人業務や多職種連携の実務経験が広がりにくい。


在宅対応は、これからの薬局薬剤師にとって重要な経験のひとつです。
ただし、誤解しないでください。
在宅をやっていない薬剤師が、すぐにダメという話ではありません。
あなたが悪いわけでもありません。
問題なのは、在宅にも、対人業務にも、多職種連携にも関われないまま、経験が増えないことです。
外来で服薬指導をするだけでなく、患者さんの生活の場に入り、残薬、服薬状況、副作用、介護状況、多職種連携まで見る経験は、薬剤師としての強みになります。
在宅未経験の不安を確認したい方は、在宅をやっていない薬剤師は危ないのかを解説した記事も参考にしてください。今の職場で何を経験しているか、逆に何が足りないかを考えるきっかけになります。


今の薬局で在宅依頼を増やす余地があるなら、まずはこの記事で紹介した方法を試してみましょう。
一方で、次のような職場では、在宅経験を積むのが難しいかもしれません。
- 会社や管理者が在宅に消極的
- 在宅依頼が来ても断っている
- 人員不足で外来業務だけで手一杯
- 在宅に必要な書類や連携ルールが決まっていない
- 在宅をやっているが一部の薬剤師しか関われない
- 施設在宅の調剤だけで、訪問や患者対応を経験しない
このような環境で働き続けると、在宅に関心があっても経験が増えません。
「在宅をやりたいのに、今の職場では在宅に関わる機会がない」
そう感じているなら、今の職場で、訪問・報告書作成・医師やケアマネジャーとの連携のどこまで関われるのかを確認しましょう。
それでも難しい場合は、在宅に積極的な薬局へ環境を変える選択肢もあります。
在宅に強い薬局求人で確認すべきこと
在宅あり求人は、件数・訪問範囲・教育体制・人員体制まで確認して選ぶ。
在宅経験を積みたいからといって、求人票に「在宅あり」と書いてある薬局を選べばよいわけではありません。
求人票の「在宅あり」は、内容に大きな差があります。
本当に個人在宅まで経験する薬局もあります。
一方で、施設在宅の調剤が中心で、患者さん宅への訪問はほとんどない薬局もあります。
ここを確認しないまま薬局を選ぶと、「在宅あり」と聞いて転職したのに、実際は調剤と配達が中心だったということもあります。
在宅あり薬局求人を見るときは、最低限、次の点を確認しましょう。
- 個人在宅か施設在宅か
- 在宅患者数は何名くらいか
- 薬剤師は何名体制か
- 訪問は誰が担当しているか
- 報告書作成の時間があるか
- 外来と在宅の業務分担はどうなっているか
- オンコールや緊急対応はあるか
- 車の運転が必要か
- 未経験者への教育体制はあるか
実際には、配達中心の薬局もあります。
施設在宅の調剤だけで、患者さん宅へ訪問しない薬局もあります。
特定の薬剤師だけが訪問を担当している薬局もあります。
在宅をしっかり経験したいなら、求人票の文字だけで判断せず、面接や職場見学で具体的に確認しましょう。
在宅あり薬局求人の見極め方を詳しく知りたい方は、在宅をやりたい薬剤師向けの求人の探し方も確認しておくと、薬局選びで後悔を減らせます。


また、在宅に限らず、薬局求人は年収・休日・人員体制・業務内容・在宅件数をセットで比較することが大切です。求人比較の軸を確認したい方は、薬剤師求人の選び方もあわせて読んでおくと、薬局求人を選ぶ前に見るべきポイントが明確になります。


