薬剤師向け│薬局の人事制度が変更される理由と目的【人件費削減】
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人事制度が変更されると聞いて不安な薬剤師

薬局が合併したのですが、人事制度が統一されるそうです。

なぜ人事制度を変えるのでしょうか。具体的にどのような点が変わるのでしょうか。

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このような薬剤師の疑問に答えていきます。

 本記事の内容
 この記事を読むと次のことがわかります。

  • 人事制度が変更(統一)される理由と目的
  • 具体的な人事制度変更のポイント
  • 人事制度の変更に不満を持った薬剤師の選択肢
自己紹介

pharma_di(ファマディー)
転職2回の大手チェーン調剤薬局の管理薬剤師。薬剤師や薬局事務の採用活動にも携わっています。

転職に失敗する薬剤師をゼロにしたいという思いで、自らの経験を基に記事を作成しています。
詳しい自己紹介

結論
薬局業界では合併がすごいスピードで進んでいます。合併後にはどちらかの薬局の人事制度に統一されます。これは避けられません。具体的にどのような点が変更(改悪)されるのかを理解すれば対策が立てられます。

薬局の人事制度が変更(統一)される理由

調剤薬局で働く薬剤師にとって、人事制度の変更はこれからの働き方を考えていく上で非常に大きな問題となります。


もしあなたの薬局で人事制度が変更されるという話が出ているなら、制度の変更についてしっかり理解をしてください。


その人事制度の変更はあなたにとって改悪であるかもしれません。


理解していないと後々大きな損をすることになってしまいます。

薬局の人事制度変更の通知文(例)

●月1日より、グループ薬局の人事制度が統一的に改定されることになりました。当社もこれに従って改定することになりました。

・○○手当、△△手当の廃止
・□□補助制度の廃止
・勤務地域の選択で基本給テーブルが変更
・役職手当の見直し

以上の改定の結果、全体的な人件費総額は変わりませんが、給与が増額となる方もいれば減額となる方もいらっしゃいます。

急激な変動を緩和するために一定の経過措置を設けています。

事業を継続していくためにはやむを得ない改定ですのでご理解の程、宜しくお願いいたします。

こんな風に勝手に給与が変更されてしまうこともあります。


自分の年収は自分で守っていきましょう。

では、薬局の人事制度が変更されるのはどんな時なのかを見ていきましょう。

 調剤薬局で人事制度が変更されるのはこんな時

  • 他の薬局と合併したとき
  • 現在の人事制度が現状に合わなくなったとき
  • 社長が変わった時

主にこういったタイミングで人事制度が変更されます。

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あなたの薬局ではどうでしょうか。最近社長が変わっていませんか?合併はしていませんか?

次に、人事制度が変更される理由です。

 調剤薬局の人事制度が変更される理由

  • 過去の合併により人事制度が混在している
  • 現在の人事制度が現状に合わなくなってきた
  • 利益が出なくなってきたので人事制度を変えざるを得なくなった

過去の合併により人事制度が混在している

複数の薬局の合併、大型薬局の合併が続くと社内に複数の人事制度が混在してしまいます。


この状況は良いとは言えませんから、どこかのタイミングで人事制度が統一されます。

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混乱を避けるために合併直後の人事制度変更を見送っていたり、合併が続いたりした場合には、ある程度落ち着いてから人事制度を変更することも良くある話です。

現在の人事制度が現状に合わなくなってきた

年功序列型の古い人事制度のままである、会社の規模に人事制度があっていないなどの理由で人事制度が変更されることもあります。

利益が出なくなってきたので人事制度を変えざるを得なくなった

調剤薬局業界は利益が出にくい構造になってきていますので、現在の情勢に合わせるために人事制度を変えざるを得なくなったということもあります。


業務を効率化させ、やることをやってしっかり加算を算定して利益を上げたとしても、次の調剤報酬改定(改悪)によって一気に今までの努力は吹っ飛んでしまいます。


国によって運命を握られているのが調剤薬局業界。


『大手調剤薬局チェーンはだいぶ効率化されて利益が出ていますね。儲かっているみたいだから次から調剤報酬カットね。』と。


この疲弊していく戦いが今後も続いていくのですから、薬剤師の人件費高騰は抑えておきたいと会社側が考えるのは当然です。


人事制度の変更の目的は結局のところ薬剤師の人件費削減です。

薬局の人事制度が変更(統一)される目的

薬剤師の人件費削減が人事制度変更の一番の目的であると書きましたが、人件費削減を目的に人事制度を変更することは不利益変更と呼ばれ、その実施には多くの制限がかけられています。

労働条件の不利益変更とは、賃金や労働時間、休暇、福利厚生などの労働条件を従業員に不利益な方向に変更することをいいます。

会社側は人事制度変更の目的を次のように説明してくるでしょう。

 会社が良く使う薬局の人事制度変更の目的

  • 不公平感の是正
  • 社員の能力や意欲の向上
  • 人員偏在の解消
  • 利益創出

不公平感の是正

『役職が低い人の方が年収が高い、役職が高い人の方が年収が低いという不公平感を是正します』


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役職が高い人の年収を上げるのではなくて、役職が低い人の年収を下げる(高くなりにくくする)という意味です。

社員の能力や意欲の向上

『社員が多様な働き方を選択できるようになります』


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選択するには条件が多く、ハードルが高いことがほとんどです。

人員偏在の解消

『薬剤師が充足している地域から不足している地域への異動を促すことによって、薬剤師採用困難地域での採用コストを削減します』


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異動できる薬剤師には手当を出しますが、異動できない薬剤師には手当を出さないということです。


