
調剤薬局の管理薬剤師になったばかりですが、仕事が多すぎて正直しんどいです。思うように回らないことも多く、本社からは指示が次々。スタッフは動いてくれず、板挟みで心が折れそう……。私はどうすればいいのでしょうか。
一般薬剤師から管理薬剤師になると、最初に重くのしかかるのは「人の管理」です。薬の管理はルール化できますが、人はそうはいきません。現場では本社の指示・スタッフの要望・間接部門の口出しが同時多発します。
意外な事実は、「全部を完璧にやろうとすると倒れる」ということ。
優先順位と“うまい手抜き”がない運営は続きません。むしろ、無理を続けた結果の離職や体調悪化の方が損失は大きいのです。
背景には、管理薬剤師という“中間管理職”の構造課題があります。上からは数字・加算・残業圧縮、下からは労務と教育、外部からは出荷調整や薬価改定といった不確実性。これらを一人で背負えば、過重負担になるのは当然です。
本記事では、現場で今日から使える「優先順位の付け方」と「手を抜く技術」を、スタッフ/薬の管理/会社対応の3領域に分けて実践的に整理します。
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全国に300店舗以上運営している大手調剤薬局チェーンの大型店舗で管理薬剤師をしています。管理薬剤師歴は15年以上。現在は転職サイトの担当者と連絡をとりつつ、中途薬剤師の採用活動にも携わっています。
pharma_di(ファマディー)
【私が薬剤師採用のために連絡を取っている≫おすすめの薬剤師転職サイト】
面接をした中途薬剤師は軽く100人を超えました。 私は過去2回転職をしていて、1回目は大失敗。ブラック薬局で過ごした数年間は地獄そのもの。 ブラック薬局に入らない方法、そこから脱却した方法を他の薬剤師にも役立ててほしいと思い、当サイト「薬剤師のための転職ブログ・ファマブロ」を始めました。 このサイト内の記事は『過去2回の転職経験』と、『現在の薬剤師採用業務の経験と知見』を基に全て私が1人で書いています。
管理薬剤師は“全部はやらない”。命と店舗を守る順に絞る(安全・法令・欠品防止→患者対応→生産性→それ以外)。優先順位と仕組み化で“うまい手抜き”を標準化し、無理な指示は交渉・保留・記録で受け流しましょう。



私は管理薬剤師歴25年、現場〜本社・教育まで経験し、採用100名超・面接500人超に関わってきました。小規模薬局から大手チェーンまでの現場改善で培った実践解を、あなたの明日につながる形でお伝えします。


薬局のスタッフに対する不満・悩み解決法
最も多い悩みは人間関係とパフォーマンス不均衡です。教育・労務・評価の線引きが曖昧だと、できる人に負担が集中し、雰囲気も荒れます。まずは役割と期待水準を明文化し、個々の“できること”に合わせて配置を最適化しましょう。
新人は「伸びしろ」の管理、ベテランは「役割の再設計」、事務は「発注・会計などの戦力化」。視点を変えると、同じ人でも成果が変わります。
新人薬剤師に関する悩み
本社研修後の主戦場は店舗です。現場教育の負担は大きく、専門的な到達に届かないケースもあります。無理に“普通”へ矯正しようとすると、あなたの時間とメンタルが摩耗します。
現場で苦戦しがちな新人の例
- 敬語・電話応対など社会人基礎が未習熟
- メモ・復習・要点整理ができず定着しない
- 依頼の先送りや、注意で感情的になりがち
- 頼んだことを忘れる/他人任せにする
こうした場合は、早期に上司へ共有・配置見直しを相談し、教育の“深追い”を止める判断も必要です。人事の採用ミスマッチは現場責任ではありません。
ベテラン薬剤師に対する悩み
長年のやり方に固着し、重要業務を避けたり、同じミスを繰り返すケースは珍しくありません。ここでの鍵は役割の限定と期待値の再設定です。
- ミスが出やすい工程は外し、適合業務に専念
- 評価指標を明示(期間・量・質)し、面談で合意
- できる人の成長投資を優先し、全体最適を取る
“できない人をできるようにする”より、“できる人の可処分生産性を上げる”方が全体の成果は早く伸びます。
事務スタッフ・コミュニケーションの悩み
発注・在庫・会計・受付など、事務は薬局運営の肝です。発注点の更新、棚卸前の在庫圧縮、欠品アラートなどを事務へ仕組みごと委譲し、薬剤師の時間を投薬・鑑査に集中させましょう。
- 週次ミーティングで未完了タスクを可視化
- チャット/ノートで引継ぎの標準様式を統一
- 「誰が・いつまでに・何を」の3点で依頼する
コミュニケーションは、事実と期日で合意し記録を残す。これだけで摩擦の8割は予防できます。
薬の管理(在庫金額)に関する不満・悩み解決法
棚卸前に「在庫月数を○カ月以内」といった一律指示が下りがちですが、規模・集中率・処方構成を無視した目標は現実的ではありません。特に面対応、一包化、散剤・シロップが多い店舗は在庫が膨らみやすい構造です。
現実解は、高薬価品の集中圧縮+欠品リスクの分散です。PTP/バラの二重在庫が必要な品目は発注点を分け、出荷調整期は安全在庫を一段厚くします。
在庫指標の“使い方”を変える
在庫月数は目安であって絶対ではありません。安全性と患者影響が大きい品目は月数基準を緩める一方、動きの鈍い高薬価品は計画的に圧縮します。
- 高薬価・低回転:返品可否の早期確認、発注間隔延長
- 中価格・中回転:定量発注+月次で発注点見直し
- 欠品影響大:二重ソース確保、安全在庫上乗せ
出荷調整期の欠品回避と安全在庫
出荷調整が多発する局面では、欠品防止を最優先に切り替えます。必要量の前倒し発注、代替候補の事前合意、患者説明テンプレの整備で混乱を抑えます。
参考記事:


