新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、病院や診療所の経営状態が悪化しています。もちろん薬局も例外ではありませんね。

4月、5月は患者数が激減。6月からは徐々に戻りつつあるものの、コロナ以前のようにはまだ戻り切っていないという薬局が多いのではないでしょうか。
コロナの影響で患者さんが減っているのだから仕方ない。暇だから早く帰れて良いなどと思っていてはいけません。この状況が長く続くようだと薬局の経営が本当にヤバイことになります。そうなったら薬剤師だって安泰ではありません。
薬剤師や事務の雇止め、賞与カット、給与カットが既に行われているなら早めに逃げてください!

薬局の経営が悪化している理由

薬局経営が悪化する原因にはいろいろありますが、コロナとコロナ以外で分けてみました。

新型コロナウイルス感染症による影響

受診抑制

コロナウイルスの影響で一番大きいのはやはり受診抑制でしょう。病院やクリニックで感染するのが怖いと思う人はちょっとくらいの風邪なら我慢します。この理由で最も打撃を受けたのは小児科や耳鼻科です。
受診抑制とは少し離れてしまいますが、うがいや手洗いの徹底で風邪にかかりにくくなった。コロナのニュースが出始めた1月頃からマスクを着用する人増えたことで花粉症が悪化する人が減ったという要因もあります。

処方日数の長期化

また、大病院などではコロナの入院患者対応を迫られ、院内感染を防ぐために外来患者数を抑制したのも大きいです。長期処方や電話受診という形で外来患者数を減らしています。
長期処方となれば薬局に来る患者さんの数は減少します。調剤基本料や技術料などの算定が減り収入が減ることに加え、長期処方のために購入した薬剤の支払いが急激に増えますので、資金繰りという面でも大きな影響を受けます。
長期処方=調剤基本料と技術料が変わらず、薬剤費が増える。来局回数は減る。
⇒利益の源泉である調剤基本料と技術料が減り、卸への医薬品購入支払額が増加する
⇒資金繰り悪化
処方日数の長期化は薬局にとって全く良いこと無し

新型コロナウイルス感染症以外の影響

主医療機関の患者減少や廃業、薬局周辺の人口減少、競合店に処方箋を奪われている、そもそも自薬局の評判が良くないなど、コロナとは関係ない部分による薬局経営の悪化理由も様々です。

薬剤師や事務の対応が悪い、待ち時間が長い薬局はそれだけで患者さんが離れるのに十分な理由となります。患者さんは文句を言わずそおっと別の薬局に移っていきます。

一般薬剤師でも薬局の経営状況を把握したほうが良い3つの理由

薬局長(管理薬剤師)はもちろん把握しているでしょうが、一般薬剤師であっても知っておく必要があります。

自身の知識が増える

数字が読めるようになれば、薬局の問題点が見えてきます。その数字を紐解いていくことにより、どこを改善する必要があるか、どこに力を入れなければいけないかが自然と見えてきます。

これができる薬剤師は評価が上がっていくはずです。将来、管理薬剤師になったときに絶対得する知識となります。株式投資で財務諸表を見るときにも役立つかもしれません。

転職の時に役立つ

薬局の数字が読めることはアピールポイントになります。

経営状態が良い薬局に転職できる可能性も高まるでしょう。

薬局が倒産する兆候をつかめる

これから薬局がバタバタと倒産する時代が来ます。黒字であっても資金繰りがつかず銀行への支払いができなくなれば倒産です。
さすがに倒産するより前に事業譲渡などで他社に売られるでしょう。契約内容などもすべて見直されることになります。

薬局の売上減少が長期にわたって続いているのは危険なサインです。どこも買ってくれないかもしれません。

薬局の経営状況 確認すべきポイントは

あなたがお勤めの薬局の経営状況を把握してますか?
社内で公開されている業績資料などあればそれを確認しましょう。公開されている資料がなければ過去からの推移をレセコンで調べましょう。
毎月の受付回数や調剤売上、処方箋単価はレセコンからすべて抽出可能です。
また、在庫についてはレセコンもしくは別で稼働させている在庫管理システムのデータを使います。