在宅に強い薬局を探すなら、「在宅あり」の文字だけでは判断できません。
訪問件数、担当範囲、教育体制、人員体制、オンコールの有無まで比較する必要があります。
求人票だけで判断がつかないときは、在宅に詳しい薬剤師転職サイトで確認しましょう。
「在宅を経験したい」
「でも、どの薬局を選べばいいか判断できない」
「今の職場では在宅に関われない」
そう感じている方は、自分に合う薬剤師転職サイトを診断しておきましょう。
どの薬剤師転職サイトが合うか
迷っていませんか?
「転職サイトが多すぎて、どこを選べばいいかわからない」という方へ。 希望する働き方や転職時期、重視したい条件から、あなたに合う転職サイトの候補を確認できます。
- 自分に合う転職サイトのタイプがわかる
- 働き方や希望条件に合う候補を整理できる
- まず確認する2社がわかる
登録不要・無料|診断後に候補を比較できます
薬局薬剤師が在宅の処方せんを獲得する方法Q&A
在宅の処方せん獲得は、声かけ先・伝え方・受け入れ基準を決めると動きやすい。
ここでは、在宅の処方せんを増やしたい薬局薬剤師がつまずきやすい疑問に答えます。
本文で紹介した内容を、実際に動く前の不安に合わせて補足します。
在宅の処方せんが1枚も来ない薬局は、最初に誰へ声をかけるべきですか?
最初は、薬局の近くで訪問診療をしている医師、地域のケアマネジャー、地域包括支援センターに声をかけましょう。
いきなり「在宅の処方せんをください」と伝える必要はありません。
「薬の飲み忘れや残薬で困っている患者さんがいたら、一度相談してください」と伝えるだけで十分です。
医師に挨拶へ行くとき、営業っぽくならない伝え方はありますか?
営業ではなく、患者さんの服薬状況を支えるための連携として伝えましょう。
たとえば、次のように伝えると自然です。
近隣で在宅の薬剤管理にも対応しています。
残薬、飲み間違い、服薬状況の確認が必要な患者さんがいらっしゃれば、薬局として訪問後に報告いたします。
医師が知りたいのは、「薬局が何をしてくれるのか」です。
訪問範囲、対応内容、報告方法を具体的に伝えましょう。
ケアマネジャーに伝えても反応が薄いときはどうすればよいですか?
一度伝えただけで依頼につながるとは限りません。
ケアマネジャーは多くの利用者さんを担当しているため、必要な場面が来るまで薬局名を思い出さないこともあります。
反応が薄いときは、「薬剤師が訪問します」ではなく、具体的な困りごとに置き換えて伝えましょう。
- 薬が余っている利用者さん
- 飲み忘れが多い利用者さん
- 薬の管理を家族が負担に感じている利用者さん
- 複数の病院から薬が出ている利用者さん
このような利用者さんがいたら相談してください、と伝えると話が具体的になります。
一人薬剤師で在宅依頼が来た場合、断ってもよいですか?
安全に対応できない場合は、無理に受ける必要はありません。
ただし、何も説明せずに断ると、次の相談が来なくなる可能性があります。
一人薬剤師なら、訪問範囲、訪問時間、対応件数、緊急対応の有無を先に決めておきましょう。
「この範囲なら対応します」と伝えられると、依頼側も相談しやすくなります。
在宅あり薬局へ転職するとき、求人票のどこを見ればよいですか?
求人票では、「在宅あり」という文字だけで判断しないでください。
確認すべきなのは、個人在宅か施設在宅か、在宅患者数、訪問担当者、薬剤師人数、報告書作成の時間、オンコールや緊急対応の有無です。
在宅ありと書いてあっても、実際には調剤や配達が中心で、訪問経験を積めない薬局もあります。
在宅を経験したいなら、面接や職場見学で具体的に確認しましょう。
まとめ:在宅の処方せんは、薬局から動けば増やせる
在宅の処方せんは、薬局から地域へ動き、薬の相談先として認知されることで増やせる。
在宅の処方せんは、薬局で待っているだけではなかなか増えません。
でも、依頼が来ないのは、あなたの努力不足とは限りません。
地域の医師、ケアマネジャー、患者さん家族に、「この薬局なら薬の在宅相談ができる」とまだ伝わっていないだけかもしれません。
在宅の依頼を増やしたいなら、次の7つを実践しましょう。
- 在宅応需可能であることを地域に伝える
- 往診している医療機関に挨拶する
- ケアマネジャーに薬剤師の在宅介入を説明する
- 地域包括支援センターとつながる
- 薬局に来ている患者さんから在宅候補を見つける
- 有料老人ホーム・高齢者施設の新設情報を確認する
- 近所の患者さんの面処方せんを増やす
在宅は、薬局薬剤師にとって外来業務の延長にある仕事です。
患者さんの自宅に行くことで、薬局のカウンターだけでは見えなかった服薬状況、残薬、生活背景、家族の負担が見えてきます。
その経験は、薬剤師としての大きな強みになります。
今の薬局で在宅を増やせる余地があるなら、まずは地域への声かけから始めてみましょう。
最初から完璧でなくて大丈夫です。
まずは、薬のことで困っている患者さんを1人見つけるところからで十分です。