事務と分業し、在庫を“仕組みで回す”
発注・検収・棚卸・返品は事務主導の標準作業に。薬剤師はしきい値の設定と例外判断に集中します。週次で「過剰/不足/要返品」リストを共有すれば、在庫は静かに締まっていきます。
詳しい手順は以下も参照:


結論:在庫は“全部締める”のではなく、“締める場所を選ぶ”。高薬価を絞り、欠品は防ぐ。これが最も現実的です。
会社に対する不満・悩み解決法
管理薬剤師は上意下達と現場の実情の間で揺れます。理不尽な指示はどの会社にも一定数ありますが、受け止め方と対応の型があれば、ダメージは最小化できます。
薬局の業績(数字)に関する悩み
「在宅を増やせ」「加算を上げろ」「残業を減らせ」——簡単なら誰も苦労しません。現状の数字は、すでに努力の結果です。
- 在宅:対象先の抽出→訪問→トライアルの3ステップ
- 加算:算定条件の棚卸と業務フローへの落とし込み
- 残業:業務の分解→ムダ取り→締め時間の前倒し
詳細は以下を参照:
≫【薬剤師でもかんたんにできる】薬局の経費削減方法10選│赤字脱却&利益確保で経営改善!
本社のサポートが無い不満
本社は指示中心で、実行は現場任せ——そう感じることは少なくありません。最初から「ない前提」で準備し、必要時のみ根拠を添えて支援を要請。通らなければ、受領記録を残しリスクを分担します。
本社機能が恒常的に弱い会社は、同じチェーンの他薬局でも離職が続く傾向があります。将来リスクが高いと判断したら、転職準備を並走させましょう。
必要な調剤機器を導入してくれない不満
導入を動かすのは数字です。残業削減時間、調剤時間短縮、ミス減の金額換算を見やすく提示し、年次計画で1機種ずつ通す戦略が有効です。
- 効果の金額化(時給×削減時間×人数)
- 回収期間の提示(投資÷月間効果)
- 繁忙・閑散期の稼働予測を添付
業績が良い時は通りやすいので、前倒しの稟議もセットで。
人事評価制度に対する不満
暇な店舗が高評価、忙しい店舗が低評価——現実に起こりがちな歪みです。制度の中で勝てる設計(達成可能なKPIの選定、進捗の週次化、数値と事例の蓄積)で乗り切り、制度改定期に具体案で提案しましょう。
≫【薬剤師の人事評価制度まとめ】年功序列・能力別評価・目標管理による評価
謎の社内ルール・薬局ルール(調剤内規)
「いつ誰が決めたか不明」なルールは、法令違反リスクすら孕みます。必要性・目的・実効性を点検し、不要なものはやめる。思考停止の順守は危険です。
≫一つの会社しか知らないのは大きなリスク!転職をしたことが無い薬剤師は要注意!
薬剤師の採用に関する不満
新人が集まらない会社は将来リスクが高い。採用力=現場の負担です。改善兆しがなければ、あなたのキャリアを守る選択肢も検討を。
Q&A|管理薬剤師の悩み・ストレスに関するよくある質問
ここでは、日々の運営でよく寄せられる質問を簡潔にまとめます。回答は要点を太字で示し、すぐ現場で使える形にしました。
Q1: 管理薬剤師が抱える一般的な悩みは?
人の管理・過剰な業務量・理不尽な指示が三大要因です。優先順位決定と役割分担で負荷を落とします。
Q2: 新人教育が重すぎます。どう軽くする?
上司共有と配置見直しを早期に。到達困難なケースは深追いせず、工程分解で“任せられる範囲”を切り出します。
Q3: ベテランのミスが減りません。
役割限定+適合業務への専念で改善。評価指標を明示し、合意形成を面談で行います。
Q4: 在庫月数の圧縮が難しいです。
高薬価に集中・欠品防止を最優先。出荷調整期は安全在庫を上乗せ、発注点を見直します。
Q5: 本社の無理な指示はどう扱う?
目的確認→代替案→保留の合意→記録の順で。通らない時はリスク共有の記録を残します。
Q6: 残業を減らすコツは?
締め時間の前倒し・非医療行為の委譲・バッチ化。毎日5分の短縮を積み上げます。
Q7: 稟議が通らない調剤機器、どう交渉?
金額換算と回収期間をワンシートに。繁忙期の負荷軽減シミュレーションも添付します。
Q8: 人間関係のモヤモヤを減らすには?
事実・期日・記録で合意形成。感情論を避け、毎週の定例で未完了タスクを可視化します。
Q9: 心身のセルフケアは何から?
睡眠・食事・運動の固定化が最優先。限界の兆候は早めに上申し、医療機関も躊躇なく。
Q10: 転職サイトはいつ使うべき?
会社の構造課題が中長期で変わらないと判断した時点で転職について考えておきましょう。情報収集するだけで選択しが増え、心の余裕につながります。
管理薬剤師(薬局長)の悩み・不満・ストレス解消法【うまく手抜きを】まとめ