売上

薬局にとって一番大切なのは調剤売上です。調剤売上はどのくらいでしょうか。調剤メインの薬局においてはOTCや小分けの売上は微々たるもののはずです。

調剤売上がしっかりと前年同月比で伸びていれば問題ないと言えるでしょう。

受付回数はどうでしょうか。受付回数が前年同月比で増加していれば安心です。

技術料率はどうでしょうか。
利益の源泉とも言える技術料率が低下していると先行き不安です。

技術料率を上げるにはどうすればよいか。
まずは調剤基本料1の算定をすること。
そして地域支援体制加算と後発医薬品調剤体制加算の算定をしていくことが求められます。

嚥下困難者用製剤加算、自家製剤加算、計量混合調剤加算、夜間・休日等加算の取り漏れを防ぐことも大切です。

技術料をしっかり取っていかないと売上が伸びても利益が伸びていきません。

費用

最も割合が大きいのは人件費です。
ただ、人件費をカットする権限は一般薬剤師はもちろん管理薬剤師にもありません。
人を辞めさせることはできませんし、給与を下げることもできません。

人件費を減らすために薬局で唯一できるのは残業を減らすことだけです。

次に薬局の在庫を見ます。
費用とは若干異なるかもしれませんが、利益を減らすという意味では費用と言えるでしょう。
無駄な在庫(いわゆるデッドストック)は眠っていませんか?
卸から仕入れた薬を無駄なく使うことが大切です。期限切れ等で廃棄をしてしまうと利益減となります。

また、医薬品の購入代金が増加すればその分消費税を支払うことになり(租税公課が増える)、利益の減少につながります。

こんな数字だと危ない

受付回数や調剤売上が右肩上がりや横ばいなら良いですが、毎年減少傾向が続いているとなれば危険です。

減っている原因は何でしょうか。門前医療機関が減っているのか、競合店に奪われているのか。そういった視点も持っておくことが大切です。


調剤売上減少→利益減→従業員の賞与カット→売上や利益が戻らない→さらなる人件費削減→派遣薬剤師切り→まだ足りない→従業員削減→まだ足りない→従業員の給与カット→・・・

この流れに巻き込まれないようにする必要があります。
薬剤師や事務の雇止め、賞与カット、給与カットで状況が好転すればよいでしょうが、コロナの影響が長期にわたるようであればそう遠くない未来に倒産する可能性が高いでしょう。
賞与カットや給与カットなどの被害を被らないよう自分が勤めている薬局の経営状態の把握をお願いします。
コロナの影響で薬局が倒産することも十分にあり得ます。

チェーン薬局に勤めているのであれば会社全体の経営状況も

日本調剤、アインなど上場している会社は経営状況を公開することが義務付けられていますのでホームページ等で簡単に確認ができます。
例えば1店舗のみの個人薬局で、門前医療機関が小児科や耳鼻科の薬局だと影響度は甚大ですが、チェーン薬局ならある程度影響は分散され、和らげることもできるでしょう。
非上場企業の場合はホームページに詳細を公開している薬局はほとんどありません。チェーン薬局であれば本社からの通知や社内インフラにデータが公開されているのではないでしょうか。薬局長(管理薬剤師)に一度聞いてみましょう。
もしかすると、既に立ち直れないレベルまで財務状態が悪化している可能性もあります。
景気に左右されないと言われてきた薬局ですが、まさか感染症拡大で収益が悪化するとは思っていませんでした。
会社の財務状況がコロナ前から悪いと言われているところはこのコロナでとどめを刺されています。
瀕死の状態の薬局であれば早めに逃げ出すのも悪くないでしょう。
倒産してから次の薬局を探しますか?それとも今すぐ次の薬局を探しますか?倒産する可能性が低い薬局に転職しますか?