子育て中や介護中等の理由で、異動が難しい薬剤師に対しては手当減(年収ダウン)とし、全国どこでも異動可能という薬剤師に対しては手当増(年収アップ)となります。

利益創出

会社を存続させて社会に貢献し続けます。


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会社の利益を増やしたいというだけです。

真の目的は薬剤師の人件費削減

人事制度変更の最終目的は薬剤師の人件費削減であることは間違いありません。

人事制度変更によって年収がダウンする薬剤師もいればアップする薬剤師もいるはずですので、会社が従業員に支払う総人件費としては大きく変わらないのでしょう。


会社が望んでいる働き方ができる薬剤師に対しては年収アップ

そうでない薬剤師に対しては年収ダウン

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『今回の人事制度の変更は、人件費削減が目的ではありません』と会社側は言いますが、この言葉を信じてはいけません。


社員の意欲を高めるための制度ですというのも信じてはいけません。誰だって年収がダウンすると分かれば意欲が高まるわけがありませんから。

薬局でよくある具体的な人事制度変更のポイント

では人事制度のどのような点が具体的に変更されることが多いのかを見ていきます。


主に以下の点が人事制度の大きな変更ポイントとなります。

薬局でよくある具体的な人事制度変更のポイント

  • 住宅手当や家族手当などの属人的手当の廃止
  • 異動可能な薬剤師を優遇
  • 基本給の上限を下げる
  • 昇給額・昇給率のダウン
  • 昇進・昇格のハードルが上がる
  • 各種手当の金額見直し

住宅手当や家族手当などの属人的手当の廃止

住宅手当や家族手当が廃止される薬局が増えています。


仕事に直接関係のない住宅手当や家族手当を廃止し、その分を給与の成果主義に充てるというものです。


住宅も家族も持っていない社員から『不公平だ』という声が上がりやすいのも理由の一つでしょう。

異動可能な薬剤師を優遇する、または異動できない薬剤師の給料を削減する

異動可能か否かによって給与水準に差をつけることは、全国規模の調剤薬局チェーンによくある例です。


薬剤師の異動可能範囲によって手当を付けるやり方です。


その手当の額は、


全国どこでも異動可能>ある程度の範囲内で異動可能>自宅からのみの通勤(異動不可)


となります。


どの程度手当に差が付くのかによって異なりますが、全国どこでも異動可能な薬剤師は年収アップになる可能性がある一方、異動不可の薬剤師は年収ダウンとなる可能性が高まりますので注意が必要です。

基本給の上限を下げる

基本給の上限が下げられてしまうとその額以上の昇給が見込めなくなりますから、将来もらえるはずの年収が下がると言えます。


また、人事制度変更に伴って基本給が減額となってしまう場合にはより注意が必要です。


基本給は賞与や残業代、退職金など様々な手当額を算出する基となるものですから、年収に与える影響が最も大きいとも言えます。


基本給の減額は大幅な年収ダウンにつながります。


会社がなんと言おうと容認できるものではありません。


昇給額・昇給率のダウン

基本給の上限が下げられることと連動して、昇給の額や昇給率が抑えられてしまうという改悪もあります。


同じ評価を獲得しても昇給額が抑えられてしまったらそれは将来にわたって年収が下がるということです。

昇進・昇格のハードルが上がる

昇進や昇格に必要な要件が追加されてはいないでしょうか。


昇進や昇格のハードルを上げることによって総人件費を抑制するというやりかたです。


薬局数が増えていかない以上ポストも増えていきません。


条件を満たしているのにポストがなくて昇進できないという薬剤師を減らすための方法です。

各種手当の金額見直し

地域手当、管理薬剤師手当などの各種手当の額にも見直しが入ります。


自分に支給されている手当の額がどう変わるか試算をしておきましょう。

人事制度の変更に不満を持った薬剤師の選択肢

人事制度変更によって自分の働き方や年収にどの程度影響があるのかについて、しっかりとシミュレーションしておくことが大切です。

でもどうやってシミュレーションをしたらよいかわからない。
会社から人事制度の説明資料が送られてきたが難しくて意味が分からない。


こういう薬剤師結構多いです。


少しでも不明な点があれば1つ残らず全て本社人事部へ質問をしましょう。


人事制度の変更に伴う質問の窓口が設置されればそこへ質問をします。


電話ではなく、記録が残るメールやFAX、郵送での質問が良いでしょう。

人事制度の変更発表後、しばらくすると現行給与と新制度の給与の金額が記載されている給与通知が社員全員に送付されてくるはずです。


そして、ほとんどの薬剤師が給与通知を見て安心してしまうのです。


現行の給与も新制度の給与も同じで、差額0円と書いてあった。


増えることは無かったけど、減ることもなくて良かった良かった。

それたぶん間違いです。

注意
新旧の給与試算表を見て、金額が同じだからと安心してはいけません!

新制度給与の方に「調整手当」とか「調整給」、「制度移行給」といった項目はありませんか?


調整手当とは、賃金が下がる薬剤師に対し、減額の影響を緩和するために一定期間支給されるものです。



この調整手当などは数年かけて徐々に減らされていき、最終的には0になります。

「調整手当」、「調整給」、「制度移行給」の項目に記載されている金額=数年後はもらえなくなるもの

その影響を踏まえて今後どうしていくのかを検討していきましょう。

人事制度の変更により年収がアップする薬剤師
⇒他に不満が無ければそのまま働き続けることが一番です。

 人事制度の変更により年収がダウンする薬剤師
⇒とるべき選択肢は、

  • 人事制度の変更を受け入れて我慢して働き続ける
  • 弁護士等に相談して会社を訴える
  • 転職活動を始める

以上の3つです。

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