上からの指示を真面目に全て聞いていたらパンクしてしまいます。重要度、優先度が低いと思われる指示は後回しにするなどして上手く手を抜きましょう。
全てのことを全力でやっていては体がもちません。
無理なものは無理と早めに上司に伝えてください。なんとかやろうと頑張りすぎるのは体調悪化のリスクが高まります。
くれぐれも無理はしないでください。
≫薬剤師の長時間労働問題【残業・休日出勤・夜勤】デメリットしかない
≫管理薬剤師求人の探し方│管理薬剤師・薬局長の転職注意点10選
- 全部はやらない:安全・法令・欠品防止を最優先に絞る
- 人は配置で解決:新人は早期線引き、ベテランは役割限定、事務を戦力化
- 在庫は選択的に締める:高薬価だけ圧縮、出荷調整期は欠品防止を優先
- 理不尽指示は交渉・保留・記録:数字と代替案でリスクを分担
- 将来リスクは並走で回避:情報収集と転職準備で心の余裕を確保
本記事は、スタッフ運用・在庫・会社対応という3本柱で、明日から現場で使える手順に落とし込みました。すべてを完璧に行うのではなく、優先順位と仕組み化で“うまい手抜き”を標準化するのが要点です。高薬価の圧縮と欠品防止の二本立て、人の配置最適化、理不尽指示の受け流し方——この3点が回り出せば、ストレスの総量は確実に下がります。
それでも、会社の構造的な弱点が変わらない場合は、あなた一人の努力では限界があります。情報優位を取り戻すためにも、外部の選択肢を持ちながら、現職でできる最善を淡々と積み上げていきましょう。
最初の店舗で私は何もかも一人で背負っていました。新人の教育に追われ、ベテランの機嫌を取り、在庫は出荷調整で崩れる。
本社からは数字と残業圧縮——気づけば帰り道にため息ばかり。
ある日、閉店後の静まり返った薬局で、私は自分の手帳にたった一行を書きました。
「全部はやらない。命と店舗を守る順で絞る」
翌日から、私は優先順位を決め、不要不急を先送りにし、事務に発注点の管理をお願いしました。ミーティングは15分の立ち会議に変え、引継ぎは一枚のシートに統一。ベテランには適合業務をお願いし、新人にはできる範囲の小さな成功を積ませました。
数字はすぐには変わりません。でも、残業が15分短くなり、欠品が一つ減り、クレームが一件減る。そんな小さな勝ちが、週間・月間で積み上がる頃、空気が少しだけ軽くなるのを感じます。
あなたの背中に乗っていた重りは、分解して周りに配れば驚くほど軽くなる。
管理薬剤師のうまい手抜きは決して怠けではありません。現場を成長させる種です。



もし今、理不尽な指示に押し潰されそうなら、もう一つの選択肢も手に入れてください。
情報と選択肢は、心の余裕です。あなたが安心して働ける場所は必ずあります。動き出す日は、今日でもいい。
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